見出し画像

藤井竜王、ひたすら休養を

JT杯決勝で豊島九段に王将リーグ最終戦で永瀬王座に藤井竜王は連敗を喫していますが、将棋の調子自体は決して悪くはないのです。いずれも後手ながら57-43程度の互角微差有利の形勢まで持って行ってます。いつもならその後、相手を突き放す構想と手順を発見できるのですが・・・

やはりタイトル戦の連投による継続疲労が溜まっているように感じました。竜王を奪取した直後の順位戦対松尾八段や王将リーグ対近藤七段で勝利しているのは逆によく頑張ったんです。

体力的にもそうですが、メンタルにも竜王・4冠・将棋界序列1位の重圧はこれまでの3冠とは一味も二味も違ったものでしょう。

どうもよくタイトルを取った棋士が「身の引き締まる思いがします。」とか挨拶されますが、「身が引き締まって」良いことは何もないのです。タイトルや記録を意識しない、それらは結果に過ぎないのでかえって意識すると眼前の対局の集中に悪影響があるようです。マスコミはタイトルや記録を追わないと記事にならないが対局する本人はできるだけそれらから自由であればあるほどパフォーマンスが高くなるという正反対の作用を生むようです。

とにかく今必要なのは休養です。将棋の研究は軽めにしておいてひたすら寝むることです。

一方今期9敗のうち今回の連敗を含め後手が8局あり、後手対策を焦る気持ちは分かります。特に次局順位戦近藤七段戦が後手ですから。

プロ棋士同士の対戦で先手勝率は52~3%と言われています。従来型AI同士の対戦ではそれが57~8%になり、現在脚光を浴びているディープラーニング系のAIでは70%近くに跳ね上がっているとの噂もあります。

自分が見た限りでも最近の電竜戦では先手の勝利が多いなぁと感じました。評価値グラフがほとんど右上がり・・・藤井竜王は昨年末からディープラーニング系ソフトを導入しているので先手が有利の棋風?が見についています。だから後手になると先手の好守ばかり目について指し手が萎縮する傾向が出てるのではないでしょうか。

このように後手対策は今や将棋というゲームにおける構造的問題になりつつあります。従って一朝一夕に対応できることではないのは明らかです。

藤井竜王としてはこれまでの自分の研究・経験の蓄積を信じて今はひたすら休養に徹することをお奨めしたいと思います。

二日制のタイトル戦や長時間の順位戦など「現在の藤井竜王の棋力」であれば後手であっても十分対応できると信じておりますので。

ところで短時間の将棋は一般棋戦が多いので、後手を握ったら自ら主導権を奪いに行くより割り切ってついて行って終盤での一瞬の逆転を狙う方が勝率は上がると思いっていますがどうでしょうか。


2021年度可能対局数残: 18局 11/25現在(敬称略)

順位戦22年03月 04局○○○○(今期7勝,1敗,次 近藤誠也 12/02)
銀河戦21年12月 03局決勝トーナメント○○○ (今期2勝,次 佐々木大地 12/09)
王将戦22年02月 07局タイトル7*○(今期7勝,1敗,次 渡辺明 01/09)
朝日杯22年02月 04局本戦○○○○

合計      18局(トーナメント全勝、挑決とタイトル戦フルセット勝利)

今期初可能対局数 100局

今期勝ち数計  43勝(勝率 0.827、振り駒勝率 0.520 13:12)
今期負け数計  9敗
今期喪失局数  22喪失(棋戦敗退による対局喪失)
今期早失局数  8早失(番勝負早期決着による対局喪失)

今期防衛・奪取棋戦:
棋聖戦21年07月 棋聖防衛 対渡辺明 (今期3勝,2早失)
王位戦21年08月 王位防衛 対豊島将之(今期4勝,1敗,2早失)
叡王戦21年09月 叡王奪取 対豊島将之(今期8勝,2敗)
竜王戦21年11月 竜王奪取 対豊島将之(今期9勝,挑決1早失,タイトル3早失)

今期敗退棋戦:
王座戦21年10月 本戦1回戦●×××タイトル5*×(今期1敗、8喪失)
棋王戦22年03月 本戦●×××挑決2*×タイトル5*×(今期1勝,1敗、10喪失)
NHK杯22年03月 本戦●××××(今期1敗、4喪失)
JT杯戦21年11月 本戦決勝●(今期2勝,1敗)


今期対戦結果:
2021/04/09 ○ 広瀬章人 叡王戦 八段戦 決勝 (先手 相掛り)
2021/04/16 ○ 八代弥  竜王戦 2組 ランキング戦 決勝(先手 矢倉)
2021/05/06 ● 深浦康市 王座戦 本戦 1回戦(後手 矢倉)
2021/05/13 ○ 三浦弘行 順位戦 B級 1組 1回戦(先手 横歩取り)
2021/05/17 ○ 行方尚史 叡王戦 本戦 1回戦(後手 矢倉)
2021/05/25 ○ 佐々木勇気銀河戦 本戦ブロック 決勝(先手 相掛り)
2021/05/31 ○ 永瀬拓矢 叡王戦 本戦 2回戦(後手 雁木)
2021/06/03 ● 稲葉陽  順位戦 B級 1組 2回戦(後手 角換わり)
2021/06/06 ○ 渡辺明  棋聖戦 タイトル戦 1回戦(後手 相掛り)
2021/06/13 ○ 屋敷伸之 順位戦 B級 1組 3回戦(後手 相掛り)
2021/06/18 ○ 渡辺明  棋聖戦 タイトル戦 2回戦(先手 相掛り)
2021/06/22 ○ 丸山忠久 叡王戦 本戦 準決勝(先手 一手損角換わり)
2021/06/26 ○ 斎藤慎太郎叡王戦 本戦 決勝(後手 角換わり)
2021/06/30 ● 豊島将之 王位戦 タイトル戦 1回戦(先手 相掛り)
2021/07/03 ○ 渡辺明  棋聖戦 タイトル戦 3回戦(後手 矢倉)
2021/07/06 ○ 久保利明 順位戦 B級 1組 4回戦(先手 四間飛車)
2021/07/10 ○ 山崎隆之 竜王戦 本戦 準々決勝(後手 相掛り)
2021/07/14 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 2回戦(後手 角換わり)
2021/07/22 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 3回戦(先手 角換わり)
2021/07/25 ○ 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 1回戦(先手 角換わり)
2021/07/27 ○ 斎藤明日斗銀河戦 決勝T 1回戦(先手 角換わり)
2021/07/30 ○ 石田直裕 王将戦 二次予選 2回戦(先手 相掛り)
2021/08/03 ● 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 2回戦(後手 角換わり)
2021/08/06 ○ 八代弥  竜王戦 本戦 準決勝(後手 矢倉)
2021/08/09 ○ 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 3回戦(先手 角換わり)
2021/08/12 ○ 永瀬拓矢 竜王戦 挑戦者決定戦 1回戦(後手 三間飛車)
2021/08/16 ○ 稲葉陽  王将戦 二次予選 決勝(後手 角換わり)
2021/08/19 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 4回戦(後手 相掛り)
2021/08/22 ● 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 4回戦(後手 相掛り)
2021/08/25 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 5回戦(先手 相掛り)
2021/08/30 ○ 永瀬拓矢 竜王戦 挑戦者決定戦 2回戦(先手 相掛り)
2021/09/02 ○ 斎藤明日斗棋王戦 本戦 2回戦(先手 相掛り)
2021/09/13 ○ 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 5回戦(先手 相掛り)
2021/09/17 ● 斎藤慎太郎棋王戦 本戦 3回戦(後手 角換わり)
2021/09/20 ○ 木村一基 順位戦 B級 1組 5回戦(先手 相掛り)
2021/09/25 ○ 千田翔太 JT杯戦 本戦 2回戦(先手 相掛り)
2021/09/27 ○ 糸谷哲郎 王将戦 決勝リーグ 1回戦(後手 角換わり)
2021/09/30 ○ 横山泰明 順位戦 B級 1組 6回戦(後手 相掛り)
2021/10/04 ○ 広瀬章人 王将戦 決勝リーグ 2回戦(先手 相掛り)
2021/10/09 ○ 豊島将之 竜王戦 タイトル戦 1回戦(先手 相掛り)
2021/10/11 ● 深浦康市  NHK杯 本戦 2回戦(後手 雁木)
2021/10/19 ○ 郷田真隆 順位戦 B級 1組 7回戦(後手 角換わり)
2021/10/23 ○ 豊島将之 竜王戦 タイトル戦 2回戦(後手 相掛り)
2021/10/31 ○ 豊島将之 竜王戦 タイトル戦 3回戦(先手 角換わり)
2021/11/03 ○ 永瀬拓矢 JT杯戦 準決勝(先手 角換わり)
2021/11/05 ○ 豊島将之 王将戦 決勝リーグ 3回戦(先手 相掛り)
2021/11/09 ○ 羽生善治 王将戦 決勝リーグ 4回戦(後手 矢倉)
2021/11/13 ○ 豊島将之 竜王戦 タイトル戦 4回戦(後手 角換わり)
2021/11/16 ○ 松尾歩  順位戦 B級 1組 8回戦(先手 相掛り)
2021/11/19 ○ 近藤誠也 王将戦 決勝リーグ 5回戦(先手 相掛り)
2021/11/21 ● 豊島将之 JT杯戦 決勝(後手 角換わり)
2021/11/24 ● 永瀬拓矢 王将戦 決勝リーグ 6回戦(後手 相掛り)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?