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#86 みんなで勝つ時代〜伊豆のぬし釣りから学ぶ〜

「伊豆のぬし釣り」というユーチューブチャンネルは、控えめに言って最高だ。このチャンネルを毎週金曜日に呑みながら見ることが、私の至福の時間である。男優のヤマトが、ソロキャンプで焚き火を楽しみながら呑んだくれる動画なのだが、たまに登場する、彼らが愛飲するクラフトビアが美味そうで美味そうで。ポチろうと思ってもいつも完売。ずっとお預けをくらっている。


 そう、これはWin-Winの関係。伊豆のぬし釣りのチャンネル登録者が、ビア会社のビールを買う。ビア会社は潤う。今度はそのビア会社が何かとコラボすれば、その何かが潤う可能性がある。経済は循環し、幸せが波及する。飛び抜けた一強が勝ったとしても、幸福は同心円状に波及しない。教育界でも、まだ自分一人が勝てばいいという発想をもつ教員もいる。みんなで勝つ時代だというのに。


自分の学級をよくしたいという気持ちは分かるが、そこに優劣をもたせようとする気持ちは、理解できない。主人公は子ども一人一人であって、教員ではないのだ。つまるところ学校経営はかけ算である。いくら個人の力で、総数を高めていったとしても、かけ算には敵わない。まあ、いつぞやのフォークソングディオの歌詞にもあるように、「僕がゼロなら意味がない」のだけれど。


私のバンド仲間である教員は、人meet人が上手い。私も彼に、のちに友人となる人物を多く紹介してもらった。ある日、「なぜ、何故こうも人を繋げてくるのだい?そのこころは一体どこにあるの?」と問いかけると、彼はこう答えた。「簡単だ。ケミストリーが生まれるからだよ。そうすると俺の交友関係も、また面白いことになるだろ。ちなみに俺は堂珍ね。」


つい先日の出来事。コロナにより、6年生を送る会は例年通り行うことができない。特別活動主任から相談を受けたが、オーバーフォーティーな我々の脳からは、斬新なアイデアが出にくい。友人のケミストリーという言葉が頭をよぎる。声を大にして困っていることを晒け出し、方々にアイデアを求めた。若手教員がのってきた。弱さをさらけ出せば、相手も懐に飛び込みやすくなる。急遽井戸端会議が始まり、二人で考えていたら、絶対に出なかったであろうアイデアが多数盛り込まれた案件が完成した。


自分をよく見せたい、自尊心を満たしたいという欲を排除しなければ、みんなで勝つ教育は行うことができない。そして、勝つのは自分ではなく、教育の対象者である児童だということを、決して忘れてはいけない。

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