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マッサージゲーム炎上の件について考察してみた

はじめに
2022年7月14日に発売予告がされた『マッサージフリークス』がTwitter上で話題となった。

話題になった当初は、「性犯罪ゲーム」だとか、「任天堂でエロゲーを出すなんてありえない」という内容で「性的で問題がある」と引用RTで拡散されたが、後に「日向坂46のメンバーの名前を模している」という指摘が拡散されたことにより、ゲーム開発会社は謝罪しゲームの発売は延期されキャラ名の変更及びタイトル変更が行われる事となった。

それが、
「アイドルオタクからのクレームによってマッサージフリークスはタイトルを変えたのに、フェミニストが炎上したことにされている」
というような発言をされているのを見て驚いた。

たしかに、キャラ名とメンバーの名前の一部が合致していると苦言を呈する人はいたが、それと比較にならないくらいの数の謂れのない侮蔑な発言が*ジェンダークレーマー(詳細は下記リンクnote参照)にされていたではないか

私はアイドルオタクであり、漫画・アニメ・ラノベも好きだ。
表現の自由を守るためにアカウントを作り、行動を始めたのは表現規制の波がアイドルの方に来た際に、守るための戦い方を学ぶためであり
「ドルオタは他の物が表現規制されそうな時、何もしなかったではないか」
と誹りを受けないよう表立って動こうと思ったからだ。

クレーマー達によるあの罵詈雑言をなかった事にされ、「アイドルオタのクレームによるもの」と総括されるのは、非常に不快である。
そこで、時系列と論点をまとめさせていただく。

なぜ名称変更をしたのか、それは妥当なのかという点に関しては表現の自由を守る者としての観点と、アイドルオタクとしての考察や感情論的話は分けて語らせていただきたい。
表現の自由を守る者としての視点と、アイドルオタクとしての考察・考えによって出た結論がそれぞれ私の中では異なるからだ。

時系列

7/14
株式会社qureateにてマッサージフリークス発売予告がツイートされる

同じく、ファミ通による予告ツイートが同日にされる

これがめちゃくちゃ大炎上した。
ファミ通は性質上、全年齢ゲームしか遊ばない人から幅広くゲームをやる人まで色々な方がフォローしている。
そのため、ターゲット層ではない人たちの目にもゲームタイトルなどの情報が目に入ることがある。

メーカー側が対象年齢制限を行ったとしても、全年齢層が閲覧するアカウントやメディアが掲載した際、予期せぬ炎上に発展することにつながる。
それをメーカーや販売プラットフォームのせいにするのは、あまりにも不憫である。

当時
「マッサージ店で性被害にあったことがある人もいるから、こうしたゲームは被害者を傷つける」
「性犯罪を肯定している」
「任天堂でエロゲーを売るな」
というような批判がリプライや引用RTでされていた。

ちなみに、「マッサージフリークスのキャラ名を日向坂46から拾ってる」と指摘するツイートはこの発表日時点であったが、そこまで拡散はされていなかった。

「こんなの許せません😡」という苦言の様子ではなく、ネタとして気付いて爆笑してる印象。

7/15
ジェンダークレーマー達からの批判が殺到した件がまとめられる

マッサージフリークスの炎上の件で1番最初にまとめられたのは、宣伝ツイート翌日のこちらの記事。
Togetterの性質上、まとめ者が選んだツイートが掲載されるため恣意的にまとめる事ができるが、ジェンダークレーマーからの批判が多かった事は、私の記憶とも合致する。

7/16
なぜフィルタリングしないのか?と話題に

任天堂のSwitchには年齢によるフィルタリングをかけられる仕様があります。
クレーマーの論点の1つの「子供もプレイするゲーム機で売るな」という点に関しては、表示・販売をさせないよう制限をかける事が可能。
本ゲームのレーティング「CERO:D」は17歳以上対象のゲームであり、全年齢のゲームではない。

7/17
株式会社qureate公式アカウントからクレームは自社に言うようアナウンスがされる

「任天堂がエロゲーを売るのは許せないから、任天堂に抗議しよう」と任天堂の窓口の情報を拡散し、実際に問い合わせた方々がいた。
任天堂はあくまでプラットフォームであり、『マッサージフリークス』の開発元ではない。
任天堂に問い合わせても、ゲームの内容等は変えられないので、自社に連絡はするようアナウンスを行うのは至極当然の事。
この時点ではキャラ名に関しての声はそこまで大きくなく、このツイートにも記載は特になし。

同日、日向坂46のメンバー名とキャラ名が一致してる件がToggetterにまとめられる

Togetterにて、日向坂46のメンバーの名前と一部合致していた件がまとめられた。
名前の件をツイートしていた人達自体は以前からいたが、このまとめ以降、炎上の性質がゲームの内容・任天堂への批判から、キャラ名への批判に変わったように感じる。

7/18
キャラ名引用に関して謝罪
抗議は任天堂ではなく、自社にするよう要請

ちなみに、日向坂46の名前とキャラ名はファーストネーム等一部が合致しているだけでフルネームそのまま引用したわけではない。

名前自体が商標登録されているわけでもないため、違法性は無いだろう。

7/22
2022年8月4日に発売を予定していた「マッサージフリークス」のNintendo Switch版は関係各所と協議した結果、発売を延期
キャラ名の引用を謝罪

発売延期が発表され、再度キャラ名の件が謝罪された。

株式会社qureateの代表取締役兼、本ゲームのプロデューサーの臼田裕次郎氏が、日向坂46の公式アカウントや関連垢をフォローしている事なども拡散されていた。
自分はそこに、アイドルオタクとして思うところがあるため後述する。

7/23
『現実のアイドル日向坂のメンバー名を流用しているSwitchポルノゲーム『マッサージフリークス』、ファンからの抗議を受けキャラ名変更へ』
というタイトルでTogetterにまとめられる。

さて、自分が気になったのはこのまとめだ。
このまとめには性犯罪・任天堂でエロゲーを売るなと言うようなクレーマーが存在したことには一切触れられず、おひさま(日向坂46のファンの総称)のお気持ちツイートが紹介され、こうしたクレームによって名前が変更になったとまとめられている。

一部の過激な批判はすでにツイートが削除もされており、このまとめを見た人はジェンダー系の批判があったことを知らず、ドルオタのクレームのせいだと思うのではないか?と懸念したため、自分は今回noteを書くと決意した。

8/1
タイトルとキャラ名を変更してsteamにてリリース

「マッサージ」を名前から消して「リフレ」に変更し、日向坂由来の名前も変更された。

8/3
任天堂から保護者の皆様へというタイトルでアナウンス

今回の炎上の件や、任天堂の窓口に対して苦言を呈した方々の影響なのか、夏休みシーズンでたまたま被っただけなのか分かりません。
しかし、任天堂のゲームには見守り機能が付いていることや、子供と相談して決める事などをまとめたサイトが更新された。

炎上に関連しての時系列のまとめは以上。


論点整理

さて、ここまで時系列をまとめてきたが、その上で論点を整理させていただく。

①炎上の発端となったもの
これはファミ通の宣伝ツイートだと思う。

コミックナタリーのツイートから月曜日のたわわの新聞広告が拡散され炎上したのと同様、大勢の人に見られる≒クレーマーに見つかるリスクが高まる。

しかし、広告とは”沢山の人に見てもらうため”にあるもの。また、類似案件全てが炎上しているわけではありません。広告・メディアは常に炎上リスクを抱えているといえるが、過度な萎縮は避けたいところ。

②任天堂・開発元会社 株式会社qureateのゾーニング
勘違いしている人も多いが、レーティングは任天堂やゲームの開発元による自己申告で行われているものではありません。

独立した組織であるCEROによるレーティングがなされており、任天堂のSwitchは見守り機能なども備えているため、不備はないと思う。

CEROとは『特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構』の略称であり、独立した審査団体である。

③ゲームは性犯罪を助長・肯定する?
これは完全に言いがかりだ。

山田太郎議員も指摘しているが、日本はアニメや漫画やゲームが溢れる一方、諸外国と比較しても性犯罪の件数は少ない。

マッサージ店で性被害に遭った人が現実にいる事と、それがゲームが発売される事で増える事はイコールとはならない。

④キャラ名は法的にアウトか?
同姓同名でもなく、ファーストネームが被っているだけでは違法性はないと思う。

弁護士の福井健策氏による記事を参照させていただくと
「キャラクターや団体の名称には、通常著作権は及ばない。」
また、有名人の場合別にパブリシティ権があるがフルネームでの引用でもないため、法的に差し止めとなる可能性は低い。


アイドルオタクとしての考察

さて、上記の論点をまとめた上で、表現の自由を守る立場としての回答をするのであればゲームのゾーニングは適切であり、違法性もないためタイトルキャラ名を変更する必要はないと思う。

しかし、アイドルオタクとして今回の事件を考えた際、キャラ名変更をすると決断した気持ちもわかる。

※ここからは、あくまで一個人の推察にすぎませんのでご了承ください。

①アイドルは創作上のキャラクターと異なりエゴサをする

今回の件で、一般的な名前だけならまだしも「未来虹(みくに)」や「愛萌(まなも)」といった特異な名前(キラキラネーム)を使うのはどうなのか?という批判があった。
これはアイドルオタクからだけでなく、二次元愛好者からフェミニスト系アカウントまで同様の疑問を感じて「アウトだと思う」という人が多かった印象。

先ほども述べたように、商標登録もされていないうえに、フルネームでもない名前自体を引用することは違法性はない。

しかし、アイドルはエゴサ(自分の名前を検索すること)を好む子が多く、このままリリースされた場合、名前を引用された子はエゴサで「自分と同じ名前のキャラがいる」ことに気づいた可能性は高いと思う。

ただ、キャラ名と名前が被っていることに対して不快に思うかどうかは、その子本人じゃないとわからない。
他者がその子の気持ちを類推したとしても、本人の気持ちは本人にしかわからない。
そのため、自分はファーストネームが被る=アイドルは必ず嫌がるとは一概には言えない。

②ファンは推しの名前でパブサする人もいる

さて、アイドル本人の気持ちはわかりませんが、次はオタク側の気持ちやコミュニティ的な問題を考察したい。
個人的には、こちらのほうがキャラ名変更に踏み切る要因になった可能性が高いのではないか。

パブサ(パブリックサーチ)というのは自分以外の気になるものを検索することであり、アイドルオタクは自分の推しの名前やグループ名で不定期に検索して情報を集める。
ファンは数が多いので、いろんな考えの人がいる。
そのため、「ほとんどの人が気にもしないことが気になる人」もファン数が多ければ必然的に存在する可能性は高くなるのだ。

③アイドルとファン、ファン同士の距離感は近い

一人のキャラクターだけでなく、全ヒロインのファーストネームが日向坂46のメンバーからもじっている事に加えて、ゲームのプロデューサー兼代表取締役(臼田裕次郎氏)が日向坂46の公式アカウント複数をフォローしていることを指摘している人が数人散見した。

名前被りが一人だけなら偶然かもしれない
→一人じゃない

これに加えて

プロデューサー兼代表取締役(臼田裕次郎氏)が日向坂46の公式アカウント複数をフォローしている
→偶然の一致の可能性は低いのではないか?
となったのが問題。

これが歴史上の人物や、創作上のキャラ名であれば好きな団体や人の名前をもじっていたとしても大きな問題にはならなかった。

しかし、アイドル本人に見つかる可能性が高いことに加えて、その本人と握手会などのオフラインイベントやオンラインお話会などで直接話す事ができるのが現代のアイドル文化。

また、トレーディングカードやランダムブロマイドなどの交換などグッズの交換等によりファン同士の交流も盛んであり、ライブ・特典会からオフ会に発展することも珍しくない。

その際、アイドルやオタク仲間からどう思われるか・・・・?
アイドルの推しを「好きな子」
オタク仲間をクラスメイト・職場の人など「所属するコミニュティの仲間」に例えるとわかりやすい。
違法性はなくても、好きな子に嫌われるリスクや、顔を合わせることもある仲間に批判される可能性のある行為が晒され続けることになるのは避けたいと考えるのは自然である。

アイドルオタクとして、キャラ名変更に踏み切ったのは「理解出来る」と思ったのは、コミュニティや推しから嫌われる可能性があるものを押し通すことは「気持ち的な面」では非常につらく耐えがたいと感じたからだ。

無論、偶然の一致だと押し通すことはできなくはなかったと思うし、法的にはそれでも全然問題はない。
しかし、それは鋼のメンタルがあれば可能であるというだけの話だ。
まぁ…もし、私の推察が合っていた場合、名前の字を変えるとかキラキラネームの子は引用を避けるとかばれたり騒がれて困ることはやるなと思いますけどね

アイドルソングやアイドルプロデューサーへの過去の批判事例

ここでハッキリと明言しておきたいことがある。
ジェンダークレーマーや表現規制派はアイドルやアイドルオタクの仲間ではもなければ味方でもない。
アイドル業界はメンバーもファンも入れ替わりが激しく、知らない人も少なからずいると思うが、過去にこのような批判があった。

『【欅坂46】月曜日の朝、スカートを切られた の曲で傷つく人が増えないようにしたい。』という署名を展開し、歌詞が不謹慎だから封印するべきだ主張する人がいた。

マッサージゲームの件もそうだが、作品の内容と実際に過去に起きた事件は関与していない。
学校に行く意味に疑問を感じる女生徒が、通学中に誰かにスカートを切られる。満員電車自体が何かの暗喩であり

誰もが
何かを切られながら
生きている

欅坂46
『月曜日の朝、スカートを切られた』

この歌詞からもスカートも何かの隠喩なのではないかと思う。

上記の歌詞考察は大変興味深い。
私もスカートを切られるという行為自体は比喩にすぎず、社会への不満を感じるけど、やりたいことも特にない少女の葛藤を示した比喩ではないかと思う。

考察や解釈は人によるので、気になった方はご自身で歌詞やMVを見て考えてみてください。
少なくとも、実際の事件をネタにしているわけでもなく、傷付ける意図がある作品ではないとわかるはず。

またAKBの『Teacher Teacher』という曲が
「スクールセクハラを正当化している」
「女性蔑視」だと言われ批判する記事も書かれていた。

女生徒が学校外で会った時に、先生がイケてることに気づいて恋心を抱く
この歌詞のどこが女性蔑視でスクールセクハラなのでしょうか?
解釈が意味不明である。

この曲のMVには全く学校や先生は出て来ませんし、スクールセクハラシーンなんてありません。

Teacher Teacher なぜ 逃げ腰で
Teacher Teacher なぜ 微笑むのかしら?
Teacher Teacher なぜ 私とは
Teacher Teacher なぜ こんな距離を置くの?
Teacher Teacher なぜ 教え子は
Teacher Teacher なぜ 恋愛対象外?
Teacher Teacher なぜ プライベートは
Teacher Teacher なぜ よそよそしい
いつもと違う 今日の先生
Why?

AKB48『Teacher Teacher』

歌詞をちゃんと読んだり歌を聴いていただければわかると思うが、迫られた先生は「よそよそしい」ので、全く生徒を相手にしていませんw
むしろ教師は困っていることがハッキリ描かれている。

教師と生徒の恋愛関係を描いた創作物もこの世には存在する。
生徒が先生に抱く恋心を描いた歌詞だけで「スクールセクハラを肯定」というのであれば、生徒が教師に対してセクハラ行為をしているということなのか?
フィクションであり、性的な描写もないのに?

また、アメリカメディアのCNNは秋元康氏に対し、氏の運営する48系グループは「性的搾取ではないか」というような質問を投げかけたこともある。

今はそういった声はあまり見かけませんし、48系グループのアジアでの大成功やフランスのJAPAN.EXPOで日本のアイドルが活躍していることを鑑みると批判は和らいできているようには感じるが、表現規制派やジェンダー関係者に対しては二次元愛好者達と同様、油断せず接するべきだ。
ジェンダー系法人団体や表現規制派は、実績作りのため常に様子をうかがっているだけである。

最後に

マッサージゲームへの批判を「キャラ名」だけの話に矮小化した上で、アイドルオタクだけに責任を擦り付けられて非常に腹立たしいと思いまとめた。

アイドルオタクからの批判があったのは事実だが、ドルオタとしてキャラ名を変更したP兼代表取締役の方の気持ちもわかる。

しかし、誹謗中傷に近い批判の数々やレーティングされている内容をエロゲー扱いされたことはなかったことにはなりません。

過去のアイドルソングへの批判や秋元康氏への誹謗中傷も忘れないようまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございます

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