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映画『アステロイド・シティ』を観た

そりゃそうだろ

『アステロイド・シティ』を観た。

 自分の好きなウェス・アンダーソン監督作品は二極化している。「好き」と「嫌い」と言うより、「好き」と「難しい」で分けられている感じ。『グランド・ブダペスト・ホテル』や『犬ヶ島』は好きだったけど、『フレンチ・ディスパッチ』はどうにもこうにも合わなかった。もしかすると、冒険譚を作る同監督作品が好きなのかもしれない。そんな予見をしていた最中、本作を見て「マジでそうじゃん」と確信した。そう、冒険譚で無い本作はやっぱり難しかったのだ。ぐわー。

 全体的なテーマとして掲げられているのが、おそらく二つ。一つは「古き良き時代の回顧録的な役割」。ジェームス・ディーンやマリリン・モンロー、マーロン・ブランドなどの名優たちと登場人物を重ね、その雰囲気に酔うことが軸になっている。確かにパステルカラーで彩られ、ミニチュアやセットも可愛らしいいつもの作風からか、当時の未来を明るく照らすような時世と超マッチしている。『MOTHER2』みたいだ。ただ、本作はおそらくもう一つのポイントと世界観のミスマッチが狙いだと思う。それは、「ウェス・アンダーソン監督の死生観」。作中でも、「丁度いいタイミングなんてない」「タイミングが合うことなんてない」と言ったやり取りや、「時が全てを癒す、なんてことはない。せいぜいバンドエイドさ」と言ったセリフ回しが特に印象的である。メメント・モリ的な? すんません、格好つけて分かってる感を出したかっただけです。へへ。閑話休題、そんな哀愁もあのポップな色彩で表現されるとより一層際立つ。スイカに塩かけると甘く感じる的な。どうでもいいけど、スイカってウェス・アンダーソン監督の色味してるよね。どうでもいいか。

 とにもかくにも難解な映画だった。自分は文学的な映画が割と好きなんだけど、それも越すほどポエティックで掴み切れない歯痒さを感じた。むじー。

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