香水

オレは終わっている。
どこがどう終わっているかと言えば、簡単だ。
未だに『香水』を頻繁に口ずさんでいる。
『香水』の発売時期を調べてみると、この文章を書いている現在から約三年前の曲らしい。
割と前だぞ、三年って。
中学一年生なら高校一年生になっている。
高校一年生なら三年も経てば、今の日本だと成人扱いされる年齢だ。
そのぐらいの年月にも関わらず、オレは何にもアップデートされないまま『香水』を歌い続けている。
ここまで『香水』を歌い続けている人は、もはやオレか瑛人氏の二人だけではないだろうか。
もちろん、純粋に大好きな曲として歌っているなら、この状況も深く理解出来るだろう。
趣味嗜好に曲の年代なんて価値基準を持ち出すのはナンセンスだ。
まったく関係無い。
しかしながら、オレはめちゃくちゃ好きとも思っていないのだ。
念のために言うと、瑛人氏の歌は上手だと思っている。
歌詞のシラブルが気になる点さえ除けば、好きの部類だ。
とは言え、自分の中でアンセムとなるようなスーパー大好きな曲だとは言い難い。
むしろ、ちょっと面白いとすら思っている。
そう、特に理由もなく、な〜んか面白いのだ。
その程度だからか、カラオケに行っても選曲したことは無い。
と言うか、デンモクで探すことすら忘れている。
あくまで、日常生活の中で、何となく声にする程度なのだ。
爪切り中やら入浴中やら、ふとしたタイミングで口ずさんでいる。
何なら全然面白くない替え歌をしている時もしばしばある。
evianを飲んで腹を下したら「硬水のせいだよ〜!」と歌うし、雨天にスニーカーを履く準備で時間がかかったら「防水のせいだよ〜!」と歌う。
しょうもない。
こんなに四六時中、同じ曲を歌い続けているのに、よくもまあ同棲中の彼女は怒らないものだ。
もしも怒られたとしたら、それは『香水』のせいだよ〜!
「いや、お前のせいだよ」

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