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もしも韓国ドラマに帯があったなら-ドラマのタイトルやポスターについて考えてみる-

ある日”恋”がついたタイトルの韓国ドラマを観て、ふと考え込んだ。「どのシーンで恋をしたのだろう。もしや、見逃してしまったか...」原題と作品のポスターを調べてみると、その謎は大体解ける。邦題やポスターがアレンジされているのだ。

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実際の作品と、タイトルやポスターの雰囲気が少し違う。これって誰にとって得がある話なのだろう。そんな気持ちになり、背景を考えてみた。

1)どんな目的があるのか

あくまでも個人的な意見だが、韓国ドラマの邦題は”恋”がつくことが多い。そして、ピンク色のキラキラしたポスターや、誰が出演しているかをわかりやすくし、三角関係を想起させるようなポスターをよく目にしてきた。”恋愛ドラマは視聴されやすい”という考えがもし前提としてあるのであれば、このような邦題やタイトルになることも納得がいく。つまりは、1人でも多くの人に観てもらうことを目的とした結果なのだと思う。

2)実際のところはどうなのか

韓国ドラマ視聴者の一例として、見始めから見終わりまでのステップを書き出してみる。韓国ドラマは、1作品あたり16話前後×約60分であることが多いため、完走するにはそれなりの時間を要する。そのため、まずは何に自分の時間を費やすか①慎重に作品を選ぶ。その上で②視聴し、③自分に合わないものは少しお休み(離脱)させてもらうこともある。視聴が完了したら、④友人や共通の趣味を持つ方へおすすめしたり、忘れないよう感想を書き溜めたりする。

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仮にタイトルやポスターのテイストをアレンジするのは、大勢の人に見てもらうための取り組みとした時、気になる点は大きく2つだ

(1)そもそも本当に恋愛ドラマでないと見てもらえないのか(=①で選んでもらえないのか)

(2)抱いていた印象とドラマの内容が違った時、完走してもらえるのか(=②で見てくれたは良いものの完走するのか、③離脱してしまうのか)

まず1つ目だが、そうではないと最近特に感じている。例えば、Netflixで話題の「イカゲーム」や「D.P.」を挙げてみる。配信開始後、視聴順位が上位にランクインした2作品だが、どちらも恋愛ドラマとは程遠い。一方は賞金と生死をかけたサバイバルゲームを題材として現代社会の問題に切り込み、もう一方は兵役に焦点を当ててリアルに描く。

もちろん口コミの影響もあると思うが、必ずしもキラキラした恋愛ドラマでなくとも視聴者は観るのだと思う。違う見方をすれば、恋愛ドラマ以外を好む人たちにとっては、タイトルやポスターで判断し、視聴しないケースも出てくる可能性があると言うことだ。

次に2つ目だが、これは正直想像がつかなかった。個人的には、一度寝かせた後にそのジャンルの気分になった時に見返すタイプだ。そこで、韓国ドラマ愛の深い沼の民たちへ質問し参考とさせて頂いた。(たくさんのご回答ありがとうございます。)結果としては、一度見始めたドラマを最後まで完走する人が多いということ。ただ気になるのは、視聴体験だ。観るのだけど、一定モヤモヤが残る人たちが存在するのである。


3)コンテンツに帯があったなら

必ずしもキラキラしたポスターではなくても、韓国ドラマは多くの人に届くかもしれない。そして、入口と中身が紐づかない時は、視聴した後にモヤモヤが残る。このモヤモヤをもう少し言語化すると、好きになった作品の世界観とずれていることでタイトルごと愛するのが難しかったり、感想を伝える時に邦題の方が伝わりやすいが原題の方が内容と合っているためどちらを使うのが良いか悩んでしまったりするということなのではないかと推測する。

一方で、入口と中身の雰囲気をあえて変える演出や、それによって偶然の作品との出会いがあることも事実である。そこで、無力な私でもこの状況で出来るとは何かを考えてみた。1人でも多くの人に作品が届いて欲しいという目的はおそらく一緒なのである。

どうすれば良いか...。

本のカバーや帯、レンタルショップの手書きのPOPをふと思い浮かべた。買おうか迷った時、借りようか足を止めた時、背中を押してくれるあの存在だ。もしそんな存在があったなら、全てが解決するわけではないけれど、心の準備をした上で、少しでも多くの人に届くのではないだろうか。ちょっと荒いけど、例えばこんなイメージ笑。

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作品が大好きだからこそ、元々の世界観を大切にしながら、伝わりやすい方法で、1人でも多くの人に韓国ドラマが届くといいなと思う。