見出し画像

緊急事態宣言延長がもたらすエントロピー増大に抗う

はじめに

この記事は、緊急事態宣言アドベントカレンダー27日目の記事だ。本当は26日目で終わるはずだったこのカレンダーは緊急事態宣言の延長とともに続行が決定された。いわばこの記事はシーズン2第1話だ。

まだ桜が綺麗だったころから

緊急事態宣言が発令された4/7は、盛りは過ぎていたものの桜がまだまだ見頃だったと記憶している。

あれから一ヶ月。真夏のような暑さとぶり返す寒さを繰り返しながら、私達はまだ家の中にいる。

ゴールデンウィークに突入する前からそういった予感はあったが、5/4に正式に緊急事態宣言の延長が発令された。
5/31まで、もうちっとだけ続くんじゃ。

エントロピーの増大

緊急事態宣言が始まった頃、noteにつづったのが「境目の消失」だった。

この境目のなさは今も続いている。通勤時間の活用方法、退勤後の楽しみ、長年培ってきた自分なりの勉強方法、息抜き方法は全て通用しなくなった。
物理的に引かれた境界線が決壊し、秩序が失われたためだ。

ゴールデンウィークにそれが顕著だった。
半ば強制的に日常と分断されるゴールデンウィーク。
自らがゴールデンウィークを満喫しようとせずとも、賑わう町並みやニュースで流れる風景でその特別な期間を感じていたのがこれまでだ。
日常のなかにたちあらわれる、それでいて毎年訪れる秩序だった混沌。それがゴールデンウィークだったはずだ。

しかし、今年はそうではない。

仕事をしていないだけで、出かけることもなく、ニュースは新型コロナの話ばかり。
労働する自分がコーヒー、私生活に身を置く自分がミルクだとすると、いまやその2つが織りなす模様は崩れかけブラウンの液体になろうとしている。

そして、これが5月末まで続くというのだ。もうちっとだけ続くんじゃ。
いや、想像だに恐ろしいことを書いてしまうと5月末で終局を迎えるとは限らない。
これまでは「あとちょっとの辛抱だ」とエントロピー増大を甘んじて受け入れていた節もある。しかし、何も対策を打たずエントロピーが増大するにまかせていると、仕事が、生活が崩壊し、ついには自分というものが散逸してしまうという危惧がある。

ドラゴンボールという漫画をご存知だろうか。コミックス全42巻。
物語の一区切りがつき、最終回のような大団円が描かれたとある回で「最終回じゃないぞよ、もうちっとだけ続くんじゃ」と亀仙人がつぶやいた回がある。
その回が収録されたのは17巻、もうちっとどころではなく続いたわけだ。我々も、もうちっとどころではなく続くことを念頭においたシナリオを描き、日々と向き合うべきだ。

方策1 定期的に作戦を練り直す

緊急事態宣言が出る前からWFH、テレワークといったキーワードが飛び交うようになった。
これまでは「緊急事態宣言があけるまで」の当座の処置、という位置づけだったかもしれない。そのため、緊急性が高くないものは「緊急事態宣言あけに」と後ろ倒しをしたものがあるだろう。4月はそれが正解だった。
しかし、後ろ倒しにしたものにもいつかデッドラインは到来する。この状態が続いたらどうなる?考えないわけにはいかなくなってきている。
そうした中では、着地点をにらみながら計画を軌道修正していく作戦が有効だ。区切られた期間ごとに計画づくりをおこない、現状を鑑みながら素早く作戦を変更していく。

方策2 自分の生活の秩序を設計する

家から外に出る、土日は街に繰り出す、夜は友人たちと酒を酌み交わす。そういったリズムだったり、おのずと形成されたりする秩序が今の環境ではなくなっていくというのは前述のとおりだ。

これも「今は特別な時期だから」と看過する時期は過ぎている。
意識的に秩序を設計しリズムを形成しないと、仕事に対しても生活に対してもコミットできず集中力が散逸してしまう。

ではどうすればよいのか?すでに多くの人がやっているかもしれないが
・物理的な境界を設ける
・時間軸での境界を設ける
がよいだろう。
例えば仕事部屋を定める、時間を区切る、などだ。言ってしまうと当たり前だが、融通が利きすぎてしまう在宅環境においては多少杓子定規になるくらい境界を置くのがよい。そう、古き良き9時-5時のように。

方策3: before COVID-19との差分を捉える

急遽リモートワークに取り組むことになった、だとか
子供が通う学校が休校になった、だとか
そういった変化は大きなものであるがゆえにとらえやすい。
しかし、そうではない日常の小さな変化がエントロピー増大をもたらしカオスへと導く。

たとえば自分の場合でいうと、意識しなければほぼ毎日飲酒するような状態になっている。「お前、昔から飲んでるだろ」と思われるかもしれないが、まあまったく飲んでいないとはいわないが、それでも肌感覚として酒量が増えた。
これはなぜかと考えると複合的な要因があるのだが(見えないストレスとか)、「リモート飲みのためにビールを多めにストックするようになった」ことの影響が大きい。家にあるとつい飲んでしまうのだ。Beer, Beer!

他にも、通勤時間で行っていた読書がペースダウンするといった変化も出ている。この読書量については3月頭あたりは深刻に減少していた。
しかし、ブクログで確認してみると1-2月と3-4月では同等のペース。
これは、このブクログ上で読書量が可視化されているため「このままだとまずいな」ということに気づき意識的に読書時間を設けるようにしたから回復基調にのせられたのだ。

before COVID-19との差分を捉えるため、自分の行動を可視化してみるのはひとつの有効な施策だ。(事実、私は見える化したことで読書量の減少に気づき対策を打てたわけだ。酒の量?ま、ちょっと覚悟はしておけ)

変化に強い自分になる、またとない機会。

方策1-3をまとめると、以下のとおりだ。

・短い期間に区切って計画づくりを繰り返す
・境界線を明確にし秩序をもたらす
・従前との差分を明らかにし対策を講じる

書きながら「あれ、これってアジャイル開発のエッセンスじゃなかろうか」ということに気づく。というわけで、この「もうちょっとだけ続く」状況と向き合うには変化を前提としたアジャイルマインドがうってつけだ。

このnoteをご覧の方の多くはアジャイル開発というものについてご存知かもしれない。しかし、「きいたことがない」「あまりよく知らない」「え、開発の手法だから今の状況との向き合い方と関係なくない?」という方は、ぜひこちらの書籍をご一読いただきたい。(手前味噌だが・・・)

敬愛するDavid Bowieは既に鬼籍に入っているが、生涯変化と向き合いつづけた人だった。いや、自ら変化を起こし身を投じていった人だった。
その名も「Changes」という曲に流れる明朗な雰囲気は、変化を受け入れ楽しもうという気概にあふれている。あとちっとだけ続く緊急事態宣言、変化を楽しみながら生き抜こう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?