ピンジャー

小学2年生の時、冤罪でしこたま怒られた。
それは、清掃時間の出来事だ。
その日、オレと友達数人は、多目的室が清掃場所だった。
多目的室は、運動会の道具や資料を置く倉庫と化していて、小学生がふざけまくる条件しかない教室だ。
なので、友達数人は、長い竹の棒を使い、『クラッシュ・バンディクー』1面のボス「ふとっちょのパプパプ」のような遊戯を楽しんでいた。
知らない人は、ググって下さい。
もちろん、いつもなら、オレも一緒に遊んでいただろう。
ただ、その日は気分が乗らなかったのか、一人だけ真面目に清掃をしていた。
そこに、ピンク色ジャージを着た中年女教師(以下ピンジャー)が突如入ってきた。
「お前ら、何やってんだ!」
ふざけていた様子を見ていたのかブチギレるピンジャー、静まり返る多目的室。
しかし、一人だけニコニコしているヤツが居た。
オレだ。
あろうことか、当時のオレは(唯一、真面目に掃除してたんだし、怒られるはずがない)と思い、めちゃくちゃニコニコしていたのだ。
すると、
「テメエが一番悪いんだよ!ちゃんと清掃しろ!」
なぜかオレに矛先を向けられた。
そう、ピンジャーは、オレが元凶で全員を指揮取り「ふとっちょのパプパプ」をしていた、と勘違いしていたのだ。
真面目に清掃していたなんて、微塵も思っていない。
あまりの展開に、ニコニコ顔も一転し、オレは泣いてしまった。
そして、その様子が不憫だったからか、友達の一人が口を開いた。
「あの……、クボタくんは真面目に掃除してました……」
すると、そのピンジャーは、
「あ、じゃあお前悪くねーわ」
お詫びの一つもせず、矛先をふざけていた友達に変えただけだった。
この時、オレは世の中は理不尽だと言うことを、思い知らされた。
もし、今、ピンジャーが着の身着のまま詫びを入れに来たら、こう言ってやりたい。
「テメエが一番悪いんだよ!ちゃんと正装しろ!」

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