味?なインタビュー

高熱も下がって何日目かの今日、遂に気付いた。
コロナウイルスが流行し始めていた頃、しばしば話題になっていた味覚障害が自分にも起こっている。
ニュースで知った時は、そう言うこともあるんだなあ程度にしか思っていなかったが、なるほど、こう言うことだったのか。
気付くまでにえらく時間がかかった。
熱が下がった後であれば戻るはずの食欲が失われ続けている原因を辿り、ようやく気付けた。
では、何故こうもタイムラグが発生してしまったのか。
それは「味がしない」と言うより「味が曇る」と言う感覚に近いものだったからだ。
味覚がまったく無ければ、アホなオレでももっと早めの段階で後遺症だと認識出来ただろう。
なまじ薄ぼんやりと風味がするものだから、味覚障害に該当するか分からなかったのだ。
何と言うか、0か100かではなく、解像度に違いが出ている気がする。
普段の食事は、最新のiPhoneで撮影する写真ほどハッキリしている。
打って変わって、コロナに罹患しての食事は、モザイク写真だ。
ブツの大まかな色と形、サイズ感は分かるため、被写体の見当は付く。
しかしながら、それだと断言出来るほどの確証は得られない印象だ。
十割の情報を舌や鼻から得られたはずが、良くて五割、酷くて二割まで下がった気がする。
そこで、何故かオレはドキュメンタリー番組でたまに見かけるモザイク処理されたスポンサーの競合商品について思いを馳せた。
と言うのも(あれ全部、ぼやけた味がしていたら面白過ぎるな〜)なんて妄想してしまったのだ。
アスリートや芸能人が格好付けてインタビューに答えている最中、飲み物を口に運ぶ度に今のオレみたいな「???」を頭に浮かべていたら、その様子はさぞ滑稽で珍妙だろう。
でも、その面白さに気付いたプロデューサーがわざと狙い出したら、逆に冷めちゃうなあ。
こう言う輩が味を占めた時にこそ起きろ、味覚障害。

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