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日本の鉄道はディフェンシブ株なのか?

日本の鉄道はディフェンシブ株なのか?

 たとえば米国株の中では、鉄道会社というのはディフェンシブ銘柄に数えられているかと思います。
 日本はどうでしょうか?

 個人的には、ディフェンシブではない、と考えています


米国における鉄道株

 アメリカは巨大な国であるからこそ、「2点間の長距離・大量輸送」が必要です。その大量輸送の内訳は、たとえばエネルギー資源、農作物、畜産物といったコモデティ。すなわち生活必需品が結構な割合を占めています。  貨物が中心ということは、季節に関係なく安定した需要・収益があるわけで、米国の鉄道株というのはディフェンシブ銘柄として数えて差支えないものと思います。(バフェットも全米2位の貨物鉄道BNSFを買収しました。)

日本における鉄道株

 日本の、特に貨物鉄道の状況はどうでしょうか。
 現在主要な貨物鉄道は「JR貨物」が挙げられますが、現在は非上場企業です。しかもその収益構造は、鉄道の赤字を不動産で補填しているという構図ですから、結局のところ鉄道貨物輸送ではほとんど利益が出せていないのです。むしろ不動産だけに集中した方が利益が出せるようにさえ見えます。

 なお、その他の貨物輸送を行う鉄道会社も地方の臨港鉄道程度に限られており、もちろん上場していません。

 上場している日本の鉄道会社はみな旅客鉄道というわけで、アメリカの鉄道会社とは全く輸送業態が別であると考えるべきです。

日本と米国の鉄道会社では全く収入構造が異なる。

日本の鉄道株を“ディフェンシブ”だと思い込む理由

 それでも日本の鉄道会社がディフェンシブであるという印象を持つのは、日本人がみな鉄道に乗って通勤通学していたからに他なりません。あるいは新幹線で、日本各地の観光地やビジネス、修学旅行などに積極的に利用していたからこそ、安定した需要があって、着実な利益を出し続けていました。

 これは各地で天災や震災、不景気や経済的ショックが起きてもほとんど不変でしたから、そういった印象から「日本の鉄道もディフェンシブである」と思い込んでしまったのかもしれません。

 この2・3年の間で、それらが根底から覆されたことは記憶に新しいかと思います。そしてそれは、なかなか元には戻らないようです。

 東日本大震災、リーマンショック、平成バブル崩壊でもほとんど起きなかったことが起きています。そういう意味で、この2・3年の日本の鉄道業界の「ドン底」具合は、過去に例を見ないレベルの物でした。

日本の鉄道会社はこの2年間で収入激減の「ドン底」に陥った。
一方米国の鉄道はそこまで減収しなかったが、人件費高騰やストライキ等別の問題が発生した。

今後の日本の鉄道株見通し

 さて現在。
 日本の鉄道株は2022年初頭から、全体的に好調を続けています。それはこれまでが「ドン底」であったからであって、ちょっとの改善でも前よりはマシと受け止められるからです。ある意味「当たり前の結果」なのであって、むしろ騒ぎすぎのレベルでもあると思います。

 これからを考えてみましょう。先ほど、なかなか元には戻らないと言いました。この理由を説明する必要がありますが、少々文字数が増えてきましたので、次回に持ち越したいと思います。
 1つだけ触れておくとすれば、これから先の鉄道株は「差」が明確に出てくると思います。今までのように、どの鉄道株を取っても同じように上昇する、というわけではなくなるだろうということです。

 鉄道会社の分類はなかなか難しいのですが、今後好調になりそうか否かで分類してみたいと思います。 

好調が期待できる鉄道の条件

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