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トニースタークの言葉に感じた翻訳の難しさと日本語の美しさ

※この記事はアベンジャーズ/エンドゲームとそれ以降のMCU作品にまつわる多少のネタバレが含まれる可能性があります。核心には触れずに書いているつもりですが、十分にご注意くださいますようよろしくお願いします。

いっつうです。左から失礼!

さてこの度『アベンジャーズ/エンドゲーム』をついに観ることができました。

日本よ、これこそが映画だ!!

結論から先に言うとそんな感じでしたね。いやもうホント、すごかった。

前作アベンジャーズ/インフィニティウォーを観てから早三年、アントマン&ワスプとキャプテンマーベルは観たものの、なかなかエンドゲームに辿り着くことができないでいたんです。というわけで喜びもひとしおです。

ここまでのマーベルシネマチックユニバース(以下MCU)21作品プラス、ドラマ『エージェントオブシールド』シリーズをすべて、セリフを覚えるぐらい真剣に観てきたからこそ味わえたこの感動は、サノスに指を鳴らされても消えることはないでしょう。

そして真剣に観てきたからこそ、気になった部分もありました。

「左から失礼」

これはキャプテンアメリカ/ウインターソルジャー(2014年公開)の冒頭、ランニングするサム・ウィルソンの脇を軽快に駆け抜けていくキャプテン、スティーブ・ロジャースのセリフ(字幕)です。

英語なら「On your left.」
これと全く同じセリフがエンドゲームのクライマックス近くに登場するのですが、残念なことに字幕が「左を見ろ」だったんです。

ここは統一しなきゃ!!あーもったいない。

いくらシリーズが長く続いていたからって、忘れていいことと悪いことがあります。この場合、感動が少し薄まってしまったと断言できます。原文がシリーズ通して同じなら、翻訳もそれを通すことがシリーズ物の醍醐味なのではないでしょうか。

字幕で気になったところはもう一つあるんです。

 
ところで、私の仕事は中国語の通訳も兼ねているのですが、生粋の日本人である私ですが、訳していくうちに日本語の方がわけがわからなくなってしまうことが多々あります。

その原因はおそらく、日本語の持つ表現力の豊かさにあります。

同じ意味でもいろんな言い回しがあって、複雑だけどとても美しい言語、それが日本語なのです。

話が長くなりました。アイアンマンことトニースタークはMCUのスタート地点である映画アイアンマンのラスト、記者に囲まれた中でこう言い放ちます。

「I am Ironman.(私がアイアンマンだ)」


エンドゲームのラスト近くでも、またもやこれと同じセリフがあるのですが、字幕はやはり少し違っていました。

「I am Ironman.(私はアイアンマンだ)」

だけどこの場合は違っていいんです。違ったからこその良さというものがそこにあったんです。
もちろんその前後のセリフによってニュアンスの違いはあるにせよ、吹き替え字幕という限られた文字数の中で、しかも「が」と「は」の違いだけでこうも印象が変わってしまう日本語の危うさ、そして素晴らしさに気づかされた気持ちで胸がいっぱいです。

通訳という仕事に携わるうえで、一つ確実に引き出しが増えました。


ありがとうトニー、3000回愛してる❤

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