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『怪物』


誰かと分かち合いたい映画

SNSでフォローしてる方たちが
声をそろえて是枝監督の『怪物』を
絶賛しているのを見て
久しぶりに映画館にむかった。

前評判とおり
色々考えさせられる
いい作品だなと思いながら、
でもこの作品は、
見終わった後に
誰かと感想を分かち合いたい!
そんな映画だった。

視点がおもしろい

誰の中にも潜む「怪物」
この映画では、
強くて優しいシングルマザー
不器用だけど生徒想いの先生
思春期にさしかかった小学5年生
その3人の視点で物語が展開していく。

点と点が結ばれていくうちに
あの人のあの一言が、あの行動が、
深く傷つけてしまったのだと分かる。
日常の小さなシーンに隠された
謎解きのような面白さと
ジワジワとくる怖さで
終わった後も映画館の席で
少し頭を整理したくなる映画。

「怪物」の一面

ごく普通の善良そうな人も
視点を変えれば、
人を傷つける「怪物」になる。

その傷が、かすり傷のときもあれば
一生、胸をチクチクとえぐるような
深い傷になる可能性もある。

私には、思い返すと苦しい
「怪物」になってしまった経験が。

母は1年半ほど前に
認知症と診断されて。
病気を疑ったのは2年前。
それに気づくまで、
本当に毎日が嵐のような日々でした。
今、思い返すだけでも涙がとまらない。

気が付かなかったとはいえ、
その一つ一つの言葉が
どんなに母を傷つけたか。
「大丈夫?」
「しっかりして!」
「なんど同じこと聞くの?」

今でも母は、
私にスケジュールの確認を
何度も何度もくりかえす。
きっと私に言われたことに傷ついて
認知症になった今でも、
私の前ではしっかりしよう!と
思ってるにちがいない。

自覚がないのが一番怖い

母のこの一件は、
傷つけてしまったと
自覚しているが、
一番怖いのは、
映画のように、
気づかないうちに
誰かの「怪物」に
なってるかもしれないこと。

でもそれを気にしていたら
人付き合いなんてできない。

だから大切なのは、
自分の一言が、
他の人の視点では
別の意味になったり
傷つけたりすることが
「ある」ってことを
理解していること。

みんな誰しもが
傷つけ傷つけられて
そしてそれでも
人と関わって
生きているってこと。

この映画のエンドロールをみながら
そんなことを考えていた。


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