エレベーターの妄想

エレベーターに乗った時、毎度「今、停止したら、ここに居る人たちとどう過ごすんだろう」なんて妄想をしてしまう。
友人や恋人ならまだしも、赤の他人と狭い密室で数時間……、きっとドキドキとワクワクが同居するに違いない。
ただ、先に言っておくと、妄想とは言っても、エロ漫画のようなものではない。
むしろ、脳にストッパーが掛かっているのか、女性と二人きりだと(この人が気まぐれに悲鳴を上げたら、おそらくオレが犯人に仕立て上げられるんだろうな〜)と言う恐怖心の方が勝つ。
なので、そんな事情もあり、妄想のジャンルは、スケベな内容ではなく、脱出ゲームやデスゲーム的な内容がメインだ。
と言うか、それしかない。
特に、「オレ・おばさん・オタク・ヤンキー」とか「オレ・おじいさん・小学生・エッチなお姉さん」とか、全然違うジャンルの人たちで乗り合わせている時なんかは、より一層、妄想も加速する。
理由は、筋書きが面白くなりそうだから。
絶対に、各々が持っている特徴的なアイテムが鍵になるはずだ。
例えば、おばさんなら今日買った大根、小学生ならリコーダー、エッチなお姉さんならコスメか何かかな。
あと、他にも、オタクやおじいさんは、連続殺人鬼であるかのようなフラグを立てられるものの、正体はただの善人……、なんて展開もありそうだ。
もちろん、ヤンキーは、早い段階で死ぬ。
そんな中、オレはと言えば、無個性ゆえに主人公ポジションを確保出来るはずだ。
あ〜、無個性で良かった。
こいつらより先に死ぬことは、ほぼ確実に無い。
いや、待てよ。
小学生については、どうだろう。
オレなんかより、未来を担う子どもの方が、生存確率は高そうだ。
……とか色々と思いを巡らせているが、実際に停止したら、脱出ゲームでも、デスゲームでも、密室の中で平等に協力し合うのだろう。
だって、動かないエレベーターに、上も下も無いんだから。

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