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【漫画感想】二階堂地獄ゴルフ

スポーツ漫画には色々な主人公が出てくる。
才能こそ無いものの、努力でなんとか周りについていこうとする主人公。
最初は才能が無いが、徐々に才能開花していく主人公。
最初から才能あふれた主人公などなど…..。

この漫画は「カイジ」シリーズで有名な福本伸行氏が描いたゴルフ漫画と言うことで、興味があって読んでみた。
カイジも今や結構な蛇足ストーリーだったりして、この漫画もそこまで期待せず読んでみたけど、読んだ瞬間驚いた。

こんなに何もないゴルフ漫画描いて良いの……????

本当に何も起こらない、進まない。
主人公がゴルフを通してライバルと研鑽しあう → 無い
主人公がプロゴルファーとなって大会を勝ち上がる → 無い
主人公を好きなヒロインとのラブストーリー → 無い

何この漫画……なんで成立してるの……??

主人公はプロゴルファーを目指している二階堂進(35歳)。
彼は26歳の時にプロゴルファーになるためのテストを受け、ゴルフを始めて約半年にも関わらず、あと1打でテストに受かるところまで行ったことがある。
当時はゴルフを初めて約半年でテスト合格に肉薄したため天才だ!ともてはやされていたものの、そこから10年間ずっとプロテストに落ち続けている。
所属しているゴルフクラブからも疎まれ、周りにも期待されていない状態で毎年毎年毎年毎年テストに落ち続けている二階堂の行く末は……。

なんというかスポーツ漫画で初めて”食っていけない天才”レベルの才能について描かれているのが興味深かったな。
主人公の二階堂は決してゴルフ下手では無いのよね、むしろ一般的なアマチュアよりも上手い部類に入ってると思う。
でも受からないし、10年まったく同じことの繰り返しをして生き続けている、まったく得るものもないし成長している訳でもない。
一回夢に手が届きかけたからこその執念と言うか諦めなさが、もはや呪いと言えるレベルで人生の足を引っ張っている状況が、読んでてうわぁ…となった。
作中でもどんどん時間が経っていて、3巻時点で50歳手前
何も得ていない状態で約25年経ってるのを考えるとだいぶ恐ろしい……。

ただ二階堂の諦めなさが、周りにほんの少し前向きさを与えていることも描かれていて、ハッピーエンドで終わるとしたら周りとの関係性がカギになったりするのかな……。
ここまでテスト受かってないのであれば、ここからもテスト受かることは一生無いだろうしなぁ。プロテスト受かって終わりは100%無いと思う。

どういう終わりを迎えるのか、今一番気になっている漫画です。

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