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ファシリテーターよゴールに拘るな

はじめに

これはファシリテーター Advent Calendar 2022 5日目の投稿です。

ファシリテーターとゴール

ミーティングのファシリテーションを任されました。アウトラインを設計し、慎重にタイムキープをしながら進行します。テーマからの逸脱があれば軌道修正し、話者に偏りがあれば全員から話を引き出していく。どうにかこうにか時間内に、たどり着きたいゴールにたどり着けました!おめでとうございます!

ミーティングを任されたからには、期待するゴールにたどり着きたいものです。けれどもなかなかゴールにたどり着かない、発散してしまう…そんな経験はないでしょうか。

前提が揃っていなければ発散は大きくなる

ミーティングが始まってしばらく経つと、あなたはあることに気が付きます。ファシリテーターを依頼してきた人から聞いていたのとは違う、価値観のばらつき。

「そもそもなぜこれに取り組むのかわかっていません」

え?そこから?そう、そこからなのです。チームとして立ち上がったばかり、チームが新しいミッションに取り組む、そういった曲面ではこういう「そもそもなぜ今の状況に置かれているのかわからない」という人がでてきやすいです。

「そもそも」が出るのはファシリテーションとしては成功

おやおや前提が壊れてしまったバランスが崩れた…
大丈夫、慌てる必要はありません。実はこの「そもそも」が出てくる時点で、ファシリテーターのあなたがその場に居た意味が出てくるのです。
だって、その場で初めてそれがでてきたってことは、現場のメンバーしかいない状況では「そもそもなぜやるのかわかっていない」と言い出せなかったってことですから。だから、それを引き出しただけでも十分な成果なんです。

「ゴールしなきゃ」の呪い

けれどもあなたの焦りはおさまりません。「とはいっても、これは発散しすぎだ。時間内に終わらせたいのに…」

なんのためでしょう?
あなたが最初に見積もったミーティング時間の正しさを証明するため?

なんのためにファシリテーターを依頼されたのでしょう?「時間通りに進行してね」だったらタイマーでも使っとけって話です。本音を引き出し、最良のゴールへたどりつくことがあなたへの期待でしょう。

もちろん「時間を守ること」も期待されているでしょう。なので時間を超過しそうなときに「すこし伸びそうです」と言ったり、「今回はお互いの価値観を共有するところまでにします。『チーム内に異なる考え方があること』を知ることにフォーカスしてください。最終的なまとめはまた改めて実施します。それまでに、『チーム内で考え方がばらつくのはなんでだろう?』というのを考えてみてください」と、仕切り直しを提示したりするといいでしょう。

まだ慌てるような時間じゃない

「とはいえ、こんなに時間を使っちゃっていいのだろうか…」

確かに、手早く同じ意見に到達して合意形成できれば、そのぶん早く動き出せます。ああ、どうしてまとまってくれないんだ!

けれども、それが現実です。いま対峙している現場はバラバラなんです。その状態で「時間通りに」「合意形成」したとして、それは本当に合意形成なのでしょうか。発言力がある人のバイアスがかかった結論になってないでしょうか。
そうやって抑え込んだ意見・価値観の違いは、ミーティングを経て業務が始まってから徐々に噴出します。終盤にそれがでてくると壊滅的な打撃をもたらす場合もあります。

そう考えたら、価値観をぶつけあうことは初期段階でやっておいたほうがいいですね。そしてその過程を通して「いいたいことがあったら言う」空気を醸成することもまた大切です。

「ちょっとこの件、時間かけ過ぎなんじゃないの?」そう言われたら、こう返しましょう。

「まだ慌てるような時間じゃない。」

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