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ワイン好きに捧げるレシピ#学び編《酸っぱいワインはお好きですか》
いつも、ワイン好きに捧げるレシピをご覧くださり有難うございます!
これまでホームページも含めて、200近くのワインに合う料理のレシピをご紹介してまいりました。
ご覧いただいている皆さんは、おそらくワインに興味をお持ちの方が大多数かと思いますが、ワインについてあまり詳しくない方も多くいらっしゃるのではと考えるようになりました。
そこで【学び編】と銘打ち、ワインの本質や醸造方法に焦点を置いた記事を定期的に発信していくことにいたしました!
ワイン初心者の方はもちろん、ワイン愛好家にも楽しんでいただける内容となっておりますので、ぜひご一読いただけますと幸いです。
学び編 part1《酸っぱいワインはお好きですか》
溶けるような暑さが続く夏の日、シャル子(ワインオタク・OL)の唯一の楽しみは冷房の効いた涼しい自宅で寛ぎながら、キリッと冷やした白ワインを味わうこと。
今日も、しかるべき温度帯に冷やしたレモンイエローの液体をグラスに注ぎ入れ至福のときを過ごしていると、夫のピノ太郎(シャル子の夫・関西人)があっ!と大袈裟に声を上げ近付いてきた。
「また、一人でワイン飲んでんの?僕も一緒に飲みたいけど、ワインは酸っぱすぎて苦手やわ。」
「うーん、酸っぱいかぁ。それならこのワイン試してみる?」
ワインの酸味とは
シャル子は少し考え、キッチンにある巨大なワインセラーから1本のワインボトルを取り出した。
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「・・・おう、うまいな。これなら飲めるわ!けど、あのワイン特有の口中がキュッとなる酸っぱさがないのは何でなんやろ?」
「甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の味覚の基本五味は知ってるかな。ワインの味わいもこの基本五味で構成されているんだけど、ピノ太郎が酸っぱいと感じる要素はこの中で言うと酸味。それでワインを酸っぱいと感じる要因はいくつかあるけど、一つはこの酸味の含有量が多いケースだよ。」
「ふーん。同じブドウから造られるのに、何で酸味が強いもんと弱いもんがあるんやろ?」
「たとえば、りんごと一括りに言っても青りんご、黄りんご、赤りんごなど色によって味わいは違うし、同じ赤りんごでも品種によって味わいは異なるでしょ?ワインの原料であるブドウも同じで、成熟度や品種によって味わいは全く変わってくるの。」
「品種は何となくわかるんやけど、何で成熟度まで関係するんか今一つわからんな。」
「要は、ブドウが熟す過程で酸が糖に変換(※)されるから、冷涼エリアだと気温が低く日照量も少ないから酸味は強く、逆に温暖エリアだと気温が高く日照量も多いから酸味は弱くなるの。」
「なるほどな!じゃあ、さっき僕が飲んだワインが酸っぱくなくて、ほんのり甘さも感じた理由は、温暖エリアで造られたワインやったってことか。」
「そういうことになるね。それじゃ酸味の謎が解決したことだし、今日はこの温暖エリアの白ワインに合う料理を作ってみようか!」
✅酸味のまとめ
ワインの酸味が強い(酸っぱい)と感じる場合は、酸味の含有量が多いケースがほとんど。
ワインの酸味の強弱は、原料であるブドウの熟度や品種によって異なる。
ブドウは一般的な植物同様に、熟す過程で酸を糖に変換する性質を持つ。
冷涼エリアのブドウは気温が低く日照量も少ないため酸味は強く、温暖エリアのブドウは気温が高く日照量も多いため酸味は弱くなる。
✅もっと詳しく知りたい方へ
※ブドウには、含有量が多い順にリンゴ酸(Malic acid)・酒石酸(Tartaric acid)・クエン酸(Citric acid)という3種類の酸が含まれており、果実が熟す過程でリンゴ酸はブドウ糖に変換されます。
糖が増してリンゴ酸が減少する一方、酒石酸は糖の合成によって増加していき、最終的にワインに含まれる酸の主成分となりますが、ブドウに含まれる酸の総量自体は減少します。また、この酒石酸が存在することで、ワインの中に渋味のある爽やかな酸味が生まれます。
その後、残ったリンゴ酸は乳酸菌の働きを利用するマロラクティック発酵(MFL:Malolactic fermentation)によって、酸味が弱くヨーグルトのような乳製品系の香りを持つ乳酸(Lactic acid)に変換されます。
チキンとアメリケーヌソースのキッシュ/Quiche with chicken and americaine sauce
エビの頭や殻をじっくり炒めることで完成するアメリケーヌソースを贅沢に使用した、濃厚且つジューシーな旨味系キッシュをご紹介いたします。
材料
有頭エビ 5尾
Aオリーブオイル 大さじ1/2
Aにんにく 1/2片
玉ねぎ 約20g
にんじん 約20g
セロリ 約20g
Bブランデー 小さじ2
B白ワイン 小さじ1
Cトマトピューレ 100ml
C水 200ml
Cローリエ 1枚
C塩 ひとつまみ(約1g)
鶏もも肉 約250g
Dオリーブオイル 大さじ1/2
D塩 ひとつまみ(約1g)
パイシート 1枚(約150g)
卵 2個
モッツァレラ 適量
※分量:2~3人分(18cmタルト型1台分)
作り方
①Aのにんにく・玉ねぎ・にんじん・セロリは、粗いみじん切りにする。
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②有頭エビは流水で洗い、頭と胴体に分ける。頭は砂袋を取り除き、はさみで細かく刻む。身を殻から取り外し、背わたを取り除いて食べやすい大きさに切る。
③鍋にAのオリーブオイルをひいて加熱し、①のにんにくを入れて炒める。香りが立ってきたら②の頭・殻を加え、潰しながら焼き色がつくまで中~強火で炒める。
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④香りが変わってきたら、①の残りをすべて加える。玉ねぎがしんなりしてきたらBのブランデー・白ワインを加え、水気が飛ぶまで炒める。
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⑤④にCのトマトピューレ・水・ローリエ・塩を加え、蓋をして弱火で約30分煮込む。
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⑥鶏もも肉は、脂肪と余分な皮を取り除いてひと口大に切る。フライパンにDのオリーブオイルをひいて加熱し、鶏もも肉・Dの塩を加えて表面に焼き色がつくまで中火で加熱する。①のエビの身を加え、色が変わったら火を止める。
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⑦⑤の水分量が半分になるまで煮詰まったらローリエを取り出し、ざるを乗せたボウルに注いで木べらで潰しながらこす。
⑧⑦の温度が下がったらボウルに卵を加え、よく混ぜ合わせる。
⑨パイシートを麺棒で伸ばし、キッシュ型に乗せる。型の側面に沿って生地を隙間なく押し広げる(縁からはみ出た生地は切り落とし、型の中の薄い部分に足してください)。生地の底一面にフォークで穴をあける。
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⑩⑨の生地に⑥をまんべんなく乗せる。上から⑧を流し入れ、ちぎったモッツァレラを乗せる。200℃のオーブンで30〜40分焼いたら完成!
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「エビのむっちゃええ香り・・・。モッツァレラのまだら模様もオシャレやん!」
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「エビの凝縮したエキスと鶏もも肉のジューシーな脂を生かしたかったから生クリームは使わず、代わりにミルキーなモッツァレラを加えてみたよ。」
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「キッシュが口中に少し残った状態でこのシャルドネを飲むと、エビの香りがぶわっと広がる気がするで!」
「うん。エビの芳醇な香りとパイ生地の香ばしさを、シャルドネの洋梨やパイナップルのような華やかなアロマや木樽由来のロースト香がグッと引き立ててくれるね。」
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「それに、アメリケーヌソースに加えたトマトの酸味がシャルドネの程よい酸味とマッチして、あっという間に1本飲んでしまうわ!」
「ピノ太郎、酸味が弱くて果実味が豊かなワインは、総じてアルコール度数も高くなる傾向にあるから気を付けてね・・・。」
✅ワインを合わせるコツ
料理全体を構成する芳醇な香りと風味には、熟れた果実を想わせる華やかなアロマ・木樽由来のロースト香とナッティな風味を備えるワインを合わせることで、双方の香りと風味が引き立つ。
エビと香味野菜の旨味が溶け込んだアメリケーヌソースの心地よい酸味には、強すぎず弱すぎない程よい酸味を持つワインがピッタリ。
スタッグス リープ・ワイン・セラーズ
1970年に、ウォレン・ウィニアルスキ氏がアメリカのナパ・カウンティにあるスタッグス・リープ・ヴィンヤードを取得したことが始まりです。1972年の醸造所の完成を機に、アンドレ・チェリチェフ氏がコンサルタントとして参入しました。
その4年後となる1976年5月に、パリスの審判と呼ばれるアカデミー・デュ・ヴァン主宰のフランス対カリフォルニアのブラインドテイスティングで、樹齢たった3年の「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ S.L.V. カベルネ・ソーヴィニヨン1973」が五大シャトーを抑え見事1位を獲得し、ワイン界を震撼させました。
2007年にサン・ミッシェル・ワイン・エステーツ、マルケージ・アンティノリの共同所有となり、現在はカーク・グレイス氏が栽培責任者、マーカス・ノタロ氏が醸造責任者に就任。技術面が飛躍的に上がったことで、評価はうなぎ上りに上昇し続けています。
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酸っぱいワインが苦手な方は、今回ご紹介したアメリカやオーストラリア、チリなどの温暖エリアで造られたワインをぜひお試しくださいね!
きっと、ワインの見方が大きく変わりますよ。
最後までご覧いただき有難うございます!
◆ワインビストロ路地裏では、noteでご紹介したメニューのほか未公開メニューもございますので、横浜にお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ。
◆姉妹店のワインカーヴ レイズでは、常時10種類以上のグラスワインや100本以上のボトルワインをご用意しております。
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美味しい料理とワインに囲まれ、皆様の暮らしが彩り豊かなものとなりますように。
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