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フリーランス3ヶ月記

2021末で退職して、3ヶ月間をすごした。
業界的にいうと1クールである。
その中で感じたことを
書いておこうと思う。

膨大な時間のかたまり

前職と同時並行で個人の仕事は受けていたので、ちらほらと仕事はあるが、大部分を占めていた会社の仕事がなくなると、時間のかたまり、または、時間のひろがりを感じた。

物理的な時間というより、精神的な時間。あと2時間後に打ち合わせがあるという時、その2時間はひろがりがなく、かたまりでもなく、細切れのスキマ時間だ。実際はその時間で買い物に行き料理をつくり食べることもできるのだが、2時間後を考えると、身体がなにかにロックされ、縛られ、動けなくなる。スマホやNetflixを見てしまう。そして、会社の中で働くということは、定例の時間割のスキマ時間を生きていくことに近い。だから週末がうれしいのだ。

ひるがえって、退職してからの時間の捉え方は、半永遠、というか、とにかく「時間ならある」という感覚。だから10日間離島に旅立てるし、本格中国SF小説を読み続けられるし、戦争についてのニュースをより多く見聞きして自分なりにポジショニングできるし、イラストGIFに没頭したり、メディアをつくることを考えたりできる。総じて、「長くて重くて深いもの」に取り組むことができる。広告業界という「短くて軽くて浅いもの」についての技能だけを偏重して鍛えてきた自分にとって、新鮮かつ進歩感があってとても楽しい。

小説「三体Ⅰ」の図解

ワークディストリビューションの変化

ワークディストリビューション。そんな言葉はない。たぶん。直訳すると、「仕事の流通経路」である。お金の流れと指示系統、と言ってもいい。どんな産業であろうと、流通を制するものがいちばんの権力を手にする。人にモノを売れる、届けられる人がもっとも偉い、というわけである。映画監督よりも配給会社が偉く、ミュージシャンよりもサブスクリプションプラットフォームが偉く、タレントよりも放送局が偉く、YouTuberよりも Googleが偉い。

広告代理店に所属している時のディストリビューションはシンプルだ。クライアント▶︎社内の営業▶︎自分である。逆にいうとその流通経路に縛られるということでもある。よりいいものをつくるためには、より大きな自由と裁量を求める。つまり、仕事の流通経路の上流に近づきたくなる。そうすると投資家になるしかないのだが、人には幸せを感じられる作業領域があり、投資家でも、事業家でも、コンサルでも、プロデューサーでも、映像作家やデザインの職人やテクノロジーのエンジニアでもなく、コピーと企画をやる時間がもっともマインドフルネスであり、集中度が高まり、興奮度があがる。なので、クライアントに近いクリエイティブ担当、あたりが楽しい。

個人事業主になっても、作業環境についてはほぼ変化がない。主に午前の時間を使ってコピーや企画を考え、昼に打ち合わせをし、夕方や夜には自由に過ごす(または〆切に追われる)。変化したのは、誰から発注を受けるか、である。クライアントから直接、もあり、広告代理店から、もあり、クリエイティブディレクターから、もあり、制作会社から、もあり、メディアから、もあり、フリーのプロデューサーから、もある。世の中にはたくさんのプロデューサーがいて、広告だけじゃなく、建築やイベントやアカデミックや地方創生などなど、数多くの接点がありがたく、楽しい。

経済と市場への意識強化

フリーの悩みの中に収入の不安定さや将来の不透明さがある。しかし、もっとも悩みとなるのは、「自分をいくらで売るか」なのだ。予算が指定されている場合はラクで、その中でベストを尽くせばいい。しかし、コピーや企画には原価がない。時間で切り売りするものでもない。浮かぶときは2秒だが、悩むときは72時間かかるからだ。幅で言うと、2〜259200sの開きがある。値付けがしにくい。だからとりあえずやってみてから考えませんか?という謎のスタイルになったりもする。そして、ケインズの言う「神の見えざる手」の存在を感じる。なんとなくの相場は、代理店時代の経験で知ってはいるが、ディストリビューションが変わると単価も変わる。どのみち、人間ひとりが食べていく分には、困ることはそんなにない。

健康と戦略

健康診断や食事や運動は、自分という事業を支える資産でもある。だから、戦略的になる。旅に出る。山に登る。野菜を摂る。もっというと人生に戦略が登場する。会社に所属すると忘れがちになる。多忙は怠惰の隠れ蓑、というが、目の前の仕事をして上長に褒められていれば自己の肯定感があがってしまうから。それは機械に近い。というのは言いすぎか。毎日、お風呂を溜める15分間を走る時間に充てている。

役割の多様化

コピーと企画を専門としているが、結局求められるのはその前の整理だったり、プロジェクトマネジメントだったり、映像の撮影だったり、なにかをつくることの前後のことだったりする。それを断るのも受けるのも自分次第なのだ。写真で撮影してインタビューして記事を書きながら、来季の戦略を提案しながら、自分の役割を固定するべきか否か、揺れ動いている。楽しい。

そして

中期的な予定としては、単発の仕事▶︎旅▶︎腰据えて仕事を考えている。そしてその範囲や役割は、また考えようと思う。需要と供給によって規定され、社会に再配分されるのもいいし、自分で無理やり道をつくってもいい。ストレスとモチベーションと相談しながら。


まとめ

楽しく、健康的に、マイペースでやってます。経済的にも波はあるけど順調です。夏以降の旅に出るまでは、気軽に遊んだり仕事したりしましょう。とにかく(精神的には)膨大な時間があって、無駄なこと、過剰なこと、アタマのおかしいことをしたいです。それでは。

最近の仕事の感じ

スタッフリストを世に出さない&長期の仕事の方が増えてきているので、なんとなく雰囲気だけ…。CD、CW、PL、Pro、Dirなどなど、立場が変わりまくります。楽しいす。

・C社 HPリニューアル
・Y店 コンセプトコピー
・Jメディア 映像企画
・O社 PR企画
・M社 ECサイト立ち上げ
・C社 ブランディング
・Y社 映像企画
・K社 商品開発/周年ブランディング
・W社 オウンドメディア執筆
・Y社 事業コンセプト
・M社 イベント企画

etc.

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