がっつり映しているのが意外だったLAMBの感想

お写真お借りしました。ありがとうございます。

ネタバレを含むかもしれないのでここに放流。

動物たちがどこまでCGやロボットでどこまで本物か分からない！

開幕すぐの馬の動きがすごいんだけどあれ実物なのかな。
動物の演技では「戦火の馬」以来の感動。

物語は、
そんなに年寄りでもないのに子供がいない羊飼いの夫婦のもとで、羊が出産ラッシュを迎える。そのうちの一頭に夫婦は衝撃を受けるも、家の中へ迎えて世話をし……。
というところから始まる。

徹底して子羊の首から下を撮らないので映さないまま続けるのかなーと思いきや中盤からがっつり映す。

羊が「障碍者や別人種等の差別を受けている人たちの比喩」だとこの辺りから思い始めるんだけど、それだと「じゃあただの羊飼いの夫婦がそういった人たちを獣舎に閉じ込めてるってコト…？！」ってなっちゃうので、そうなるとまたなんか違うしなぁー…。（搾取している場面がほぼ無いので）
（でも出産ラッシュからの耳にタグつけるシーン以降、獣舎、映さないんですよね…。なんで…？目的が達成されて不要になり処分したってこと…なの…かな…？）

結局、そのままの見方をするのが一番辻褄が合うのでは…と思い始める。
新しい神話や寓話を作りたかったのなら、まあわかる。

羊が羊ではないと思った理由の一つとしては、「放牧シーンがない」ことも一因。
だってこんなに美麗な風景カットが多いのに、The牧歌といえる羊の放牧シーンがないなんてことある？？？
あとはあまりにも生まれた子羊に対してのリアクションがみんな薄い。奇形児を見る程度のショックしか受けていないように感じる。

ラストシーンは「マリアは自分のお腹を見てから空を見上げているので妊娠を暗示している！」という意見を見たけども、そんなにはっきりお腹見ているわけでもないのでうーんどうだろうと個人的には思う。お腹さすってるとかあればまだ。

夫婦には元々子供がいたようだけど、今は墓があるだけ。子供の服は買ってきたのか元々あるものかまでは分からなかったので、亡くなった子がどこまで成長していたのかも分からない。（もしかしたらヒントはあったかもしれないけど見落としている）

自分は死産説を推している。
「母親側に問題がなく父親側に問題があって身ごもれない、身ごもっても流産してしまう」ということであれば、子羊ちゃんをお世話を始めた後トラクターで一人泣く父親のカットも理解できる。俺のせいで妻があんなよくわからないものを平気で育てようとしているという罪悪感のシーンとして。
亡くなった子供を思い出して泣いている、ともとれるけどそれにしてはそのヒントがなさすぎるのと、子羊ちゃんが生まれた時旦那は結構渋い顔しているように私は見えた。ので、旦那は本当は育てるつもりなかったんじゃないかな。
ちなみに両親に身体的問題があるのではなく、子供の死でセックスレスで子供ができていなかったのでは？という疑問は劇中のセックスシーンで吹き飛んでる。やることやってるぞこの夫婦。

もしラストシーンが身ごもったことを暗示しているのならば、父親側に問題がある説を旦那の弟が後押ししてくれる。
「わざと風呂場の扉を開けていただろ？」が本当にわざとだったんじゃないか。
終盤、車で送り届けるシーンで一日閉じ込められて落ち込んでいる弟の方を何度も見る→その後すぐバスに乗るシーンっていうのも、わざとらし～！って思っちゃうんだよな。
絶対カーセックスしたじゃん。

ポスターにはネイチャー・スリラーって書いてあるんだけどネイチャー・スリラーの意味が最後まで見ても分からなかった。

監督の「これはファミリー映画」っていう言葉の方がしっくりくる。

構成的に子羊を実際に産んだのは夫婦ではないにせよ、絵面からは「若い夫婦ではない」「顔、右手だけが異形」「年の割に人語を話せない」＝「高齢出産で障碍児を生むと決めて育てている夫婦の話」が浮かび上がってくるからだ。

最後、子羊と全く同じであろう生き物がこれもまあはっきり出てくるんだけども、子羊の父親って解釈でいいんじゃないかな。
わざわざライフルを使ったのは明らかに「母親の復讐」だと思うので。

結局、
「そのまま受け止めるか」
「比喩表現として解釈するか」
決め切れなかったです。

みなさんはどっちだと思いますか？

ホラーに分類されているサイトもあるけどそういう恐怖シーンは一切ないです。
動物たちが可愛いのでケモナーはぜひ見てね！