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サステイナブルでクリエイティブな「SCRAP」の教育プログラム

前回、サステイナブルでクリエイティブな暮らしを支えている非営利団体「SCRAP(スクラップ)」について書いた。今日はSCRAPが、その活動の中心に置いている教育プログラムについて紹介したい。

SCRAPでは1年に130トンものゴミをレスキューし、それを格安で販売したり、新たな商品に展開することで利益を上げている。それ自体がすでに素晴らしいことだけれど、SCRAPのいちばんのミッション(使命)はこの教育プログラム。教育部門での採算はトントンくらいで、年によっては多少赤字のこともある。しかし、このプログラムをやるためにクリエイティブリユースセンターをやっていると言っても過言ではないほど、SCRAPの存在意義はここにある。

SCRAPの教育プログラムは、主に以下の4つ。
1)学校等での出張ワークショップ
2)学校や団体で参加するSCRAPでのワークショップとツアー
3)キャンプ(休日や夏休みなどに行われるクラス)
4)その他(教師向けトレーニングセッション、大人向けクラフトクラス、先入観を捨てて新たな発想を生むチャレンジカードプロジェクト、バースデイパーティなど)
子どもを中心に、大人たちも巻き込んでクリエイティブリユースに触れる機会を提供している。

プログラムによって所要時間がかなり違うので、内容も大き加わるけれど、メインターゲットとしている子ども向けプログラムの場合、①実際に手を動かすモノづくり体験、②クリエイティブリユースと資源、環境についての話、③リユース素材を使った自分の作品を持ち帰るが必ず含まれる。言葉で聞けばどうってことはないかもしれない。でも、実際の経験はそれとは大きく異なる。

クリエイティブリユースと資源、環境についての話で必ず紹介するのがこの「4R」。地球を守るために私たちができる4つのこととは?これを子どもたちと一緒に考える。もちろん、すでに知っている子どもたちもいるので、その子たちにとっては「おさらい」。

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一つ目のREDUCE(リデュース)とは「減らす」ということ。とにかくゴミを減らし、ゴミを出さないようにすること。それがもっとも地球に負担をかけずに、最初にできること。REUSE(リユース)は、これまでは捨てていたものをもう一度使うこと。ゴミになるまでの寿命をできるだけ長くする。REDUCEするためにREUSEする。次に、いわずと知れたRECYCLE(リサイクル)。そして、最後はROT(ロット)。これは土に還すということ。ちなみにポートランド市はコンポストの回収があり、それらは直で土に還っている(はず)。

それぞれの言葉の意味や、実際にそれらがどういうことなのかを話し合う。リサイクルにはたくさんの工程とエネルギーが必要だということ。一方、リユースなら地球に負担をかけることなく暮らしに活用できるということにも触れる。

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SCRAPはそのREUSEを支えるために、多くの個人や企業が要らなくなったモノを格安で社会に還元している。資源を大切に、地球に負荷をかけずに暮らすために、クリエイティブリユースセンターSCRAPがある。「someone’s waste is someone’s treasure(誰かのゴミは、誰かの宝物)」そんな言葉が聞こえてきた。

ワークショップでは、長年の経験から培われた実にクリエイティブで面白いプロジェクトがたくさんあるのだけれど、私が興味を持ったのはこれ。「チャレンジカード」と呼ばれるエクササイズ的なもの。小学校中学年以上の子どもから大人が対象のプログラムで利用される。

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お題には例えば「小さな子どもに形について教えるなら、何を使う?」「何かおばあさんが好きそうなものを見つけて来て」「水に浮くものと、水に沈むものを一つずつ探して」「赤ちゃんに安全なおもちゃを作るなら何を使う?」「衣装を作るなら何で作る?」「掃除をするのに使えるツールを探して」「水泳のプールで遊んで楽しそうなものは?」などなどたくさんの質問がカードに用意されている。これらの答えを、子どもたちはリユースセンター(店舗)から見つけてくる。

いつだってどこでだって、何をどう使うかは自分たち次第。「チャレンジカード」は既成概念を拭い去り、自由でクリエイティブなマインドを取り戻すには非常に楽しくて有益なエクササイズ。そもそも子どもたちは大人のようには世間のあるべき姿に惑わされない。でも、だからこそその柔軟性を維持し、さらなる発想力を磨くためには非常に有効だと感じた。

こんな様々なコンテンツを織り交ぜながら、SCRAPのプログラムは運営されている。今回はのモノづくりの例には一切触れられなかったけれど、それはまた次回!

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