分の具合

時間のデジタル表示における「分」は、もっと自分の具合を伝えた方がいい。
具合と言うのは、どの程度の「分」なのかだ。
例えば、8:10だとして、8:10になりたての8:10なのか、それとも8:11に変わろうとしている8:10なのかが、いまいち掴みづらい。
ただ、これは、秒刻みの表示にすれば解決するって話でもない。
理由は、それはそれで焦るから。
なんと言うか、生まれたばかりの「分」か、そろそろ次の数字に進化する「分」かを、雰囲気で伝える努力をしてほしい。
特に、朝の支度の時なんて本当に困る。
オレはヤニカスなので、出来ることなら、タバコを吸ってから、家を出たい。
タバコを吸う時間は、短くて3分、長くて5分かかる。
なので、生まれたばかりの「分」であれば、ゆったりペースで吸えるし、進化前の「分」なら、ヤニクラするほど思いっきり吸って、家を飛び出せるのだ。
それなのに、朝のニュース番組の左斜め上に映る無機質な表示は、「まあ、数字は数字なんで」って感じで居座りやがる。
こいつら、絶対理系だ。
文系出身を小馬鹿にしやがって。
そこで考えたのが、色だ。
と言うのも、数字の色がグラデーションのように変わる仕様なら、先述した要望もクリアに出来るし、秒刻みで具体的に見せられるより圧を感じない。
もしも、青から赤に変わるのであれば、「あ、これ青寄りの紫だから余裕だ」とか「もう真っ赤じゃん!急がないと!」とか、その時々で諸々の対応が出来る。
見たか、文系の発想力を。
理系、ざまあ見やがれ。
しかしながら、悲しいことに、これを「分」に直接伝えることは出来ないのだ。
なぜなら、あいつらは命を持っていない表示にしか過ぎないから。
畜生め。
とは言え、万が一、「分」に命があったとしても、無機質なあいつらは、何にも聞き入れてはくれないだろう。
きっと「ふ〜ん」で終わりだ。
まったく、分を弁えろ。

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