偽ウボォーギンと雑魚フィンクス

今の仕事に就いたタイミングが引っ越し前だったこともあり、湘南台から都内まで電車で通っていた。
通勤ラッシュの時間でも、一駅隣が始発駅であるため、十中八九座れる。
ただ、その日は満員で鮨詰め状態だった。
「これで終点の新宿まで向かうのは、しんど過ぎるぞ」
そう思うには、十分事足りる地獄絵図だった。
そんな中、一席だけ空きを見つけた。
空きの理由は、明確。
『HUNTER×HUNTER』のウボォーギンみたいな身体付きをしたヤンチャそうな人が、幅を取っているからだ。
普通だったら、座ることを選ばないだろう。
しかし、疲れでバグっていたのか、オレは座ってしまった。
それでも、お構い無しに幅を取り続ける偽ウボォーギン。
なんだか腹が立ってきた。
こっちはルールに乗っ取って、座っているってのに!
そう思ったオレは、普段なら怖過ぎてやらないが、バグが加速してきて、ブン回すように肩を揺らしまくってしまった。
グルングルン。
気分は、フィンクスだ。
奇しくも幻影旅団メンバーのぶつかり合い。
とは言え、今ならこいつにも勝てそうだ。
その結果、偽ウボォーギンから、耳元で囁かれた。
「後から乗ってきてるのに、ガタガタ言うんじゃねえよ」
死んだと思った。
その後、雑魚フィンクスと化したオレは、ヤンチャそうな人に、絶(ゼツ)を使いながら、乗る羽目となった。
にしても、わざわざ囁かなくたって、メンチ切るぐらいでいいじゃないか。
おそらく、その偽ウボォーギンは、方便としての四大行しか知らず、舌(ゼツ)を使ったのだろう。
なら、絶(ゼツ)を使うオレの方が、実力も上だったはずだ。
だって、オレは雑魚とは言え、フィンクスだから。
そうと分かれば、次に会った時にやることは一つ。
旅団同士のマジ切れご法度、コインで決めるしかない。
……今回のオチも無い話、デメちゃんに吸い込んで綺麗にしてほしい。
ギョギョ。

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