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カラオケを歌う娘

私が子どもの頃は、テレビで人気のアイドルが歌う歌謡曲を誰もが知っていて、みんなで歌いまくったものだ。新曲が出ると、歌を覚えるために、テレビの前で家族全員に静かにしてもらってカセットテープに録音して、雑誌の付録についていた歌詞集を手に、テープが擦り切れるくらい何度も何度も聞いていた。

でも娘は、自分のタブレットにカラオケのアプリを入れて、好きな曲を毎日のように歌っている。もちろんカラオケだから伴奏つき、歌詞は分かりやすくメロディーに合わせて文字が追える。どんな曲も探せるし、点数だってつけてくれる。本当に便利な世の中だ。

それはそうと、興味深いのは、その歌詞だ。
まだ小3で割と幼い方だと思っていた娘の口から、恋だの愛だの、切ないだの会いたいだのと歌われると、ちょっとドキッとする。
そういう意味でいうと、私の頃から親の心配は変わっていない気がする。私の通っていた学校では歌謡曲を歌うのを禁止されていた。

でも、歌謡曲で大人の世界を垣間見て、少しずつ背伸びしていくのも成長なのだと思う。
私も全く意味は分からなくて歌っていたけれど、ふとした時に思い出したり、自分や友達の悲しみに寄り添えたのも歌の助けがあったからだと思う。

そして何度も何度も歌っていた歌はもちろん今でも覚えていて、なんと切ない深い歌詞だったんだろうかとこの歳になって気づいたり、その繊細で美しい歌詞に改めて涙したり。

これから娘の歌がどう変わっていくのか、歌詞をどう理解していくのか、
楽しみに観察していこうと思う。

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