"大人の味の"ボロネーゼ

僕は良くパスタを作る。
作り始めたきっかけはパスタが単純に好きだからだ。
あと少しばかりパスタを作れる男はカッコイイと思ってる節もあった。ちょっとだけ。ほんまに。

そんな僕の1番得意なパスタはボロネーゼだ。
あの挽肉と野菜の旨味に赤ワインで長時間煮込んだコクがたまらなく好きだ。時々上にチーズを掛けて炙ってやったりもする。
3色食べても飽きないし、一生同じものしか食べれないと言われたら迷わずボロネーゼと答えるし(絶対に言い過ぎ)ボロネーゼをミートソースパスタなんて言われた時にはもう1日掛けてそいつと話し合いたい。それくらい好きだ。

ところで以前ボロネーゼを作っているとふと思った。ボロネーゼの調理工程は親が子供を育てる過程とよく似ている。

色んな経験や言葉を教えるみたいに様々な香味野菜を細かく刻んで鍋に入れていく。そしてじっくりと炒めてひとつの纏まりになるようにする。

ひき肉にはしっかり味付けをして、表面を焦がしていく。焦げるのではなくて焦がすのだ。意図的に、愛情を持って。これは親が子供に叱る時の心理に似ているのでは無いだろうか。
より良い子に育つように、愛を持って叱り伸ばして行く。

そして楽しい思い出と叱られた経験を混ぜ合わせ、そこに赤ワインとトマトを加える。
これは子供が大人になった時に困らないよう、そこに立ち止まってしまわないように大人になるための現実や大切なことを教えているかの様に感じた。

赤ワインを注いだあとはじっくり時間を掛けて十分、水分が飛んで馴染んだらソースの完成だ。

あとは少し寝かせて頃合のいいタイミングでパスタと和えてやるだけ。


なんとなくそんな事を考えながら作っていたパスタはあっという間に完成した。


そうして出来たボロネーゼを母に昼食として出した。
母は、「美味しい。大人の味やね。」と言ってくれた。

大人の味かぁ。
いつの間にか僕も少しだけ"大人の味"が分かるようになっていた。

おかん。いつもありがとう。

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