鴨鍋つゆ

自宅キッチン棚で、鴨鍋つゆが眠っている。
パッケージに描かれた鴨のイラストと目が合う度、プレッシャーを掛けられている気がする。
鴨くん、ごめんなさい。
他の鍋つゆは食い切ったのに、この鴨鍋つゆに関しては、使わないまま冬を越し、春を越し、遂には夏まで来てしまった。
そもそもこの鴨鍋つゆ、美味しく食べるまでのハードルが高いのだ。
何故なら、鴨と冠されている通り、鴨肉が必要不可欠なのである。
思い返して見ると、買う時に彼女も「鴨肉、買うタイミング無くない?」と否定的な意見を言っていた。
それにも関わらず、オレが「いや、絶対鴨肉どこかで買えるから。見かけなかったら通販で買えばいいから」と謎の強行突破をしてしまった。
あの時に言うことさえ聞いていれば。
案の定、うちの近所の大型スーパーで端から端まで探してみたが、一切置いていなかった。
そうなると、自分でも言った通り、ネット通販で買うしかない。
だが調べてみると、どこの鴨肉取り扱いサイトでもそこそこ二の足を踏んでしまうレベルの値段設定をされていた。
と言うか、その価格帯の鴨肉を鍋つゆ消費のためだけに惰性で買うってどうなんだ。
ジビエ特化型富裕層しか、そんな買い方しないだろう。
とにもかくにも、今回の選択については、100%オレの間違いであることは明らかだった。
だって、KALDIで見かけた紫色のパッケージがあまりにも美味しそうだったんだもの。
まあ、その魅力的なパッケージの鴨に、最終的には睨まれてしまうわけなんだけど。
人生に置いて、鴨に睨まれる機会ってそうそう無いだろうな。
いずれにせよ、早めに食わないと、風化してしまう。
そうなったら、トんだ無駄遣いなあ。
メーカー側も、こうなる可能性を予想した上で販売しているの、かも。
ああ、アホ消費者のオレは、鴨よりいい鴨だ。
これで廃棄する様子を見たら、鴨も言うだろうな。
「クエッ!」って。

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