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CANYON Speedmax CF SLX8【試乗・インプレ編】

では組み立て編に続いて、各部のインプレ/試乗編をお届けする。
注)筆者の非常に偏見に満ちた個人的な意見が連なっているので、どうか「フフッそんな奴もいるんだな」程度に生暖かく見守っていただきたい。

ペダル

どこの車両でもそうかもしれないが、ペダルは付属していない。せっかくの新車だからペダルも新しく買えばいいのだが、ワフー買収後のスピードプレイの値段には付いていけないので、例によってサイクリーで安く手に入れた中古の手持ちで一番マシなやつを丁寧に洗ってグリスアップして取り付けた。

重量

ペダル・ボトルケージ(3個)込みの総重量は9.5kgだった。カタログスペックで9.44kgとのことなのでまぁまぁだろう。

この重さはちょっと気になってはいた。なにしろ最近の軽量ロードバイクは、ちょっと軽量パーツを使えば簡単にUCI規定の6.8kgを下回ってしまうようなものがゴロゴロある中、それらより3キロぐらい重いのか・・・と考えたくもなるというものだ。

しかし、落ち着いて考えるとそこまで悲観的にならなくても良さそうだ。なぜかというと、いわゆる「軽量ロードバイク」に比較して以下の点が追加されているからだ(ワンバイである点は一旦無視する)。

  • 前後ディープホイール(前60mm 後80mm)+0.5kg

  • エアロバー周り相当品 +0.5kg

  • 内蔵ハイドレーション相当品 +0.5kg

  • ベントーボックス相当品 +0.15kg

  • 内蔵ツールボックス相当品 +0.15kg

  • ガチのエアロフレーム形状 +1.0kg

非常に恣意的な計算にはなるが、これらで計2.8kgになるから、極端な話ガチのエアロロードをトライアスロン仕様に仕立てると、どのみち同じような重さになる、ということだ。

ただ正直なところ、日本のレースは五島・皆生をはじめとしてアップダウンのキツいところが多いから、そういう時は軽量ホイールに変えるなりしたいものだ。が、そんな予算はもうない。やるとしたら中華パーツで手組みになるだろう。

試走

天気が良くて「バエる」

ようやくセッティングが終わり、天気も良かった二月のある土曜の昼下がり、いそいそと試走へ出かける。いつものように鶴見川を気の向くままに。

インプレ

・・・ガチガチやな。第一印象はこれだった。剛性のカタマリ。すべてのパーツに一部のスキも無い感じ。パワーロスが全くなく、全てが推進力に変わる。すごい・・・

とはいえ、これは「ピカピカの新車」効果によるプラシーボがほとんどで、実際には乗っているのはあくまで「自転車」であり、推進力はすべて自らの老体である。これに乗ったからと言って突然アベレージが数キロ上がるような奇跡までは期待していないが、少なくとも下がることはないだろう。

フレームとホイールの空力がめちゃくちゃ良さそうなのは感じる。さすがに前まで60ミリディープなので横風に煽られる感じはあったが、この日はまぁまぁ風があった割には安定して走れたように思う。

eTAP AXSの効能は絶大だった。手元の操作は言うに及ばず、特にエアロバーを握ったままでも変速できるのは(解っていたことだが)大変にありがたい。以前の(半ば意地で使い続けていた)コマンドシフトレバーも、そのシンプルさから決して悪いものではないのだが、やはり操作性の観点で比較にならない。

ところでディレイラーなんてのはただの脱線装置だから、どんなに高級なものを使っても推進力の向上にはビタ一文寄与しない(笑)。ビッグプーリーがどうの、というのも私は信じない。そんなのが効くなら、テンションスプリングを弱めたほうが100倍効くと思う。知らんけど

そしてさらに初の油圧ディスクブレーキ。これは・・・良いものだ・・・キーキー鳴ることもなく、非常に安定した確実な制動力でものすごい安心感がある。これなら雨の長いダウンヒルでも安心だろう。以前JETTのオフ会でみん森に行ったとき、下りでオンボロ中華カーボンがブレーキの熱でばくはつするのが怖くてみんなから随分遅れたことを思い出した。

もうひとつ最近のトレンドに乗っかってるのが、クリンチャーのワイドタイヤだ。私はクロモリ、フリクションのダブルレバー、チューブラーホイールが定番の時代から乗っているので「タイヤは太い方が良い」とか「そろそろ28ミリが標準に」とか聞いても半信半疑だった。なにしろ昔は決戦チューブラーは21ミリが当たり前、下手したら19ミリとかの一発勝負タイヤとかまであったくらいだ。

しかし、オートバイのエコラン競技をみると、どこもそんな細いタイヤを履いてる車両なんかなくて、結構太めのタイヤにしている。もちろん乗り心地とか振動が与える影響とかもあるんだろうけど、細けりゃ良いというものでも無いらしい、というのはなんとなく理解できるようになった。

で、このスピードマックスにはシュワルベの25ミリが純正でついていた。25ミリならこれまでも使ったことはあって、あまり違和感はないし、重量増もそんなにないだろう。いずれにせよ、ホイールもチューブレスレディなので、そのうちにチューブレスタイヤに変えたい。

あとから知ったのだが(見とけよ・・・)Sサイズはクランク長が165ミリだった。自分のロードはこれまで170か172.5を使ってた。165ミリなんて学生時代のランドナー以来だ。ところが、知らないというのは幸せなもので、なんの違和感もなく走っていた。つまり自分はクランク長について評論する資格などないということだ。

微調整

走っているうちにエアロバーの突き出し、パッドの位置、グリップの角度、サドルハイトなど少し気になるところも出てきたのでその都度止まっては調整し、というのを何度か繰り返して割とすんなりとセッティングが決まった。

ベースバーの位置は予想通りわりと厳しいが、本来がそもそもTTバイクなわけで、ポタリング用じゃないから「鶴見川ぞいをゆるライド」で快適に走れるはずがないのは仕方がない。

ワンバイ

もうひとつ気になっていた「ワンバイ」のギア比については、結構普段乗りにも便利やな・・・という印象だった。いままでいちいちインナーに突っ込まないと得られなかった軽いギアが、チョイチョイとボタン押すだけで使えるのだから。

当然のことながら、ロー側のギアはかなり間隔が離れているので「刻みが荒い」印象はあったが、それは従来のフロントダブルでインナーに落としても起きることなので仕方がない。むしろ前50丁で刻んでるからマシなぐらいかもしれん。

今回ガーミンの表示はいじってなかったが、eTAPと連携して電池残量とかギアポジとか表示できるはずなので、今度やってみよう。そうなると「いまどこのギアだっけ?」といちいち下を見る必要がなくなるのですごく助かる。

そんなこんなで軽く30キロほど走ってきただけだが、大変に印象的なライドだった。いわゆる決戦バイク、そんなに頻繁に乗るわけでもなく、そう考えるとめちゃくちゃコスパが悪いわけだが、やっぱり煩悩にまみれた小市民的には「エエもん買って良かった・・・」という精神的充足感が大きい。

それはそれで、良いではないか・・・なにしろ30ウン年ぶりだし。多分あと死ぬまでに1台買うか買わないかぐらいだろう。知らんけど

6月の五島行きが最初の難関である。はたしてどうなることやら。

おわり

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