見出し画像

アジャイルの本だからアジャイルに書きました #目標づくりガイドブック #OKR #アジャイル


目標づくりに関する本を出版します

2024/07/22に、翔泳社より「アジャイルチームによる目標づくりガイドブック」が出版されます。

出版までの間、不定期で本書についてnoteで発信していき、どういった背景、プロセスで本書が執筆されたのかを紹介します。このnoteを通して、さらに本書に興味を持ってくれる人が増えたらうれしいなーと思っています。一連の投稿は下記マガジンにまとめていきます。

今回は、本書をどのように執筆していったかを紹介します。

書籍を書く意義を言語化する

まず、そもそもなぜ本を書くのか、から言葉にしていきました。インセプションデッキでいうところの「我々はなぜここにいるのか」ですね。

また、世の中にはすでにOKRの解説本はいくつか出ています。その中で本書でなければ生み出せない価値はなにか。これも言語化していきました。インセプションデッキでいうところの「エレベーターピッチ」です。

チームメンバーのメンタル面のサポート、士気の上げ方といった、普段目に見えない部分の改善方法まで触れているものは多くありません。しかし、これらの要素は目に見えないだけで成果を上げるためには重要な要素となってきます。本書は、改善のためのチーム運営の手法だけでなく、そういったメンバーのモチベーション管理といった点まで解説を行います。

アジャイルチームによる目標づくりガイドブックの企画書より引用

この形にたどり着くまで編集の方と何度もやりとりをして、ブラッシュアップしていきました。

背骨をつくる

次に着手したのが目次づくりです。

【目次】
STEP1 お互いを知ろう
STEP2 ワクワクする目標をつくろう
STEP3 チームのリズムをつくろう
STEP4 チームのマインドを育てよう
STEP5 助け合えるチームになろう
STEP6 チームの開発生産性を測ろう
STEP7 チームの外と向き合おう
STEP8 ゴールにたどり着いたその先に

最終形はこちらですが、ここにたどり着くまでに何度か変更を加えています。プラクティスごとにまとめる、時系列でまとめる、チームの状態でまとめる、など様々なアイデアが出て、つど目次を作り、ああではないこうではないと修正していきました。

この目次の時点で、目標設定に悩んでいる人達の役に立つものになるか(ユーザーへの価値貢献)、目標設定に悩んでいる人や、目標設定者にうまく目標達成を推進してもらいたいと思っている人が買いたいと思う内容か(顧客への購買訴求)を探っていきました。

目標を定める

目次ができてきたタイミングで、本書自体のOKRをつくりました。このOKRをつくっていくことで、このあと執筆していく本書がそのOKRの達成にちかづくものかを見定める基準ができました。

インクリメンタルに作る

技術書の執筆はGitHubでIssue管理する方も多いですが、私はGoogle Docsで行いました。これは、エンジニアではない編集者の方が気軽にフィードバックできるのはGoogle Docsのほうだと考えたためです。

そして、章が出来たタイミング(場合によってはもっと小さい単位)で編集者に共有し、フィードバックを求めるようにしました。連絡はFacebook Messangerを利用しました。Google Docsと同じく、気軽に使えるという観点での選択です。

コメントしやすいツールを使う、こまめに連絡しフィードバックを乞う、を実施したことで実際にフィードバックをいただくことができ、そこからイテレーティブに文章をカイゼンしていくことができました。

編集との距離の近さが垣間見えるやりとり

STEP6 チームの開発生産性を測ろうは、実は最初に執筆を始めた段階では存在していませんでした。執筆中に、開発生産性をどう目標と紐づけるかについて悩んでいるチームが多いと感じ、追加しました。これもインクリメンタルな作り方だったから、あとから追加できたなーと感じています。

noteで仮説検証サイクルを回す

内容を肉付けしていく中で、この内容があると役立つのでは?と思いながらも、果たして本当にニーズがあるのかがわからない場面がいくつかありました。そういうときにはエッセンスを切り出してnoteに書き出し、世の中に公開していきました。そこで一定のリアクションが得られたものについてはニーズがあると判断し、本文に取り込んでいきました。(noteの文章そのままではないです、念の為。)

レビュー期間中はあえて手をつけない

ある程度出来上がってきたタイミングで、有識者によるレビューを実施しました。一ヶ月ほどレビュー期間があったのですが、この期間はあえて原稿にはふれないようにしました。Google Docsで作っているので通知はガンガンくるのですが、個別対応したい欲求をビールでグッとおさえて我慢していました。
これは、レビュワーごとに異なる観点でコメントいただいているので個別に対応していると整合性がとれなくなる恐れがあること、また一つ一つ見ていると全体の傾向がわからなくなってしまうことから、「レビュー期間を終えてから一気に見る」という作戦をとりました。

基本はインクリメンタル・イテレーティブに執筆を進めていましたが、ここはバッチ処理的な動き方をしていました。

レビュー内容をうおおおっと反映させる

うおおおっとやりました。

なおレビュワーは、主に以下の属性の方々にお願いしました

  • 専門家

  • 本書のターゲット

専門家レビューは、ある程度熟達した人にとっても意味のある本にしたい、という狙いがありました。
本書のターゲットによるレビューは、ターゲット目線で抜け落ちているものがないかを精査したい、という狙いがありました。

どのレビューコメントも「確かに・・・!!」というものであり、結果として、うおおおっとやりました。

レビューをうけ、構成にも手を入れました。もともとSTEP6 チームの開発生産性を測ろうは最終章にして、それまでのストーリーからは独立させていたのですが、全体の流れに対するフィードバックをいただき、現在の形に落ち着きました。

本の体裁になってから修正する

いよいよ「本」の体裁になっていきます。本の体裁、実際に手にとるものになると見えてくる違和感があるので、そこに対応していきました。
編集者から原稿が来たらすぐに読んで対応する、を繰り返していましたが、これには狙いがありました。

「ここからは誤字脱字の指摘くらいで」

ある段階からは、「ここからは誤字脱字の指摘くらいで」と言われていました。基本的にはそれを守りつつ、気になっているところに関しては終盤でも引き続き修正をしていました。
これは、早めに対応していたことでスケジュールが前倒しで進行しており、おそらく多少変更しても大丈夫なはずだ・・・という目算がありました。これはどうやらあたっていたようで、誤字脱字指摘フェーズになってからもそれなりに文章のブラッシュアップをすることができました。

入稿!

そんな紆余曲折をへて、ついに入稿。これで本当に手を離れました。
来週か再来週にはおそらく見本誌がくるはずで、とても楽しみです。

本もその気になればアジャイルに作ることができる

というわけで、アジャイルに作っていった本書の作り方を紹介させていただきました。みなさんが「本書いてみたいなー」と思ったときに役立つと嬉しいです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?