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【VRChat】たった1ヶ月でITブートキャンプを立ち上げ?!舞台の裏側を公開します!!(前編)



謝辞

このたび、ITIB2024(IT Infrastructure Bootcamp 2024)にご協力いただいたITインフラ集会の運営のみなさま、そして何よりITIB2024に参加していただいた生徒のみなさま。また、X(旧Twitter)でdone_sanの投稿を見て、説明会にご参加いただいたみなさま。たくさんの方々のお力添えをいただけましたことに心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。



免責および注意事項

  • 本記事はVRChatにおいてITIB2024(IT Infrastructure Bootcamp 2024)というITブートキャンプの立ち上げから完了までの軌跡を描いた内容になっていますが、あくまで著者done_sanやITIB2024スタッフの思考や行動の結果であり、読者自身の意思決定、行動の成否を保証するものではありません

  • 読者が本記事の内容を採用した上での意思決定や行動など、またその結果の如何について著者done_sanは一切の責任を負いかねます

  • 本記事は執筆日である2024年1月14日時点の内容であり、ある未来の時点において情報が古くなっているかもしれないため、読者は常に最新の情報をキャッチアップするよう努めてください



TL;DR

  1. あなたのコミュニティの構造も公開して、構造の再現性を上げよう

  2. 1->10、10->100は自分の領分じゃないからこの続きは誰かがやってくれ

  3. ITIB2024は顧客への提案と価値定義からはじめた



はじめに

大前提について

ぼくはこれから好んで「構造」という言葉を多用するかと思われます。先述でも「構造」と書いてますが、このときの「構造」とは、以下のドキュメントにおける「03 構造とは何か」を意識している点に注意してください。

昔done_sanがLTで使用した資料の修正版

もはや、この「構造」だけでこれだけで1つの記事が出来上がってしまう(いつか資料をグレードをアップしたものを記事にしたい)ので、申し訳ございませんが上記資料を読んで理解してついてきてください。

また、本記事は3本立てにする予定です。まずは前編をお送りします。もしかすると、誰にも読まれないかもしれないので、そうなった場合には筆を折ります。読まれないと意味ないので。


なぜ種明かしをするのか…?

個人的にぼくのなかには、1つの危機意識があります。それは具体的には、VRChatのとりわけ日本人コミュニティにおいて、イベントなどですばらしい活動をされている方々はたくさんいらっしゃるけれど、かれらの活動に関して「果たして再現性はあるのか」と言われると正直、疑問符が浮かぶこと。

ここでいう再現性とは誰もがその構造(パターン)を採用することである目的、目標を達成できることを指しています。たとえば、ビジネスにおける再現性の場合、ある成功事例を模倣することで、同じような成功事例を生み出すことができることを指していますが、多くの場合、VRChatの日本人コミュニティの間でこれらの内容は正式に言語化されることはありません(ただの不勉強かもしれませんが、少なくともぼくは見たことがありません)。

では、そもそも再現性がないことの何が問題なのでしょうか。ぼくは再現性がないことの問題は3つあると考えています。それらを以下に挙げます。

  1. 日本人は0->1を苦手としている

  2. 0からの立て直しには大きなコストがかかる

  3. 属人性(個人に依存する/している性質)が上がる

つぶさに理由を確認することはしませんが、体系的に言語化されていない構造を再構築するコストは比較的高くになります。たとえば、のれん分けしようとしたラーメン屋さんが、商品のレシピを持たない場合、のれん分けをする前にレシピを作るでしょう。最初からレシピを作ってそれを真似すれば同じ味の商品を違う店舗で再現できます。

あるコミュニティについて構造を公開しなければ競争優位性を引き上げるメリットがありますが、ぼくは特に誰とも競争したいと思っていません。むしろ、これから先ぼく自身がITIB2024を船頭に立ってやるつもりは1mmもないので、やる気のある誰かにITIB2024の続きをやってほしいので公開しようと思いました。別名にパッケージングしなおして、やってくれてかまわないと考えています。


ITIB2024について

先述の通り、本記事はVRChatにおいてITIB2024(IT Infrastructure Bootcamp 2024)というITブートキャンプの立ち上げから完了までの軌跡を描いた内容になっていますが、VRChatとかそもそも知らないという人や、「ITブートキャンプ?何それ、ビリーズブートキャンプ??軍曹じゃん」という人にちゃんと前提を理解してほしいと思っています。

VRChatとは、SteamやOculus Storeなどで無料で配布されているソーシャルVRプラットフォームのひとつです。詳しくは以下のリンクを参照すること。

そして、ITブートキャンプとは、ITの現場で必要とされる内容を比較的短期間で実践的かつ集中的に学習する講座のこと。プログラミングスクールなどがブートキャンプ方式を採用していることも多いですが、ITIB2024は名前にInfrastructure(インフラストラクチャ)と付けているとおり、ITインフラにおける技術を主眼に置いています。

要するにざっくり言うと、VRでITインフラについてのブートキャンプをやったよってことです。最初はただの思いつきで、実現したら面白そうだなくらいに考えていましたが、X(旧Twitter)での反応がよかったのでちゃんとやろうと考えるようになりました。

次の章からやった内容について、細かに触れていきたいと思います。



ITIB2024の裏側(前編)

顧客への最初の提案

きっかけは次のツイートです。

ここでいうインフラエンジニアというのは、特にITインフラエンジニアのことを指していて、かれらはネットワークやサーバー、クラウドなどの技術を利用してぼくたちの毎日の生活を豊かにしてくれています。

まずこのツイートの趣旨を説明すると、自分が行動するうえで「これは人に必要とされるかどうか」を明らかにする目的があります。やりたいことがあってもまずはラフに聞いてみて需要があるか聞いてみます。需要のないことはやっても仕方ないというのが個人的な意見です。

2023年12月5日深夜0時32分のツイートでしたが、結果的に15人以上の方からリプライをいただきました。何がよかったのかを個人的に分析すると、3つに分かれます。以下に取り上げます。

  1. 冒頭で自分のやりたいことを端的に伝えている

  2. キャパシティを数字で明記している

  3. カリキュラムをざっくり出してイメージしやすくしている

ここはあまり深く考える必要がなく、全然ラフで良いです。どれくらいラフかというと、返信の中で「時間としては何時間×何日程の想定ですか」という質問をいただいてますが、この質問をいただいたときはぼくの頭の中では全くカリキュラムを行う時間配分のことを考慮していませんでした。それくらいラフでいいです。

ここではあくまで「需要はあるのか、ないのか」とそのうえで「やるか、やらないか」を決めるだけの、単純な意思決定のための提案しか必要ありません。たとえば、魚釣りでいうところの、撒き餌みたいなものです。撒き餌に群がらないなら、そもそもそこでは釣果が見込めないので諦めた方が得策です。むしろ、大事なのはこの次です。


価値定義

価値定義とは何でしょうか…。

価値定義は非常に重要なプロセスです。もしすでに競合が存在する場合はことさら重要さが増します。ここでいう「価値」とは、「ユーザーがサービスを体験するなかで感じる価値」のことを指しています。価値定義はそれを定義します。

そもそもぼくが、先述のXのポストを思いついた経緯は、ITの現場で感じたこととして「アプリケーション・エンジニアがWindowsのhostsファイルの書き方や、プライベートIPアドレスなどのITインフラに関する基礎をまったく知らない」というものがありました。当時はすごくフラストレーションでした。同じITエンジニアでも「これじゃあ介護と何ら変わらない。IT介護じゃん」とかそんな風にみじめな気持ちになりました。

でも逆に、ぼくのなかに「もしかすると、アプリケーション・エンジニアはITインフラに関する基礎レベルすらあやしい人は多いのかもしれない」という1つの仮説が浮かび上がりもしました。そして、ぼくはこの仮説をさきほどポストに対しての反応を見て検証しました。ぼくはこの瞬間から、今自分が持っているITインフラエンジニアとしての基礎知識を還元できるという確信を持っていました。

ぼくが立てた仮説に対して、自分ができることを理解したうえで「どのユーザーに、どのような価値を提供するべきか」をフレームワークに落とし込みました。ぼくが出した答えは以下の通りです。

1つめは、価値仮説シートにまとめました。

ITIB2024で作成した価値仮説シート

ユーザー・欲求・課題・製品特徴を一言に言語化するフレームワーク。クックパッド株式会社や株式会社Gunosyが仮説検証に使っていることでも知られています。ユーザー像、そのユーザーが持つ欲求と課題、製品の特徴を記入し、ユーザーにとっての一連の流れを言語化することで、ニーズに対応した機能をもつプロダクトの作成を補助します。ユーザーが抱える欲求や課題を軸にコンセプトを端的に表現できるため、ブレインストーミングやアイデア検討段階に活用しやすいフレームワークです。

コンセプト表現のための11のフレームワーク


2つめは、コンセプトアイデアシートにまとめました。

ITIB2024で作成したコンセプトアイデアシート

コンセプトツリーを使ってアイデアを検証していく前段階として、「コンセプトアイデアシート」を用いて軸とする体験価値のアイデア出しを行っても良いでしょう。「コンセプトアイデアシート」とは、インタビューなどで明らかになったインサイトをもとにどんな体験価値を提供できるサービスにするかを示すフレームワークです。技術や既存機能に囚われず、インサイトに基づいたアイデア出しをするのに役立ちます。

コンセプト表現のための11のフレームワーク

フレークワークが1つだけで提供したいサービスのイメージがパッと浮かばなかったので、2つ目に差し掛かってぼんやりと「こうだな」とイメージできるようになった時点で価値定義を終えました。2つとも似たようなことを書いていますが、1つ目だけだと価値だけで終わってしまい、具体的などのようなユーザーが何をどれくらいの量、どれくらいの期間でといったイメージが抜けているので補足する必要がありました。

自分が最初にイメージしたサービスが提供したい価値がきちんと言語化されるまでこのプロセスを続けることをおすすめします。それができたら次のプロセスに進みます。


イメージボードの作成

デザインの文脈では「イメージボード」といって、言葉で表しにくい抽象的な意図をイメージとして視覚化することがあります。

書き起こしたイメージボード

今回の場合、「まとまった時間を使って一気にITインフラの基礎を学ぶ」といった内容のように「ガチさ」や「引き締まった感」、「スマート」といった『学びたい人がちゃんとしっかり学べること』を強くイメージしました。

また、左下にITIB(アイコン)がある通り、この工程の段階から「ITIB」というサービス名が決まりました。さらにいえば、このときは2023年の12月上旬で『新年を迎える自分への期待感やワクワク感』というニュアンスも込めて「ITIB」の後ろに「2024」を加えて、「ITIB2024」が生まれました。

このツイートの時点(12月7日深夜2時)で使用するハッシュタグは決まっていたということなので、だいたい2日で名前まで決めていたということになりますね。


おわりに

5000文字を越えたら、さすがに中編以降に持ち越した方がいいと思うので、前編はここまでとします。中編以降をお楽しみに!スキ、シェアしてくれたら、めっちゃ励みになるのでよろしくお願いします!!


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