ホテ柿

久しぶりにビジネスホテルに泊まったのだが、許せないことがあった。
器の小さい話かもしれないが、聞いてほしい。
そのホテルは、小腹が空いた時の買い物をフロントで済ませる必要があった。
近くに目ぼしいコンビニが無いからだ。
なので、オレもそこで買い物を済ませ、意気揚々と部屋に向かった。
買ったものは、柿の種だ。
知らない人も居るかもしれないが、ホテルで食う柿の種は格別に美味い。
この宿泊で最も楽しみにしていたことが、ホテ柿(ホテルで食う柿の種のこと)と言っても過言ではない。
部屋に入り、早速、柿の種の袋に手を伸ばすオレ。
しかし、ある事に気付いた。
なんと賞味期限が切れていたのだ。
いや、ホテルの販売物でそんなことあるか?
だが、ここで賞味期限よろしくキレても仕方ない。
オレは、すぐに内線で販売担当に連絡を入れた。
すると、「交換するから、フロントまで持ってきてほしい」とのこと。
え、落ち度がそっちなのに、オレが持って行くの?
普通はそっちが来るだろ、う〜ん。
とは言え、ホテ柿のためであればやむを得ない。
オレは、賞味期限切れの柿の種を携えて、フロントに向かった。
そして、袋を差し出すと、販売担当から驚きの言葉を言われたのだ。
「すみません、柿の種切らしているので、他のお菓子と交換します」
いやいやいやいや、内線の段階で言ってくれよ!
普通は、柿の種を交換してくれると思うだろ!
結局、他の雑魚菓子を選ぶ気分にはなれず、返金対応で済ませたが、せめて申し訳無さを演出するホスピタリティは見せてほしかった。
まあ、改めて書いてみると、オレの器も小さ過ぎるな。
すみません。
それに、考えようによっては、文章の素材を提供するために、あえてこのような対応をしてくれたのかもしれない。
だとすれば、むしろそのホスピタリティに感謝だ。
柿の種を切らした分、話のタネを作ってくれてありがとう。

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