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第五の執筆方法「スマホ+Bluetoothマウス」執筆速度検証結果

 一家全滅したインフルエンザの影響はまだ子どもたちに残り、咳が続いている(コロナは陰性)。座ってタブレットを見ている際にも、「背中をさすって」と下の子が求めてくるので、私も子どもの傍らから動けない状態が続いた。

 そんな中で、どうやって執筆するか。場所を取らず、片手で出来る方法はないかと検討してみた。私のスマホの画面はタップしても反応しない箇所が増えており、不便さがあるが、意図的に機種変更せずに使い続けている。家で使う場合は、台に載せてBluetoothマウスでクリックして使用していた。これを本格的に文章執筆に使用してみようと思い立つ。

 というわけで、シロクマ文芸部参加作「かつて夜空に月は12個浮かんでいた」

の後半は、ひたすらスマホにマウスぽちぽちというやり方で書いた。スマホの設定はフリック入力式ではなく、50音表記式にしておく。使用エディタはGoogleドキュメント。

メリット

・左手で子どもの背中をさすりながら、右手だけで書ける。

デメリット

・文体の統一が取りにくい(時間がかかる)。
・大幅な手直しの際に大変。
・妻に「何やってんのこの人」という目で見られる(日常)。

 では具体的に通常執筆と比べてどれくらい時間がかかるのか、というのも検証してみた。以前こんな記事を書いたことがあるので、同じ例文を使用して執筆速度を計測してみた。

例文1
「小説を書きたかった猿」より

 モテたい。
 彼女が欲しい。
 セックスしたい。
 といった想いはいつしか、
 モテたかった。
 彼女が欲しかった。
 セックスしたかった。
 と、過去形に変わってしまった。

 たったこれだけの文章量を打つのにも、126秒かかっている。

 ランキングに付け加えてみると、
1位:ノートパソコン+別売キーボード:18.60秒

2位:ノートパソコン:21.29秒

3位:スマホ+小型Bluetoothキーボード:22.75秒

4位:スマホのみ:44.68秒

5位:スマホ+Bluetoothマウスぽちぽち:126秒


次に少し長い文章

例文2
「音楽小説集」内の
「夜明けのBEAT」フジファブリック より

 見た事のない品種の猫が、這うようにして猫の集会に向かっている。シャッターの壊れた倉庫の入り口にスキンヘッドの男達が入っていく。今夜は月面のでこぼこが肉眼でもよく見える。背中の開いたドレスを着た髪の綺麗な女が地面にゲロを吐いている。顔を上げたら老婆だった。1から9までのプッシュボタンが取れた、公衆電話の受話器にすがり付いて誰かに話しかけている男が昔の友達に似ている。
 だからどうした。
 走る。


こちらも前回の記事そのまま書き写し、マウスぽちぽちを付け加えることにする。

1位:ノートパソコン+別売キーボード:1分06秒14

文章量が増えたので、例文1と比べると約3.6倍の時間がかかっている。
その比率を当てはめると予測される他の方法での結果は、
ノートパソコン:1分16秒44
スマホ+小型Bluetoothキーボード:1分21秒9
スマホのみ:2分40秒84
スマホ+Bluetoothマウスぽちぽち:約7分34秒
なのだが実際の結果は、

2位:ノートパソコン:1分08秒75
3位:スマホ+Bluetoothキーボード:1分10秒09
4位:スマホのみ:2分21秒18
5位:スマホ+Bluetoothマウスぽちぽち:6分50秒

スマホのみは別として、1位から3位までの差がほとんどない。
1位:ノートパソコン+別売キーボード:1分06秒14
2位:ノートパソコン:1分08秒75
3位:スマホ+Bluetoothキーボード:1分10秒09

 最速の執筆方法に比べて6.8倍も時間がかかる。加えて、先述したように、大幅な手直しには大変な手間が発生することにもなる。

 前回最下位の「スマホのみ」より3倍近い時間がかかるので、他の執筆方法が可能な際には、わざわざ選択肢に入れる必要はない方法だろう。

 しかし時間はかかるものの、今回のように「片手が塞がっている」だとか、「キーボードを使える環境ではなく、スマホのフリック入力も不可の状態」であるなら、頭の片隅に入れておいてもいいと思う。怪我や機械の不調・故障といった事態はいつ訪れるか分からないことであるし。

 音声入力執筆は試したことがないものの、いろいろやってみると、どのような状況でも執筆は可能ではないか、と思えてくる。


入院費用にあてさせていただきます。