8年間片思いされた話 8 婚約破棄
不安な気持ちを抱えながらもひとまずパートさんと合流した。
パートさんは私と同い年の息子さんがいる方で、私のバイト先の同期だった。
同期なこともあって仲良くなり、私のことを我が子のようにかわいがってくれていた。
洋服の趣味や食べ物の好みも合うので、友達のような感覚で会ってお出かけすることも多かった。
母のいない私にとって第二のお母さんのような存在だった。
「あのこちゃん、彼氏君のところに会いに行ってたんでしょ?どうだった?」
「普通に楽しかったよ。そんで泊まった日寝る前にプロポーズされたよ」
「プロポーズ?!」
そう言った後パートさんは黙ってしまった。
そして腕を組み少し下を向き、何かを考えているようだった。
何を言われるんだろうか。
「あのこちゃん…うーん」
「何?」
「私はあのこちゃんのこと実の娘のように思ってるし、幸せになってもらいたいから正直に言う。あいつ浮気してるよ」
「え?!!」
「あのこちゃんが卒業してから入ってきたパートの二児の母と浮気してる。
最近になってその人から聞いたんだ。浮気してるの旦那さんにバレて大事になって離婚することになったんだって。
今は旦那さんが弁護士立てて彼氏訴えられてるところなんだって。本当に何も聞いてなかったの?」
混乱した。
このまま普通に結婚できるんだと勝手に思っていた。
プロポーズしてきたくせに不倫しており、その上に現在進行形で訴えられている彼氏。
信じられなかった。
「何も知らない…全部初耳。本当なの?」
「何も聞いてないの?!そのパートさんに聞いたけど、入社先の女の子とも浮気してるんだってよ?どんな神経であのこちゃんにプロポーズしたんだあいつ?」
頭が真っ白になった。
状況を把握しきれていないというか、飲み込めないというか。
ショックを受ける以前に理解できなかった。当然涙は出なかった。
信じられなかったので、既に帰省を終え遠くの街へ戻った彼氏にその場で電話してみた。
パートさんの名前も出していいと言われたので、そうした。
「あのこちゃん!どうしたの〜」
「今パートさんから全部聞いた。浮気してるの?」
数秒の沈黙の後、電話を切られた。
パートさんが怒り始めた。
「もう一回かけろ。私が言う」
電話は既に着信拒否されていた。
パートさんのスマホから電話をかけようとしたが、まさかのそっちも着信拒否されていた。
LINEしてみた。
「なんで着拒するの」
「話したくないから」
「浮気してたの本当なの?」
「本当だよ。でもあのこと結婚するつもりだったのも本当だよ」
「浮気してるのに?不倫してるのに?何言ってんの?」
「言わないでバレなきゃそれでよかったのになんで言うんだよおばさん。もう無理だよ結婚なんて。
てか浮気ぐらいでこんな騒ぎ立てる女だったのかよ!引くわ〜無理だわ〜」
そこからブロックされたようでLINEの既読がつかなくなった。
あっさり結婚が決まったと思ったらあっさり破棄になった。
悲しいとかより、なんかもう恥ずかしかった。
続く
職場にいるとラスト10分ぐらいで急に低血糖になるのはどうしてなんだろう。そしてブドウ糖を食べる以外に良い対策はないのだろうか。
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