真の現実主義とは、"現実迎合主義"ではない。You may say I'm a dreamer

少し前の話になりますが、関西の『たかじんのそこまで言って委員会』という番組で、
「右か左か」なる特集をやっていました。
 
わりと右っぽい人が多めに出るこの番組。
 
この日も安倍サポーターみたいな右的な論客が複数出て、
そのうちの一人が、

「右か左か、ではない。現実主義かそうでないか、だ」などと言っていたわけです。

つまり、その人はどう見ても「右」なんだけど、
そうではない、「自分は現実主義者だ」と仰るわけなんですね。

ぼく自身も常日頃、「夢にふわふわしてはダメ。地に足をつけた考え方に基づいてしっかり行動を積み重ねなくてはならない」という意味で、「現実主義」を標榜しているわけですが、

この番組を見て、大変いや〜な気持ちになりました。

「まいったなぁ。現実主義、ってそういう風に使われる言葉になっていくのかよ。困ったなぁ」と。

つまり、

・中国/韓国を敵視して日本も軍備を拡張せよ
・場合によっては核武装もせよ
・中国人、韓国人、ベトナム人…移民は全て危険である、と認識せよ

これらの主張は「右」ではない。「現実主義」なんだ、というわけなんです。
 
この番組のこの論客のみならず、
例えば、三浦瑠麗という政治学者・タレントが自らの事務所でやっている政治意識調査は、
 
外交・防衛面で「自衛隊→自衛軍」「核武装」に賛同する人は、
 
「リアリズム志向が強い」という枠組みによって、データ処理をしている。
 
確かに、”「9条護憲」を唱える左翼はお花畑”という表現はしばしば見られますし、
 
「左=理想主義者→お花畑」は、従来からありふれたものであったかもしれない。

その逆を唱える右的な考え方が、「現実主義」だとするのはある意味自然かもしれません。
 
それって、「俺たちの主張は正しいから正しいんだ」というトートロジー的言説の言い換えでしかない、とも思いますが…。

 
ぼくが危惧するのは、軍事・防衛面のみならず、”国民の生活”という観点からも、
右的な人々が掲げる「現実主義」が横行し続けている、ということです。
 
  
今の世の中は、新自由主義・グローバリズムによる格差社会の亢進によって中間層が溶解し、COVID-19の影響も相まって、
ますます生きるのが精一杯の人々が増え、”社会的弱者”が増える傾向にあります。
 
特に、就職にも転職にも苦労してきた氷河期世代は、ありとあらゆるところで「お前なんか要らない」というメッセージを受け取り続け、
 
自尊心をズタズタにされ、自己肯定感を持てない人がたくさんいます。
 
氷河期世代のみならず、そうした人々が増えていく世の中にあっては、
 
今まで以上に”理想”を重視して、まっすぐに追求しなければならない、とぼくは思います。
  
それは、”お花畑”なんでしょうか。
 
格差問題、女性差別問題、福祉問題、ヘイトスピーチ問題…

「現実主義者」は、弱者の訴えや、感情を
「競争社会では敗者も出る。不公平も出る。それが現実だ」と
切り捨てる傾向があります。

弱者の存在そのものを無視する傾向すらある。
 
それは、本当に「現実を見ているのか?」と思うのです。
 
複雑な問題、人々の複雑な感情…
 
それらを直視し、受け止め、対処しようという器や強さがないだけではないの? 
そういう自分の"弱さ"は棚に上げて、人の弱さは認めないの?

それでいったい現実のどこを見ているのか。
 
理性や知性は、感情を切り捨てるために発動するものではない。

人を人たらしめるもっとも重要で基本的な要素が、感情です。

しばしば「現実主義者」が切り捨てる感情こそが、もっとも大切だとも思うのです。
 
感情を見るのに、もっとも大切なのは知性や論理ではない。
 
”心”です。
 
”心”のない「現実主義」は、真の現実主義ではない。単なる「現実迎合主義」です。
 
奇しくも、ジョン・レノンの”Love”と、”Imagine”を練習して、動画を撮ろうとしてました。
 
John Lennonの”Imagine”に、こんな一節がありますね。
 
♪You may say I'm a dreamer
僕のことを夢想家だと言うかもしれないね

But I'm not the only one
でも僕一人じゃないはず

I hope someday you'll join us
いつかあなたもみんな仲間になって

And the world will be as one
きっと世界はひとつになるんだ

しばしば、共産主義的だとか、左翼的だとか言われるジョン・レノン。
 
彼は、”お花畑”だったのでしょうか?
 
ぼくはそうは思いません。
 
現実を”心”で捉え、地に足のついた理想主義者。

理想を追求する人が増えれば、それが現実になる。
 
これからは、ぼくも、胸を張って堂々と、理想主義者を名乗りたいと思う。

なので、自分の声で言って(歌って)おきます。
 
♪You may say I’m a dreamer.


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