千里論3 RAINその2

RAINという歌がある。
ところどころに想像をかきたてるフレーズがでてくる。
「路地裏では朝が早いから、今のうちに君をつかまえて
行かないで、行かないで、そういうよ」

路地裏では朝が早い?
彼女は魚屋?
いや違う、土砂降りの中走って行った彼女を追いかけて
路地裏の店がオープンする前に、とっつかまえてやり直したい。
路地裏の店は、10時とかじゃなく、午前8時にはオープンするから、
今深夜1時だから、あと7時間しかない。

その前に、「壊れた常夜灯」という歌詞もある。
路地裏をさらに引き立たせるフックがある。
昔の路地裏。商店街のような。ビラも落ちてるし。
ハマショーが歌った路地裏も
青春だったが、ただ佇んだだけの素直で分かりやすい路地裏である。
千里さんの路地裏は、叙情的で物悲しい。

ストーリーはこうだ。意訳です。
付き合っていた二人に、亀裂が生じる。
そう付き合って3年くらいたったかな。
主人公のおごりから始まり、彼女に別れましょと言われる。
まず商店街で飯でも食べてケンカになり、
雨の中、帰りの駅に向かう。最初の駅ね。
まずぶっ飛んで走りさる彼女。
そして到着した駅のコンコース(千里といえばコンコース)で
スタスタと彼女は人込みを抜けていく。ついていく男。

そして住んでいる降りた駅、
さっき雨の中、駅からぶっ飛んでいった彼女を追いかけているうちに
愛おしさを押し寄せて、やっぱりやり直したいと思ったり、
やっぱり向こうが悪いと開き直ったり
感情が交差する。

降りた駅ではもう雨はやみかけてという、
時間の経過がなおさら歌を盛り上げる。
焦ってないとみせるために口笛ふいてついていったりという、
最低な愚行も途中でするけど、
彼女もちょっと話聞いたろかとなったりで、
到着した駅で暗い二人は向き合う。
煮え切らない男にもう無理となった女子は、またスタコラ走り出す。
煮え切らない男は織田信成くんっぽいと仮定する、
千里さんもちょっと似てるし。

ここで、彼女は小さめの傘もささずに走り出す。
小さめというところが天才である。
普通なら、サイズではなく、古びたとか手に持ってとか表現だけど、
あえての小さめ。差しても濡れる小さめ。恋人も濡れる小さめ。

中盤には男のエゴを吐露する
「自分の激しさを隠せない」という千里さんの「激しさ」表現シリーズも出てくる。これで、もう名曲だ。

そして路地裏が開く前まで、説得が続く。。。
という歌である。
カバーされている方も多い名曲である。

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