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#40 校長の四次元ポケット

 やりたいことがあるときに、道具が揃わなくて断念した経験はないだろうか。私はこの類の失敗が結構あるので、道具は大事だなあとよく思うのだが。道具に関して言うと、本校の校長はすごい。道具の宝庫、まさに四次元ポケット。その道具とDIY精神で、校内環境は劇的に変化した。今日はそんな話。

 秋口の学習発表会。質を向上させるには音響は必須。今まで体育館天井に備え付けられたスピーカーから音を鳴らしていたので、音は拡散してしまっていた。それに納得がいかない校長は、自前のミキサーとスピーカー2台を出してあっという間に臨場感のあるサウンドを作り出してしまった。ヤマハの結構いいサウンドシステムを自腹で購入したらしい。おそるべし。本校の校庭の隅には桜の木が植樹されており、春先には我々を楽しませてくれる。しかし、枝は伸び放題伸びる。PTAの方々のご協力で伐採したのだが、まだトラックに積み込むには、枝が長い。校長は自前のマキタのチェーンソーを出してきた。伐採する姿は、もはや職人。おそるべし。校庭には桜の木の他に、銀杏の木も植樹されている。秋口になると近隣に大量の落ち葉が舞い、地域住民からの苦情のテレフォンもくる。今度は、マキタのブロワーを持ってきた(マキタがお気に入りなのだ)。ブロワーの風圧で落ち葉を一箇所に集めると、回収する作業が非常に楽だ。そんなのも持ってるの?おそるべし。

 校長はワックス清掃にもこだわりがある。剥離剤を使って剥がさないと、ただの上塗りだということで、まずは徹底的に剥がす。ネットで買ったのかどうかわからないが、プロ御用達のような薬品を持ってきて作業をし始めた。技能主事さんの仕事を完全に奪っている。そして、水を吸う掃除機もどこからか購入してきた。確かに、人力で床の水分を吸い取るには非常に時間がかかる。本当に様々なことをよく知ってる。掃除機やポリッシャーを扱う姿は、職人だ。

 校長の車にはそのような道具だけでなく、ネジ関係、ICT関係のケーブルなど様々なものが積んである。「校長先生、あれ持ってたりします?」と尋ねると、大概のものは出てくるから、本当に驚く。一番驚いたのは、除雪機のヒューズが飛んだときだ。通常、業者に頼むレベルなのだが、ネットで部品を取り寄せて、最終的には自分で修理してしまった。ぐうの音も出ない。そのような姿を見ていると、自然に自分にDIY精神が芽生えるのを感じる。ホームセンターで一時間以上ウキウキして過ごせるようになったのは、多分校長のせいだ。

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