鈍気放手(ドンキ・ホウテ)

文春オンライン第2期“書く将棋”新人王戦―すべては「僥倖」に始まる 72歳の「観る将」…

鈍気放手(ドンキ・ホウテ)

文春オンライン第2期“書く将棋”新人王戦―すべては「僥倖」に始まる 72歳の「観る将」が 藤井聡太にハマったわけーhttps://bunshun.jp/articles/-/39208で最優秀賞を頂いた 「鈍気放手」です。

最近の記事

藤井五冠、20歳また強くなる

このところの豊島九段との王位タイトル戦2局と永瀬王座との棋聖タイトル戦2局は先手後手番ともほぼ藤井五冠の完勝に終わっています。 永瀬王座は「藤井五冠のギアが上がっている。」と評していましたが、まさにその通りの結果が出ています。 双方の棋戦で初戦を落としてしまったほんの一か月前の6月からは別人のようです。 一つにはタイトル戦の対局が続いたことで疲れるよりは、ほとんど研究時間が取れない中でも実戦慣れによる技量の向上の方が大きいこと。 もう一つこれが個人的には重要と思うのです

    • 藤井五冠、研究が顔を出すか?

      このところの豊島九段との王位タイトル戦第一、二局を観ていて思うのは、最近の角換わりの将棋は研究の精度が中終盤までに及び、いったん不利になると対局中に挽回するのが極めて難しくなっているのではないでしょうか。 つまり自らの研究範囲を外れたところを相手が研究していた場合、自力ではそれをカバー出来ないレベルまで精度が上がっていると。 これは研究精度が上がることで、逆に運の要素が高まっている? 事前研究の範囲とそれが当たるかどうか?が勝負を大きく左右しているような気がします。 ま

      • 藤井竜王、クイーンズ・ギャンビット

        藤井竜王がチェスもやってるということで有名な小説「クイーンズ・ギャンビット」を最近読みました。 女性が主人公で映画にもなってるので、そちらを見られた方も多いと思います。 自分はロンドンでチェスの駒セットを買うぐらい、一時ハマったことがあります。 将棋よりチェスは駒や盤がファッショナブルで女性に人気があるのはよく分かります。 実は中国象棋の丸っこい漢字の駒と罫線の交点に打つ盤も持っていますが、(真ん中に河が流れている!) こちらはもう一つ制約が多すぎてハマりませんでした。

        • 藤井竜王、A級順位戦1回戦勝利

          昨日、名古屋「天空」対局場こけら落としのA級順位戦初戦は久しぶりに未明まで粘って観戦しました。 佐藤会長趣向の向い飛車でしたが、順調に藤井曲線の評価値カーブで推移し終盤1六香の見落としがありましたが、形勢逆転までには至らず無事勝利で終局となりました。 今日はさすがに若干眠いのでこの辺で・・・ 2022年度可能対局数残:61局 6/23現在(段位、冠位、敬称略) 順位戦23年03月 08局○○○○○○○○(次 菅井竜也 未定) 棋聖戦22年07月 03局タイトル3○(次

        藤井五冠、20歳また強くなる

          藤井棋聖、苺力?で逆転勝利

          棋士の強弱は棋力「差」+勢いだと思ってます。 棋力はあくまで相手との相対比較ですから、「差」が大切です。勢いは直近の戦績+体調や精神状態などが加味されます。 こういった観点から前回の永瀬王座との棋聖戦第二局をみると、序中盤の研究においては永瀬王座が優り、終盤力は藤井棋聖が有利なので棋力差はほぼ五分でした。 勢いは今期負け無しの7連勝、倒した相手に藤井竜王、渡辺名人、豊島九段が入っているというまさに無敵の状態で、総合的には明らかに永瀬王座が上回った状態で始まりました。 事実

          藤井棋聖、苺力?で逆転勝利

          藤井五冠、戦略的千日手

          一般的に棋士は実戦の棋譜やソフトを利用して自らの研究手順を拡げ、深めて行ってます。 その中には当然、対局中に指されなかった読み筋も入ってますから、その量は膨大なものになると思われます。 基本的にはその研究が詳細であればあるほど、中終盤までとどく深さがあればあるほど、相手に対して有利になることは、全棋士がほぼこの研究合戦に参加している以上間違いはないでしょう。 ここからは個人的な推論になりますが、その研究の中で千日手や持将棋になる順が増えているのではないでしょうか。双方が最

          藤井五冠、戦略的千日手

          藤井棋聖、千日手ラッシュ

          昨日の棋聖戦第一局は思わぬ千日手指し直しが2回も続き、最後は角換わりで永瀬王座に完敗の形で終わりました。(今期5局で千日手3回!) しかし王座戦で大橋六段に敗れたときよりもはるかにショックは少ないです。 一つには番勝負で後があること、二つ目はやはり永瀬王座との親密度があります。 感想戦なんか二人での研究会の雰囲気を感じ、すっかりこちらも和んでしまいました これで豊島九段との王位タイトル戦と重なる部分が増えますが、スケジュールがそれほどタイトになることは無さそうなので安心して

          藤井棋聖、千日手ラッシュ

          藤井五冠、史上初叡王タイトルを防衛

          昨日の出口六段との叡王タイトル戦第三局は薄氷の勝利でした。いつも通り長考派の藤井叡王が時間を使い、出口六段の方に余裕があれば結果は逆であった可能性が高かったように思います。 ともあれ三連勝で叡王タイトル戦を終わらせたことは今後、永瀬王座を迎えて戦う棋聖タイトル戦に影響を与えなかったことは藤井五冠にとっては大きな意味があります。 また最終戦が第二局の千日手指し直し局のような圧勝ではなく、大接戦であったこともここで一つ気合を引き締めることが出来たのではないでしょうか。 言うま

          藤井五冠、史上初叡王タイトルを防衛

          藤井叡王、タイトル戦連勝記録を更新?

          昨日の叡王タイトル戦第二局は出口六段の先手相掛かりで始まりましたが、藤井叡王が僅差有利の場面で千日手となり、先後交代の指し直し局も相掛かりとなり見事完勝しました。 藤井五冠にとってタイトル戦で千日手は初めての経験ですが、これは棋聖タイトル戦で待ち受ける永瀬王座の得意技?なのでしっかりその予行演習になったものと思われます。 叡王戦第三局は5/24に行なわれる予定ですが、ここで三連勝で防衛できるかどうかは非常に大きな意味があります。つまり棋聖戦第一局6/03を前に余裕を持って

          藤井叡王、タイトル戦連勝記録を更新?

          藤井竜王、ピンクのズボンに・・・

          自分自身ほんと意識してなかったんです。 来年四月名人戦で八冠を賭けて藤井竜王が戦うなんて、だいそれたことを・・・。 ところが大橋六段に堂々と王座戦本戦の一回戦で得意の後手矢倉に完敗したショックの大きさたるや筆舌に尽くせません。 昨年同日(5/06)深浦九段に敗れたときは、逆にこれで対局スケジュールの過密さが少しは薄らぐと思ったものでしたが・・・ とにかく明日は叡王戦、出口六段とのタイトル戦第二局があります。気を取り直していつもの通り全力で応援します。 2022年度可能対

          藤井竜王、ピンクのズボンに・・・

          藤井五冠、タイトル初戦の振り駒勝率

          これまで藤井五冠のタイトル戦は今回の叡王戦を含め8回ありますが、前期の棋聖防衛戦だけを除き、全て「初戦の振り駒で先手」を握って勝っています。(ほぼ9割!) 2020/06/18 ○ 渡辺棋聖 棋聖戦 先手 矢倉(3-1奪取) 2020/07/01 ○ 木村王位 王位戦 先手 角換り(4-0奪取) 2021/06/06 ○ 渡辺名人 棋聖戦 後手 相掛り(3-0防衛) 2021/06/30 ● 豊島竜王 王位戦 先手 相掛り(4-1防衛) 2021/07/25 ○ 豊島叡王

          藤井五冠、タイトル初戦の振り駒勝率

          藤井竜王、2022年度最大78局

          藤井竜王の2022年度の最大可能対局数を計算してみました。 トーナメント、リーグ戦は全勝、番勝負は全てフルセット決着で合計78局となります。 ちなみに昨年2021年度の期初はちょうど100局でした。22局減少しています。やはり叡王、竜王、王将のタイトルを獲得しそれらのトーナメントとリーグ戦がすっぽり無くなったのが大きいようです。 あくまで個人的には今年度、A級順位戦で名人挑戦権を獲得し、二日制七番勝負のタイトルである竜王、王位、王将の防衛さえして頂ければ・・・十分満足です。

          藤井竜王、2022年度最大78局

          藤井竜王、五冠達成の今年度

          今期2021年度の将棋界は本日3月31日をもって終了します。 我らが藤井竜王は3月9日のB級1組順位戦最終戦で勇気七段に勝利しA級昇格を決めたときに既に終わっております。 その前が2月12日の渡辺王将とのタイトル最終第四戦ですから、それまでにもほぼ一カ月空いております。さらに今後の公式戦予定は叡王タイトル戦ですから4月下旬になります。3月初旬からほぼ二カ月の空白・・・ タイトルを五冠保持することがこんなに公式戦を減らすことになるとは夢にも考えていませんでした。 この時期3

          藤井竜王、五冠達成の今年度

          藤井竜王、コンディショニングが勝負か

          五冠を達成した棋士の一人である中原永世名人が「複数のタイトル戦を戦う上で一番大事なことはコンディショニングです。」と。 体調を維持しながらメンタル面でも安定した状態を保つことは、旅行や宿泊などを含むタイトル戦では不可欠な要素であることは間違いないでしょう。 藤井竜王の場合まず春夏秋冬にタイトル戦を分けて考えてみると、 春は叡王戦(4月~5月)5番勝負 夏は棋聖戦(6月~7月)5番勝負と王位戦(6月~8月)7番勝負が重なっています。 秋は竜王戦(10月~11月)7番勝負 冬は

          藤井竜王、コンディショニングが勝負か

          藤井竜王、今期残すは一局

          今年度もいよいよ3月9日B1順位戦対佐々木勇気七段(先手)を残すのみとなりました。既に竜王を含む五冠を達成しているので最後に自力でA級昇格を決めてくれたら、ファンとしてこれ以上の喜びはありません。 この二月と三月は対局姿を見られる機会が少ないのは残念ですが、来春から始まる怒涛のタイトル連戦に備えてゆっくり休養と研究に専念してもらいたいところです。 2021年度可能対局数残: 1局 02/21現在(敬称略) 順位戦22年03月 01局○(今期9勝,2敗,次 佐々木勇気 0

          藤井竜王、今期残すは一局

          藤井竜王、一戦、一戦の積み重ね

          豊島九段が3~4年前に「藤井さんが最盛期に達する頃に対抗できるだけの実力を保っていたい。」と述べておられました。当然その時期は藤井竜王が25~30歳の棋士として指し盛りなった頃との想定だったはずです。 ところが5~6年早くその時期が到来してしまったんです。現在藤井竜王は19歳ですが、豊島さんの想定ではデビュー以来の対藤井戦全勝を継続するのは難しくても7:3程度の勝率は維持できていると考えておられたのではないでしょうか。 まさか王位戦、叡王戦、竜王戦と連続してタイトル戦に敗

          藤井竜王、一戦、一戦の積み重ね