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アルプススタンドのはしの方

あらすじ

母校が甲子園の一回戦に出場しているとして、演劇部員の安田と田宮は、学校側から強制的に応援に参加させられていた。
大して野球に興味がある訳でもなく、ルールすらよく分からない状態だった2人は、周囲の温度差からアルプススタンドのはしのほうに腰を下ろす。何気なく試合の成り行きを見守る2人だが、どこか2人の間に気まずい雰囲気がある。
そこに少し遅れて元野球部員の藤野もやって来た。さらに帰宅部の宮下の姿も。藤野も積極的に客席の前方へ行くのは躊躇いがあったし、宮下は大人しく引っ込み思案な性格から自然と比較的ひっそりした空間に集まってくる。
それぞれが複雑な思いを抱えたまま集まって見守る母校の試合。
決してスポットライトの当たらない客席の端で、青春が眩しく輝く。

感想

この作品は、有名な演劇作品が元になっており、映画という表現の中でも良い意味で演劇らしさを味わえる良作になっています。
高校野球を取り扱っている作品ですが、「野球のルール分からないんだけど・・・」という人でも全然大丈夫!
だって、試合の模様は一切映し出されませんし、主役達ですらあまりルールを把握できていないんですから。
と、いうのも、題名にある通り、この映画の主役は観客席の端にいる若者達。
夏の風物詩にもなっている球児達の熱いドラマではなく、それを複雑な心境を抱えながら見守り続ける観客達にピントを合わせたユニークな作品。
今年は残念ながら、コロナの影響で大会が中止されてしまい、大変悔しい思いをしている選手達も多くいることでしょう。
プロを夢見て野球に青春を捧げる選手達には、言うまでもなく途方もないドラマを感じさせます。
ただ、その選手達に熱い想いを託し、時に声を張り上げて応援する観客達の中にも、心を打たれるドラマがある。
自分はスポーツの試合を見るのが好きで、特にサッカーが好きです。競技こそ違えど、贔屓のチームのプレーの一挙手一投足に思わず声をあげてしまう自分としては、すごく共感しやすい作品でした。
さらに、先述の通り、高校野球の試合を取り巻く物語でありながら、試合の模様は一切映像として描写されることはありません。
つまり、この作品の観客は、試合の観客席の様子を見て試合の様子を補間していく訳ですが、これが非常に良い「演劇らしさ」を感じさせるところです。
一度縁があれば、演劇でこの作品を観てみたいなあ、と強く思いました。
と、今日はこのくらいで。
それではまた次回!👋

こんな方にオススメ!

スポーツ観戦が好きな方

青春を感じたい方

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