私とハロプロの話 15 卒業コンサート

金澤さんの卒業コンサートの日は仕事だった。

本当は休みを取って朝からコンディションを整えておきたかったのだが、破茶滅茶に仕事が忙しい時期で休めなかったのだ。

推しの卒業の日に仕事なんかできるんだろうかと心配だったが、忙しくてそんな感情に浸っている場合ではなかった。

忙しすぎて残業し、残業しても仕事が終わらなかった。
卒業コンサートの時間が迫ってきていたため、上司に頼み込んでなんとか上がらせてもらった。

よりによってこんな日に。
ちょっと苛立ちながら急いで会場である映画館へと向かった。

到着したのは開演10分前。
劇場に入ると既に、前座の後輩グループが歌って踊っている姿が映されていた。

適当に買った映画館のホットドッグを食べながら前座の後輩グループを見て、推しの登場を待った。
映画館でご飯を食べながらハロプロのライブを見る。
こんな経験もまた、初めてだった。

ついに開演。

いつも通りに入場してくるJuice=Juiceのメンバー。
金澤さんはいつも通りクールに微笑んでいたが、どこか寂しげな顔に見えた。

今日でJuice=Juiceの彼女を見るのも最後か、と思いちょっと泣きそうになった。

ステージはいつものライブのように淡々と進んで行った。
MCではいつものように知的かつ面白いことを言って客席の笑いを取る金澤さんを見て、本当にこれは卒業コンサートなのか?と思うぐらいだった。

しかしアンコール前の曲を歌い始めたあたりから彼女は静かに涙を流し始めた。

それと同時に、私のオタクライフの思い出が走馬灯のように蘇ってきた。

ももちに衝撃を受けたこと。
お店にJuice=Juiceが来た日のこと。
それからのイベントやライブのこと。
初めて自作でTシャツを作ったこと。
握手会に何度か行っているうちに顔を覚えてもらえて嬉しかったこと。

愚痴垢を見つけてこの界隈の闇を見たこと。
離れた時期のこと。
コロナ禍の支えになってくれたこと。
また好きになれたこと。
卒業を発表した日のこと。

泣く彼女とともに、私も涙が止まらなくなった。

アンコール後に真っ赤なドレスを着て登場した彼女はあまりにも綺麗で、切なくて、儚かった。
不本意な卒業であることの悔しさや悲しさが滲み出ているようだった。

私は彼女の色気のある歌声や仕事に対する真摯さがとても好きだった。
暴君なんてあだ名を付けられていながらも、実は落ち着きがあって優しくてメンバー思いなところも大好きだった。

彼女のような人になりたいと何度思ったかわからない。
ハロプロのメンバーであることを抜きにしても、1人の女性として彼女が好きだったし、憧れだった。

コンサートの最後に笑顔で手を振って去って行く彼女は、本当に美しかった。

卒業後の活動に関しては、体調を見ながらの発表になるという。

どんな活動だとしてもこれからもずっと彼女を応援し、見守っていよう。

そう思っていた。

続く

関係ないけど新しいキャリーバッグ注文しちゃった。mozのかわいいやつ。月末の沖縄旅行が楽しみになった。

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