帝国と近代国家

近代国家=国民国家?!

先日、近代化について書きました。
近代化するには5つの要素がいる。
憲法、民主主義、市場経済、科学技術、文化芸術があれば近代化ができるという話でした。

1つ目は憲法でこれにより国土などが定まり、一国家に国民、一国家に一言語が定められます。
そしてそこに自由経済や自由(民主)主義的な考えがあれば基本的にOKというやつです。

ただここでいう市場経済が市場経済≒資本主義経済となっているので実質的にキリスト教文化の概念となっています。
(※資本主義誕生の流れはこちらを↓)

そしてここでいう近代化された国家とは、当たり前のように感じる国民国家のことを言います。
国民国家とは主権が国民の国家のことです。

では、なぜ西洋で国民国家が生まれたのでしょうか

こちらも資本主義とプロテスタントが関係してきます。

国民国家も宗教改革が発端

資本主義が生まれたきっかけはプロテスタントの誕生(ルターの宗教改革)でした。
これにより、主権がキリスト教から領主に変わったわけです。
ここがまず第一段階。

そして、そこに続くのがフランス革命⇨ナポレオンの流れです。

フランス革命により、ブルボン朝が倒されました。
当時のフランスは共和制でした。国王がいます。主権者は国王ルイ16世でした。
それを市民が革命を成功させました。
これにより主権が領主⇨国民になります。

そしてナポレオンは(士気・忠誠心の高い)国民軍を率いることで(士気が低い)傭兵しかいない他国をあっと言う間に占領してしまいます。
ナポレオンはヨーロッパ中に「自由・博愛・平等」を広げていったのです。

そして、ヨーロッパ各国が国民軍を創設していく流れになります。
これが国民国家へと繋がっていきます。

帝国は国民国家になれなかった

ではここで近代化=国民国家化の流れに遅れた国はどこでしょうか?

やはり、カトリック国です。
神聖ローマ帝国(ドイツ)、イタリア、オーストラリア・ハプスブルク帝国などです。

今羅列した中にヒントがあります。
手元のローマ教皇のいるイタリアは置いておいて、、、
そう、帝国です。
この時代、ヨーロッパでは上記のような神聖ローマ帝国、オーストリアハプスブルク帝国がありました。
そしてヨーロッパ以外にもオスマン帝国、ムガル帝国、清などがあります。

帝国というのは寛容な性質を持っています。
歯向かうものには厳しいですが、受け入れるものに対しては寛容です。
国民国家と違って宗教や民族、言語にこだわりがありません。
統治に対して大人しくしたがっていればいい。
なので制圧も早くすぐに大帝国ができあがります。

古くはアケメネス朝ペルシアなど。
そして西洋と東洋をつないだモンゴル帝国。
これらの国々は拡張も早かったですが、一度崩れ出すと脆かったのも事実です。(ただ、モンゴル帝国は後継国家が多数残っている)

国民国家は帝国主義

それに対して国民国家は国家が生まれたときに愛国心が生まれます。
そして国家が国民を明確化にすることで、そこに入らない言語、宗教、民族は排斥するのです。
そして民主度が高ければ高いほど排斥の度合いは強くなるようです。
これはプロテスタント国家でもカトリック国家でも変わらないようです。

近代化の5つの必要なものの中に市場経済(=資本主義)がありましたが、逆に資本主義が国民国家を作りました。
そして資本主義は膨張を繰り返します。利潤獲得のためにどんどん膨張します。
そして衝突します。
そして破った相手を植民地化していきます。これを「帝国主義」と言います。
ここで大事なのが帝国は帝国主義ではないということ。
近代国家(国民国家)が帝国主義であるということが大事です。


こうした膨張を続ける国民国家のぶつかり合いが悲惨な大戦争を起こし、現代の戦争に引き継がれていくのです。

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