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CANYON Speedmax CF SLX8【購入騒動編】

以前、こんなようなことを書いたことがある。

あえてこういうバイクで激走し、バイクパートで大事なのはバイクの良しあしじゃなくてパワーとポジションだよ、ということを訴えたいのだ(笑)。何より、こんなロートル機材で最新のスーパーバイクをぶち抜くのは痛快ではないか(嫌らしいな〜)。

珠洲トラレポートより

しかし私とて人の子、最新のスーパーバイクを見て「いいなぁ、欲しいなぁ」と思っていたのは紛れもない事実だ。

あの手のバイクは最近の超絶機材インフレの流れから一声80万、あれこれ望めばすぐ100万、ハイエンドは200万というとんでもない世界になってしまった。そんなものをおいそれと「買いたい」と言っても無理なことは世の旦那様方は先刻ご承知であろう。

雌伏の日々

私は結婚する前に買ったチネリ・スーパーコルサを最後に(長いブランクがあったこともあり)一切「新車欲しい」とは口に出さなかった(唯一の例外は初期の頃のBD-1だが、これは家族で使うという話だったので除外)。ただひたすらに古いフレームや中古部品をレストアして走り続けて来た。いつしか30年の月日が流れた

ここ数年で珠洲やマレーシアの各戦に付き添ってくれている嫁さんも(どちらかというと)ボロい車両でずーっと我慢してる旦那をさすがに不憫に思ったようだった。

「アンタも長いこと頑張ってるんやから、たまにはええの買うたら?」

「渡りに船!」と思ったが、私はあえて固辞しつづけた「いや、今はバイクめっちゃ高いねん。100万仕事やで。無理無理。そんなん出すんやったら試合いっぱい出たほうがええわ。第一、バイクなんぼ良うしても大して速うはならへんで」。そう思っていた(いる)のも事実である。

昨年のマレーシアに行っているときも、再度嫁さんから提案があった「そろそろ新車買うてもええんちゃうの?」もしかすると自分の旦那にもうちょっとエエカッコして欲しかったのかも知れない(笑)。潮時かな、と思った。

スピードマックス

数年前から「これエエな、めっちゃエエな」と思っていたのがキャニオンのスピードマックスだった。

我らがスーパースター、フロデノ先生

それ以前からキャニオンは卸や販売店を介さず顧客にダイレクトセールスをすることで、品質の割にリーズナブルなバイクを提供するブランドということで注目していた。

そして、非常にどうでもいいことだが、私に縁のあったバイクブランドはこれまで以下のとおり。

  • Cinelli

  • Cannondale

  • Colnago

ここにCanyon追加しても、ええやん・・・ええやん・・・(ほか、CerveloやCippolini、Carreraも嫌いじゃないけど)

決め手

ダメ押しとなったのが、数年前にスピードマックスがフルモデルチェンジして現行のタイプになったことだった。このモデルの特徴は「デザイン」にある。現行スピードマックスは、ドイツの権威あるデザイン賞「iF賞」を2021年に受賞しているのだ。

私は一応デザイン屋の端くれであり、工業デザインについては一般の方よりは通じている。

日本のGマークもそうだけど、こういったデザイン賞と言うものは単に形がカッコいいとか綺麗とかで取れるものではない。その製品の機能、目的に照らして合理的なデザインであるか、利用者の困りごとをどのように解決しているか、それらを含め洗練されたLook & Feelになっているか?といったことが審査される(最近はそれらに加えサステナビリティとか社会的意義までも考慮されるようになってきている)。

そういった意味での「デザイン」が、このスピードマックスでは非常に高いレベルにある(だから賞を取ってるんだけど)。実際にどこがどう良いかについては後述する。

そんなこんなで、ついに清水の舞台よりスコーンと飛び降り、スピードマックスを買うことに決めた。それが昨年の10月中旬である。偶然だが、マレーシアでご一緒したWKさんもやはりスピードマックスにほれ込み「買います!」と宣言していたので、少しずつ情報交換をしていた。

欲しいのに買えない

彼によると、キャニオンは今人気爆発中に加えてサプライチェーンの関係で品不足であり、在庫が出てもすぐに捌けてしまうため、見つけたら速攻で注文しないとなかなか買えない、とのことだった。実際、サイトを見ていても自分に合う「S」サイズはかなり捌けるのが速く、どのモデルも軒並み「在庫なし」になっている。

そこで在庫が出たらメール通知が来るように登録するだけでなく、毎日在庫を確認して「在庫あり」を見つけ次第発注する、ぐらいの勢いでないとダメなのだそうだ。これはなかなかシビアな状況だ。

それから一月ぐらいだろうか、ずっとスピードマックスのページをタブで開きっぱにして毎朝更新を掛け、様子を見続けていたところ、ある日突然、そのモデルそのものが消滅してしまった。唖然・・・

なんということだ。キャニオンの購入はどうやら国際的な競争に巻き込まれており、本当に買えるときに買わないと全く買えない様相なのだった(実際にはモデルごとの生産数量などの関係で単に運が悪かっただけの可能性もある)。

ちなみにその当初狙っていたのは、CF SLX7のライバルeTAPモデルで80万円台〜だった。

しかし、すでに「キャニオン、買うたろかい」モードになった気持ちにフタをすることはできず、キリキリと悩んだ末にワンランク上の「フォースeTAP、行くか!」となってしまった。値段は跳ね上がり、まさに100万仕事である。クラクラしてきた。(※現在の価格は当時よりさらに数%値上がりしている)

ちなみに私は昔から基本的にアンチシマノ(例外はあり)であり、スラムモデルしか眼中になかった。シマノ製品が非常に優れている(例外はあり)ことは解っているけど、自分の実力的にコンポが変わったとて2位が1位になるような違いは出ないと思っているので、志向が好きなスラムに肩入れしている。

ワンバイ

ただ、その時あったSLX8(フォースeTAP AXSモデル)は、「ワンバイ」モデルだけだった。ワンバイ(1x)とは、フロントチェーンリングが1枚だけ、つまりフロントディレイラーがなく変速はリアのみというモデルだ。

フロントディレイラーが無い

最近はプロツアーでもコースによっては選択されることがある構成で、フロントのチェーン落ちの心配をしなくて良いとか、ギア比選択でややこしいことを考えなくて良いというメリットがある。

一方当然ながらデメリットとしてギアレシオの制約が出てくる。当該モデルのギア歯数はフロントが50Tでリアが10〜33Tとのこと。これなら高い方はギア比5と十分すぎるくらいで、低い方も1.52ということはこれまで使ってたインナーの39Tで言うと25〜26Tくらいに相当する。

これまでも試合では大谷峠の激坂以外ではすべて39x25T以内で乗り切っているし、そもそも普段もほとんどアウターしか使わないような走り方をしている(それが良いかどうかは別にして)ので、どうやらワンバイで問題ないように思われた。しかもリアは11枚どころか、12枚もある。

このような経緯で、新たにSLX8フォースeTAP AXS・ワンバイモデルに照準を定め、また毎朝在庫チェックの日々が続いた。

発注

キャニオンのモデルは、モデル毎に選択できる色が限られている。通常のメーカーなら、少なくとも同じフレームのモデルでコンポだけの違いならばフレームの色を決め、サイズや部品構成を決めてオーダーできると思うのだが、例えばこのSLX8は当初ダークグレーメタリックしか無かった。

ただ、よっぽど変な色でない限り「色なんかどうでもいい」と思っていた(どうしても気に入らなければ塗りなおせばよい)ので、在庫が出れば速攻で発注するつもりだった。

そして、ある日突然それが「在庫あり」になった。ヨシ!今行くしかない。速やかに購入手続きを・・・とは言うものの、初めて使うECサイトで一連の手続きがそう上手く行くはずがなく、あちこちで手間取ってしばらく時間が掛かってしまった。焦る。焦る・・・

と、突然「お客様の選択されたモデルは現在お取り扱いできません」的なメッセージが表示されてしまった。えっ・・・

どうやら、国際的な競争に敗れ、手続きに手間取っているうちにどこかの誰か達によって在庫が全部捌けてしまったようだった。何という事だ。これはまた、振り出しに戻ってしまった・・・と、その時はそう思った。

相前後して、すでに注文していたスピードマックスが届いたWKさんからメッセージが届いた。いわく「めちゃくちゃデカイ箱が届きました」笑。キャニオンのバイクは、いわゆる「七部組み」の状態で箱詰めにされて届く。ほぼ、ホイールとサドル・シートピラーを外しただけの状態なので、箱がめちゃくちゃ嵩張るのも無理はない。

そしてカクカクシカジカで発注ミスりました、という話をしていると、彼から「このモデルですか?」とリンクが来た。開いてみると、思っていたダークグレーのモデルではなく、アークティックグレーという、ライトグレーツートンのモデルだった。あれ?こんな色あったっけ?ていうか、Sサイズ「在庫あり」やんけ?!ちょちょちょ待て待て待て〜!!

なんと、いつの間にかカラーバリエーションが追加され、そっちのモデルは在庫がまだ残っていたのだった。となれば、あとは火急的速やかに発注するしかない!ポチッとな。

決済

いくつかサイズの指定をおこない、ディレイラーハンガーの予備やらサドル後ろのボトルケージホルダーやらを追加で購入し、万事整った。あとはカード決済するのみ。それ、行けっ!「決済を確定」ポチ。

・・・

このカードはお取り扱いできません」うわぁぁぁ

落ち着けおちつけ!これはなんかの間違いだ!

もちつけもちつけ!!

先に公開したIM南北海道エントリーの決済時の珍騒動と同じなのだが、実はタイムライン的にはこちらが先だった。なんのことはない、海外からの突然の100万円超えの決済要求に対し、カード会社が自動的に不審ガードを発動させて堰き止めていたのだ。まぁ、それはそれで安心ではある。

メールを見て「これは決済はおれがした」ボタンをポチッとして、しばらくするとようやく決済が通るようになった。ハァ〜〜〜〜ドキドキさせやがって・・・

お買い上げありがとうございました」フウゥゥゥ

これで、あとは届くのを待つだけとなった。納期は1ヶ月以上掛かるらしい。まぁ来シーズンに間に合えばよいので別に急がない。果報は寝て待てだ。

長くなったので着荷・開梱・組み立て編は次回。

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