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「リスクアプローチ」から学ぶ、問題解決の手法 | エンジニアが問題解決について勉強する

プライム会員はkindleで0円で読めるということもあり、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」という本を読んでみました。

会計士である筆者が、日常生活で感じた疑問を会計学の視点から解決していくというような本で、会計学入門のような内容になっているのですが、これが想像をはるかに超えて良い本でした。
最初は「まぁ0円なら読んでやるかぁ」くらいの舐めた態度で読み始めました。すみません。今は正座しながら、マーカー引きまくりながら貪るように読んでます。

身近な例から会計の基本を知れるエピソードが盛り沢山だったので、まとめてみようかと思ったのですが、会計監査の手法として「リスクアプローチ」というものが紹介されており、それがエンジニアとしても、日常生活を送る中でも応用できそうだと感じたので、それをピックアップしてみたいと思います。

リスクアプローチという考え方

会計士である筆者が、会計監査をする際の話で、以下のようなことが書かれています。

監査といっても全ての会計資料に目を通してチェックしているわけではない。人数と時間の制約があるので、そんなことはよほど小さな会社でもない限り物理的に不可能なのである。

では、どうするのかというと「調べる範囲を狭める」という方法を取るようです。

さらには、以下のようなことが書かれています。

すべてを調べるのではなく、重要そうな一部をサンプルとして取り上げてそれを調べる。大事な一部分を調べることで、「まぁ全体しても大丈夫だろう」と太鼓判を押すのが監査の仕事なのである。

表現としては他の会計士から反論が出そうな感じがありますが、これは監査用語で「リスクアプローチ」と呼ばれる立派な手法の1つで、不正のありそうなところを重点的に調べる方法だそうです。

全体を見てわからないことは、ポイントを絞って見る

監査という仕事に対して、徹底的に細部まで調べ上げるというイメージを持っていたので、ちょっと驚き。
「人数と時間に制約がある」という部分は、どんな仕事にもついて回る課題でしょう。これは会計士にとっても同じなんですね。
どんな仕事にも必ずリソースの制約は存在する。その制約の中で最大限に成果を出すために知恵を絞るんですね。

筆者は本の中で以下のように語っています。

全体的に見てもさっぱりわからないものは、ポイントを絞って見ていけばなんとなくわかってくる

この考え方は、無意識にしろ意識的にしろ、実際に様々な場面で使われていると思います。

例えば、僕は本を読む時に難しいなと感じたら、主語と述語をまず読み解くようにしています。そうすれば、言いたいことが大まかに理解できるようになります。
この方法も、「まずは主語と述語を見つける」というポイントに絞っている、という意味ではリスクアプローチの概念と同じことをしていると言えるのではないでしょうか。

もう1つの例として、僕はWebエンジニアをしているのですが、プログラムを書く時に複雑な問題に取り組む際、「最低限、何ができればOKか」を考えます。
コードの綺麗さやパフォーマンスなどは一旦とりあえず無視して、やりたいことを実現することだけを考えるようにします。
これも、ポイントを絞るというやり方でしょう。

おそらくどんな仕事でも、ポイントを絞って考えるというアプローチは存在するだろうと思います。
デザイナーやマーケター、営業や人事など、仕事の対象(ソフトだったり人間だったり)が異なる人に、どのようにポイントを絞っているのか聞いてみるのも面白そう。

正しくポイントを絞る方法

ポイントを絞るのが大事だけども、そもそもポイントが外れると効果を発揮しない。
ということで、本の中では「ポイントの絞り方」についても書かれている。

監査の話では、「金額的に大きいものはどれか」「他への影響力が大きいものはどれか」という見方で絞るようです。つまり、大きいものに絞ること。

これは会計の話だけでなく、家計の話でも同じことが言えると思います。
節約をしたいなら、大きな出費をガッツリ減らすor無くすのが一番効果があるでしょう。例えば、保険料を見直す、飲み会を減らす、服を買うのは3ヶ月に1回にするなどなど。
数十円、数百円の節約のためにレジの行列に並んだり、スタバのカップのサイズに悩んだりするのは絞るべきポイントが外れていると言えると思います。(いや実際、スタバのカップのサイズは重要ですけどね。僕も悩んだ末に「ショートサイズで...」と小声で言うようなタイプです。グランデを頼む時は自信満々に。)

またプログラミングの例でいうと、アプリケーションの特定の処理のパフォーマンスが悪い(処理速度が遅い)ということがあったとします。こういった問題はたいてい様々な要因が絡んでいる場合が多いのですが、小さな改善を重ねて数ミリ秒ずつ速くすることよりも、ボトルネックを探すことの方が重要だったりします。(ボトルネックが解消されることで、その前後の工程が最適化されて、さらにその前後の工程が最適化されて、というようなことが起きたり、起きなかったり。)

とにかく、ポイントを絞る際は「大きいものに絞る」という考え方で問題無さそうです。

まとめ

withコロナ時代にどうすれば企業は生き残ることができるのか?
あれ、そもそもどうやって企業は生き残っているんだ?
どうなったら潰れてしまうのか?
というところを考えはじめて、amazonで色々と本を探っていく中でこの本を見つけました。
しかもprime会員だったら0円じゃんってことで読み始めたのですが、思わぬ収穫でした。本当に面白い本。
本を読み始めた動機と、この記事で書いた内容はマッチしていませんが、まぁいいでしょう。

「ポイントを絞る」というところで色々と思考が広がったので、この部分だけをピックアップしましたが、他にも

・連結経営とは何か
・在庫はなぜ減らさないといけないのか
・資金繰りとは何か
・回転率とは何か、なぜ重要なのか
・キャッシュフローについて
・数字のセンスの磨き方

などなど、興味深いテーマが盛り沢山です。
これは何度も読みたい本ですね。

ちなみに、ポイントを絞るというテーマをさらに深掘りした「エッセンシャル思考」という本もあります。
これも最高としか言いようがない本で、改めて読み直したいです。


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