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肯定的意図とリフレーミング


前向きさを作り出す仕組み

同僚のしいばさんやゆのんさんから、「何を提案しても前向きにとらえてくれてうれしい」というフィードバックをうけました。しんでんさんからも「その前向きさはどこからくるんですか?」と問われました。
これに対しての唯一にして絶対の解は「良質なヘヴィメタルを毎日摂取する」なのですが、今回は心理学的アプローチから前向きさを獲得する方法について書いていきます。

NLP(神経言語プログラミング)

心理療法にそのルーツを持つNLPは人間心理とコミュニケーションに関する学問で、医療のみならずビジネスの現場でも幅広く活用されています。

人はそれぞれ異なるビリーフを持っており、それゆえ物事を捉える考え方、フレームも一人ひとり異なるということを伝えるNLPと出会ったのは、前職の管理職研修でした。

多くの場合、管理職というのはその組織の環境に適応して生き抜いてきた人々です。環境を受け入れる素地がある人たちです。そういった人物が自分の価値観のみで部下の指導・教育にあたると、価値観のズレや行動に対する期待とのギャップとうまく折り合いをつけられず、適切な指導ができない可能性があります。
だからこそNLPのように「人それぞれ異なる価値観をもつ」というインプットをしてくれる学問が、管理職向けの研修に組み込まれていたんだと思います。

前置きが長くなりましたが、肯定的意図を見出しリフレーミングしていくための前提として、多様な価値観の存在を認めるというものがあるので紹介しました。

肯定的意図

肯定的意図とは、行動の根っこにあるポジティブな目的のことを指します。

暴飲暴食の背景にはストレスから解放されたいという思いがあったり、会社の方針に納得できない背景にはもっといいやり方のアイデアをもっていたりと、様々あります。

たとえば、管理職がよく遭遇するのが「目標設定嫌いなんですよ」という言葉。
「会社の決まりなんだからやりなさい!」はあまり筋がよくありません、納得感をうみませんから。
目標設定のどこらへんが嫌いかを尋ねてみます。時間をかける割に効果が感じられなかったり、途中でどうせやること変わるからきっちり決めても意味がないでしょ?と思ってたり。
根底には時間を有効活用したい、時間をとるなら意味のあることに使いたいという肯定的意図があるわけです。この視点に立って、あらためて目標設定について話していく丁寧なプロセスを踏んでいく。肯定的意図を汲み取るとそういうことができます。

リフレーミング

リフレーミングは出来事の枠組みを変え、異なる視点でとらえなおすものです。

有名な例え話に、「コップに水が半分入っている」というものがあります。ある人は「半分しか入っていない」といい、ある人は「半分も入ってる」という、というアレです。

肯定的意図を突き止めリフレーミングする

一見ネガティブに感じられる発言の裏にある肯定的意図を捉える。その肯定的意図がもつポジティブなパワーを引き出すようにリフレーミングする。そうすると、本当はやりたかったことに自覚的になり、ポジティブに向き合うことができます。

肯定的意図が本来向かう先にリフレーミングする

相手の肯定的意図を見出したい自分自身にも自分のビリーフ、フレームがあるわけですから、それをいったん外して相手と向き合う必要があります。これが、冒頭で述べた「人それぞれ異なる価値観を持っているということを理解する」ことが前提となる理由です。

この行動を習慣化する

この研修を受けたのはおよそ10年近く前。意識的にリフレーミングするようにし続けて、気がつけば無意識レベルで肯定的意図の特定ーリフレーミングをするようになっていました。完璧にできてるとは思いませんが、何をきいても「あーそういう意見もあるよねー」と受け止め、「この意見はどこからきてるんだろう?」と捉えるような習慣はついているかなと思います。

この習慣化は、今となっては身に染み付いたものですが、当初はぎこちないものでした。自分としては肯定的意図を理解しているつもりだったけど全然的外れで、「わかったふうなこといわないでください」と拒絶されたこともありました。いま思うと、学習の5段階でいうところの意識的無能の段階だから起きた失敗だったんでしょうね。

学習の5段階

おそらく、あなたがこの「仕組みとしての前向きさ」を獲得しようとすると、私がそうだったようにうまくいかない経験をすることがあるでしょう。それも一度や二度ではなく、たくさん。はやく前向きさを手に入れたい!と思っているあなたはその失敗体験が耐え難いものに思えるかもしれません。でも、失敗を積めば積むほど「これをやったらうまくいかない」という落とし穴の位置を知ることになりますし、結局はそういう経験が新しいスキル習得の最短経路なんです。

あなたが前向きさを獲得する一助になれば幸いです。

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