国内スマホゲームメガベンチャーはなぜ縮小しているのか?

2014年から2018年度にかけて、国内スマホゲームメーカーは以下の通り、売上が緩やかに下がり続けています。
今回は、A.国内スマホゲームメガベンチャーはなぜ縮小しているのか?について考察したいと思います。

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まず考えられる要因として、以下の仮設が考えられます。

A-1. 市場が縮小している
A-2. 競合に奪われている

まずは、市場が縮小しているのか確認してみましょう。

B. 市場は縮小しているのか?

次のグラフは、国内スマホゲーム市場規模の推移(1)です。

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上記の通り、スマホゲーム市場は年間平均4.3%成長し続けてきました。つまり次のような結論が得られました。

B.市場は縮小しているのか?
→ 縮小していない。むしろ成長している。

では、次にA-2. 競合に奪われている。点について検証してみます。

C. どこの競合に奪われているのか?

この問に対しては次のような仮設が考えられます。

C-1. 他の既存スマホゲームメーカー
C-2. 国内老舗ゲームメーカーのスマホゲーム参入
C-3. 海外スマホゲームメーカー

まず、C-1はあるかもしれないですが、可能性が低いと判断したので、C-2, C-3の可能性が否定された段階で検証することにしましょう。

まずは、C-2. 国内老舗ゲームメーカーのスマホゲーム参入の可能性ついて検証してみます。 

国内老舗ゲームメーカーはスマホゲーム市場参入に成功している

任天堂はファイアーエムブレムやマリオ(2)、SQUARE ENIXはドラゴンクエスト(3)等のスマホゲームをヒットさせていますが、次の売上推移を見て頂ければ分かる通り、老舗ゲームメーカーはスマホゲーム市場に参入し数100億円程度の売上シェアを獲得しています。

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では、次にC-3. 海外スマホゲームメーカーの参入について検証したいと思います。

中国ゲームメーカーの勢いがすごい

荒野行動や第五人格等のスマホゲームを開発している、NetEaseという中国企業のモバイルゲームの売上と比較してみます。
次の通り、日本の市場でかなりうまく言っていることが分かります。(4)

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モバイルゲームの業績(Online GameのNet Revenue * 0.7をしました。)と、国内市場規模を比較しても、少なくとも数100億円程度は日本の市場を喰っていることが想像できます。

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上記のことから、次のような結論が導き出せます。

C. どこの競合に奪われているのか?
→ 任天堂やSQUARE ENIX等の老舗ゲームメーカーの市場参入
→ NetEase等の中国ゲームの日本進出

しかし、DeNAは任天堂やSQUARE ENIXと提携しているなど、協力関係でもあります。
つまり、任天堂 + DeNA VS 中国ゲーム企業という構図になっており、国内のスマホゲームメーカー単体では、かつてほど市場で勝てない状況であることが分かります。

では、最後にD.なぜ中国スマホゲームメーカーは強いのか?について検証したいと思います。

D. なぜ、中国ゲーム企業は強いのか?

考えられる要因として、次の2つが挙げられます。

D-1. 投資額・兵力の差
D-2. 戦力・生産性の差

まず、国内スマホゲームメーカーとNetEaseの従業員の推移を比較してみます。以下の通り、国内最大スマホゲームメーカーであるDeNAと比較しても、4倍の兵力差があることが分かります。

従業員数推移

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しかし、NetEaseはDeNAと比較し、売上は7倍です。

売上推移

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つまり、次のような結論が言えるのではないでしょうか。

D. なぜ、中国ゲーム企業は強いのか?
→ 兵力が4倍も差がある。
→ 売上は7倍であり、スマホゲーム業界はWinner Takes Allの業界である

考察

A.国内スマホゲームメーカーはなぜ縮小しているのか?という問いに対して、DeNAなどは任天堂やSQUARE ENIXと提携する努力などを見せているが、中国スマホゲームメーカーに追い込まれている。
という、結論が得られました。

この市場で勝つためには、少なくとも数千人規模の従業員を抱える必要があるので、既存スマホゲームメーカーはスマホゲーム市場以外への新規事業創造を積極的にする必要がありそうですね。

その他参考文献

各社の有価証券報告書・決算資料を基に業績のグラフは作成しました。

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