生真面目な性

昨年だったか一昨年だったかのある日、後輩たち飲んでいた。
オレ以外のメンバーは、懇意にしている生意気な歳下の後輩が一人、どんな質問にも真面目且つ妙に格好付けて答えるおじさんの後輩が一人、と言った感じだ。
独身男性が膝を突き合わす他愛も無い飲み会だったと思う。
その中で、おじさんに対し、生意気な後輩がイジり始めた。
「え、ぶっちゃけですけど、一番直近でセックスしたのいつですか?」
下卑た良くないイジリだな、と感じた。
鼻につく回答の多いおじさんではあったが、それは些か踏み込み過ぎだろう。
オレは、後輩を制した。
しかしながら、おじさんはしっかりと答えてくれた。
「あー、一年前ですかね」
割に最近だな、と耳が反応する。
とは言え、いかんいかん。
そこで調子に乗って掘り下げてはいけない。
自制しようと試みるオレ。
だが、そんなことはお構いなしに、生意気な後輩はさらに追い討ちをかけた。
「え〜?盛ってません?お店のプロの女性は含めちゃダメですよ〜?」
めちゃくちゃバカにしている。
確かに、おじさんはモテなさそうだし、見てくれの割にプライドが高い。
そんなスキを見せたがらない性分だからか、質問への回答がトンチンカンなことも多く、後輩がイジりたくなる気持ちも分かる。
ただ、それでも一線は引くべきだ。
すると、流石におじさんがキレ始めた。
「あの!お店は三年前ですから!」
いや、キレて答えるんかい。
ここで、オレもダムが決壊したかのようにめちゃくちゃ笑ってしまった。
何より、格好付けて逆に答えるパターンならよく見るが、最初から素人のみの期間で回答していた生真面目さに感動した。
本当に一年前と三年前だったんだろうなあ。
今でもこの出来事を思い出して、無駄な生真面目さに笑けてしまう。
今後も、おじさんの性に起因した話を聞きたいなと思った。
「せい」と読むか「さが」と読むかは任せます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?