布団が吹っ飛んだ

この前の晴れた日、干した布団が吹っ飛んでいた。
まさかあのレジェンド級のダジャレと出会ってから、四半世紀経った今、その現場に立ち会えるとは。
幸い、隣の集合住宅の庭に落ちていたので、管理会社と連絡を取り、事なきを得られた。
これがカタギで無い人の頭に落ちていたら、ブン殴られて、オレ自身も吹っ飛んでいたことだろう。
さて、世の中には多くのダジャレがある中、知名度としては最強レベルの「布団が吹っ飛んだ」。
今回の件で、かなり起こりやすい事象だと認識出来た。
「いやいや、じゃあ、なんで四半世紀、巡り合ってねーんだよ」と思われるだろうが、それはオレが怠惰だったから、と言うだけである。
だって、定期的に布団を干すようになったのここ2年ぐらいだもん。
きったねー。
話を戻して、今回、布団が吹っ飛んだ理由は、風がめちゃんこ強く、洗濯バサミが甘かったからだ。
こんなこと、きっと誰しもが頻繁に起こりうるだろう。
加えて、このダジャレの最も評価すべき点は、起きた事象の様をダジャレに落とし込んだ点だ。
某サイトで、『一度は聞いたことがあるダジャレのランキング・トップ10』を見てみると、不動の一位の本作に対し、それ以外は「アルミ缶の上にあるミカン」や「電話に出んわ」のような故意でないと引き起こされない内容だった。
事象と言葉の順序が逆転し、寄せに行っている節があり、品が無い。
野暮過ぎる。
狙い過ぎたボケほど冷めるものは無いのに。
それに対し、「布団が吹っ飛んだ」はあまりの美しさに、脳がとろけそうになる。
まるで気品ある風体にも関わらず、駅で友達を待つ隙間時間にコロッケ蕎麦をすするマダムのような印象すら持つ。
言葉の美しさに気付かされた日だった。
でも、この布団ともそろそろおさらばだ。
なぜなら、この布団は、毛布類含め、ボロボロでもう古いから。
……山田くん、この品の無い人の布団持ってって。

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