『水のまにまに』と言う本についての話だ。
この本は、ある女性作家の作品で、政治家となって地方の発展を進める自身の姿を軸とした半自叙伝だ。
郷土である富山県の澄んだ水の様子と移り変わる時代の流れを重ねて、本書のようなタイトルにされたのだと思う。
こちらの著者名は、申し訳ないがてんで思い出せない。
まあ、そもそも存在しないのだから、思い出しようも無いだろう。
そう、ここまで色々と書いているが、こんな本はこの世に存在しないのだ。
念のため、国立国会図書館のホームページ内で検索してみたが、まったく見つからなかった。
(じゃあ、この謎の本の説明は何だったんだよ……)とお思いの方も少なからず居るだろう。
お答えすると、これはオレが高熱にうなされながら見た夢の中で出会った本なのだ。
うーん、正確に言うと、「出会った」と言うのも語弊がある。
「創り上げた」と言った方が正しいかもしれない。
就寝時、高熱による辛さからどこかで意識は起きていたオレは、何故か分からないが、ずっとこの本の設定を練りまくっていた。
(著者近影は、着物を着たモノクロ写真なんだろうな〜)
(旦那もおそらく政治家なんだろうな〜)
そんなどうでもいいことを色々考えていたのだ。
バカだねえ。
本当に何のための時間だったのか自分でも理解出来ない。
が、「意識が朦朧とする」とは、こう言う状態を指すのだろう。
加えて、お笑い芸人さんが「高熱の時に見る夢かよ!」なんてよくツッコんでいるが、どうやらオレの場合のそれは「存在しない本の設定を事細かに創る」と同義だったらしい。
そりゃもう疲れるの何のって。
ただ、ここまで本について創り上げたのであれば、本当に存在するテイで誰かしらに披露したい。
そう思い、スマホで情報をポチポチ整理していると、彼女から「高熱があるのにそんなことするな」と叱られた。
怒るなよ。
ほんの冗談なんだから。

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