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なぜぼくらは「コミュニケーション能力が低い」と言われるのか?
求められるコミュニケーション能力
ソフトウェア開発の業界に身をおいて10数年。「ソフトウェアエンジニア(以下、エンジニア)なら人と話さなくても仕事できていいな!」なんて思っていた私ですが、エンジニアとはいえコミュニケーション能力が求められる場面は少なくない、という事実と日々向き合っています。
エンジニアに求められるコミュニケーション能力には以下のようなものがあります。
技術的な内容を分かりやすく説明する力
チーム内での協力、情報共有
相互の建設的なフィードバック
問題解決のための議論、および調整
ドキュメント作成、メンテナンス
確かにこれらの能力は必要です。何かAPIを使いたいとおもったとき、API仕様書がfuncA,funcBといった名称だとどんなAPIかわからないですし、内容を知ろうとしたときにドキュメントがなければそのAPIを使いこなすことは難しいでしょう。わかりやすい説明ができず、ドキュメントをつくることができず、それに対してフィードバックすることもできないエンジニアは使いづらいAPIのような存在になってしまいます。
優れたエンジニアの多くは、コミュニケーションをとってみると上記のような能力を持ち合わせています。ですが、チーム内では卓越した技術力とコミュニケーション能力をもってして活躍しているエンジニアでも、チーム外から「コミュニケーション能力が低い」と言われてしまうことがあります。これはなぜなのでしょうか。
それらの能力を持ち合わせているが「コミュニケーション能力が低い」と言われてしまうワケ
「俺達はコミュ力を武器にしてるわけじゃない、技術力で勝負してるんだ」
コミュ力が低いよね、とフィードバックされたときに、そもそもそこで戦ってないよという反発をすることがあります。まあそれはそう。「もっとコミュ力を・・・」と言われると、みんなと仲良く談笑したりBBQしたり休日にはゴルフに行ったり、をやれと言われてると感じてしまいます。それは確かにうれしくないですね。でも求めているのは、前項で示したような業務遂行上必要なコミュニケーション力です。
チーム内ではそのコミュ力が発揮できているのに、チーム外とはうまくいかない。そのとき、以下のような事柄が原因で、「コミュニケーション能力が低い」と判断されている可能性があります。
ナレッジが共有できていない
コンテキストが共有できていない
カルチャーの相違
ナレッジが共有できていない
自分たちのチーム内だったり、エンジニアの中では当たり前に共有できているナレッジを前提としてコミュニケーションすると、通じない場合があります。
「これってもう機能として完成してるんだよね?リリースできるんじゃないの?」
「まだPRが承認されていません。またリファクタリングも未実施だしリグレッションはこれからです」
「(?・・・)」
ITの世界にいるんだからPRやリファクタくらいわかってくれよ、と思われるかもしれません。実際、上記くらいの例なら通じるケースも多いでしょう。ですが、コミュニケーションは相手に伝わって初めて価値が生まれます。
コンテキストが共有できていない
Aという課題があり、Bというプロセスを経てCという解決策にたどり着いたとします。
エンジニアは頭の中でA->B->Cと辿っていくことが得意です。
なので「Aで困ってるんだよねー」というときに即座に「それならCですね」と回答することがあります。このとき、確かに解決策として妥当なのですが、Bというプロセスを経ていない側からすると「なんでいきなりCが出てきたの?」と驚くことになります。Bというプロセスを経ないとCに納得感が生まれないということもあります。
カルチャーの相違
たとえば、ドキュメントを読んでそれでもわからなかったら質問しよう、という文化があったとします。チーム外から質問されたときに「ドキュメントに書いてあります。ちゃんと読みましたか?」というコミュニケーションを取ってしまうと、言われた側からすると責め立てられているような印象を持ってしまいます。それは、「あのエンジニアは質問すると冷たくあしらってくる」という印象につながってしまいます。
チームのカルチャーとしてはよいカルチャーだと思います。ですが、普段コンテキストを共有していない人からすると、そのチームのドキュメントのどこになにがあるかはわからなかったりするものです。
なので、異なるカルチャーの方から自分たちのカルチャーでは好ましくないコミュニケーションをとられたとき、「だめだよそれじゃ」とはねつけるのではなく、「ああ、違うやり方なのだな」と受け止め、相手にあわせてコミュニケーションしていくことが大切です。
え?こっちが合わせるの?
ナレッジもコンテキストもカルチャーも、知らないのはお互い様です。「いやいや、こっちのことを知らないのはそっちも一緒でしょ?」と思われるかもしれません。それはそうですね。
自分はずっとエンジニア畑にいるし、エンジニア中心の組織に長くいたのでピンときていないというのが正直なところですが、世の中的にはエンジニアの考え方や文化、持っているスキルやコンテキストはまだまだ特殊なもののようです。そう考えると、エンジニアではない人(そう、驚くなかれ、世の中にはエンジニアよりエンジニアではない人のほうが圧倒的に多いんです)がエンジニアとコミュニケーションをする際に障壁を感じるのは無理からぬことです。
大事なのはコミュニケーションの先にあるもの
コミュニケーションの先には、解決したい課題や生み出したい価値がある。であれば、先に「ああ、このナレッジがないんだな」「コンテキストが違うんだな」「ふむふむ、僕らのカルチャーとは違うんだ」と気付いた側から行動を変えてみるというのも良い手段ではないでしょうか。
というわけで、「コミュニケーション能力が低い」と言われている場合、ここで紹介した掛け違いがおきていないか点検してみましょう。もし掛け違いがあるなら、歩み寄ることができないかトライしてみましょう。それがコミュニケーションを武器に価値創出していける、強いエンジニアへの一歩になるでしょう。
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