千人伝(九十七人目~百人目)
九十六人目 土鳥
つちとり、と読む。土の上にいる虫を啄む鳥ばかり見ているうちに、自身も地面を這い回るように動くようになり、食べるのも虫だけになってしまった。土鳥を昔から知る友人は「そういえば昔からあいつはあんな風だった」と記憶を思い違いしてしまうほど、土鳥の動きは自然なものだった。
土鳥の巨体に邪魔されて自身の食事を思うままに出来なくなった鳥たちは、土鳥を突いて追い出そうとした。しかし逆に土鳥に捕らえられ、羽根をむしられた。むしった羽根を土鳥は背中に貼りつけたが、飛べるは