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スクラムを拡張する前に読んでおきたい一冊:スクラムの拡張による組織づくり #だいすくらむ本


日本語で書かれたScrum@Scaleの入門書

本日、2023年8月26日に粕谷大輔(a.k.a. だいくしー)さんによるScrum@Scaleの入門書「スクラムの拡張による組織づくり」が出版されました。

だいくしーさんより本書を恵贈いただき、ひととおり読み終えました。これはスクラムを拡張したいと考えている人、すでに拡張に手をつけているがいまひとつしっくりきていない人が手に取るとよさそうだなーと感じたので、少しでもそういった方々に届けばよいと考え、このnoteを書くことにしました。

以下では、自分がおすすめしたいと思うに至ったポイントについて紹介していきます。

理解を深めながら読み進められる章構成

本書は以下の章立てで構成されています。

  1. スクラムのスケーリングと大規模の難しさ

  2. スクラムのおさらい

  3. とあるチームのSrcum@Scaleでの1スプリント

  4. スクラムマスターサイクルとプロダクトオーナーサイクル

  5. Scrum@Scaleを形成する12のコンポーネント

  6. 現場へどのように導入していくか

  7. Scrum@Scaleで運用される現場

1章ではスクラムを拡張したい動機、拡張するための様々なフレームワークについて触れています。読者にとって、自分は今そもそもスクラムを拡張するべきタイミングなのか自問自答する機会となっています。
2章についてはスクラムのおさらいなので既に実践している方は飛ばしてもよい箇所ですが、さらっとスクラムガイド自体がアップデートされ続けている点に触れていたりと短い中でスクラムの真髄が伝わる文章になっており、スクラム未経験の人を巻き込むときに強い味方になる章です。
3章で「ふむふむ、こんなかんじなんだ。普通のスクラムとそんなに変わらないように感じるな」と「俺でもいけるんやないか」感を演出し、4-5章はいよいよScrum@Scaleについての解説がなされます。
じゃあどうやってやっていくのか?と興味をもったタイミングで現れる6章では段階的に導入するステップが描かれ、7章ではダメ押しのように著者のだいくしーさんの現場における実例が紹介されます。これがまたリアルでよい。

AIDMAのお手本のように構成された本書を読み終える頃には、とりあえずScrum@Scaleというもののエッセンスは理解できますし、「ちょっとやってみようかな」という気持ちも芽生えていることでしょう。

Scrum@Scale以外の選択肢の提示

読み始めてすぐ、これがSrcum@Scale礼賛本ではないことに気づきます。まずスクラムをスケールするという判断はギリギリまで保留するべきだという提言。そしてScrum@Scale以外の大規模アジャイル手法の紹介。
著者のだいくしーさんはScrum@Scaleを選んだしそれを推奨するけど、他の選択肢だってあるしそもそもスケールする判断は最終手段だぜ!というメッセージがひしひしと伝わってきます。

リアルな現場の実況中継

7章では、だいくしーさん自身の現場でどのようにScrum@Scaleに取り組んでいるのか、どのように変化してきているのかが克明に描かれます。その試行錯誤のあとは自分が現場に入れようとしたときに参考になりますし、なにより「こういったスケールの仕方もあるのか」という示唆に富んだ内容になっています。

具体的にどう行動するかは自分で模索する

この本の良さはそのコンパクトさにありますが、コンパクトであるがゆえに通常のスクラムとScrum@Scaleで手触りの異なる部分、スケールする際の落とし穴などについては概要レベルでは触れているけれども深掘りはされていません。そこは現場によって異なるから自分で模索するしかないところだとは思いますが、そこについての言及やだいくしーさんの現場ではどうだったかなどの情報は、今後だいくしーさん個人から発信されたりすると嬉しいなと思いました。

Scrum@Scale完全に理解した

200ページに満たないコンパクトなサイズながら、読了する頃には「Scrum@Scale完全に理解した」「いっちょやってみっか!」という気持ちにさせてくれます。実際に一歩踏み出したら課題の山に突っ込むに決まってるのですが、とにかく一歩踏み出そうと思わせてくれる点に、この本の大きな価値があります。
スケールするスクラムに興味がある方は、ぜひ読んでみてください。


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