順番通りに引退しない車両たち(追記)
※この記事は9月25日に書き始めて、26日に追記しました。
VSE 50002編成引退
小田急ロマンスカーの代表格だった、VSEの第二編成(50002F)が引退しました。この後、第一編成についても12月の引退が決定済み。2005年の登場からわずか18年での引退となってしまいました。
小田急ロマンスカーは多彩な車両がありますが、番号からもわかる通りVSEは30000形EXE(1997年)より新しく、60000形MSE(2008年)よりも古い車両です。
しかし実際には、EXEはリニューアル改造が実施されてEXEαとなっており、今後もEXEについては使用され続ける模様です。
なぜEXEより新しいVSEの方が先に引退してしまったのでしょうか?
理由は様々あると言われていますが、よく言われているのは「連接構造」「ホームドア設置のためのドア位置統一」「10両編成だが実際には6両編成相当分の座席」などです。
しかし振り返ってみれば、古い車両の方が長く活躍した例は小田急では結構あるのです。
・2度も後輩を見送った 7000形LSE
小田急での代表格としては、7000形LSEでしょう。
後継車両に10000形HiSE・20000形RSEがいたにもかかわらず、どちらもLSEよりも先に引退。
LSEは1980年から2018年の引退まで38年も走り続けました。
HiSEは当時流行したハイデッカースタイルという、1段高い床を採用した構造でした。それにより出入口に階段ができてしまい、バリアフリーが叫ばれた昨今では不都合となってしまいました。
LSEと車両性能的にはほぼ同じだったにもかかわらず、2012年に引退しました。(現在は、長野電鉄で編成短縮の上で活躍中です)
RSEは、JR御殿場線直通特急あさぎり号(現:ふじさん号)用車両として登場した車両です。これまでの連接車構造ではなく、通常の連結車構造を採用した車両で、後に30000形EXEが登場するまでは異端のロマンスカーでした。同期にはJR側製造車両として、371系車両も登場しています。
どちらも特徴的なのは2階建て車両で、JR線内ではグリーン車としても運用されました。
しかし2階建て部分では階段を昇り降りする必要があるほか、こちらもハイデッカー構造を採用していたためバリアフリー上問題があったようです。
HiSEと同じく2012年に引退し、後継車両は60000形MSEが投入されました。
なお、RSE、371系ともに現在は富士急行で短縮化された上でフジサン特急として活躍しています。
・なぜか丁重に扱われる8000形
さすがにそろそろ、と噂される8000形ですが、残存率で言えばかなり高い割合が残っている方です。全160両が製造され、2023年9月現在で廃車されたのは4両6編成と6両5編成の計54両。残存率は約66%です。
実は8000形より後に登場しながら、廃車されている通勤型形式があります。1000形です。
8000形は1983年登場、1000形は1987年の登場でした。
1000形は196両が製造され、4~10両と幅広い運用がなされる万能車両でした。その一方、地下鉄直通運用が外されたり、ワイドドア採用が不評だったりと、様々変遷が多かった車両でもあります。
4両9編成、6両9編成、組成変更で更に8両の計80両が廃車されており、残存率は約60%。
なんと8000形よりも残存割合が低くなってしまったのです。
理由は憶測の域を出ませんが、8000形は概ね統一した仕様だったのに対し、1000形はドア計上など様々な同形式内の違いが目立った車両でしたから、それぞれ対応リニューアルするよりも新形式(新5000形など)に置き換えた方が手っ取り早いという結論になったのかもしれません。
足回り機器など、更新状況を考えれば最終的には順当に車体が古い8000形の方が先に全廃となりそうですが、現在の数字を見ると必ずしもそうとは言い切れないのかもしれません。
小田急は今後どうなるのか
このように旧型車両の方が残存してそれより新しい車両の方が先に引退する例は、無いことは無いのですが、小田急では最近そのような例が多く見受けられるような気がします。
時代の影響を受けた方針転換でやむを得ない部分もあったのでしょうが、それにしてもVSEの短命さには未だに腑に落ちない物が残るのは誰もが思うところでしょう。後継車両の有無についても未だ明かされていませんし、もしかしたら本当に無いのかもしれません。
それはそれはロマンスカーの縮小という方向性なのでしょうか?
今後の動向が非常に気になる所です。
(追記)9月26日発表
西武鉄道が以前から発表していた「他社からのサステナ車両の導入」について、東急電鉄から9000系を、小田急電鉄から8000形を譲渡してもらうことが発表されました。
本線系統には新造車両を投入し、譲渡車両は支線系統に投入するとのことです。
小田急8000形については、国分寺線への投入と書かれていました。
国分寺線は6両編成で運行されていることから、6両編成の車両がそのまま投入されるものと思われます。2024年度から運用開始予定とのことです。
一方、東急9000系が投入される予定の多摩川線などは、ワンマン運転かつ4両編成程度で運転されている線区です。このことから現在のツーマン5両編成仕様からさまざま改造された上での譲渡となりです。運転開始年度も2025年度からと、1年遅くなっています。
東急側は、東横線~副都心線経由で譲渡しやすいかと思いますが、小田急側は松田経由か、はたまた陸送でしょうか?
こちらも今後の動きが気になるところです。
もしかすると小田急8000系は、こちらの動きが後から決まって廃車の動きが鈍くなったのでしょうか?
車体は古いですが、足回りは3000・4000形と同等のVVVF装備になっているので、西武の在来車両(チョッパ車)よりは確かに新しくなっています。
それにしても、5年、10年前までは想像もしなかったような車両の動きですね。非常に驚きました。
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