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バケツリスト

私の バケツ リスト

「最高の人生の見つけ方」でしたっけ? 吉永小百合と天海ゆきの映画。もともとはアメリカ映画のリメイクだが、原題は 「The Bucket list ザ ブケット(バケツ) リスト」

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「死ぬまでにやりたいことをいくつのこと」を、英語で「バケツ リスト」と言う。それは「縛り首になる人が、乗っているバケツを蹴られて、木にぶら下がって死んでしまう」という物騒な事柄からきているのだけれど、そう深刻に考えずに、やりたい事柄をいくつか書いておくのだ。日本では、「バケツリスト」と言っても、何のことだかわからないので、無理やり「棺桶リスト」と訳したりしている。「棺桶リスト」と言えば、わかるかっていうと、そうでもないんだけれどね。

ともかく、私もあれこれ死ぬまでにやりたいことを、いくつか考えていて、その一つが「ナガシマ・ジャンボ海水プールの 巨大スライダーを滑る」 というものだった。高速道路で横を通るたびに(あの長いくねくねしたの、滑りたいなー)と思っていた。けれどもこの年齢に、この体形。とても人前に出られたものではない。水着になって、若者たちがキャッキャッして、並んでいる長い階段で、一緒に長時間待つなんて、耐えられないと思っていた。

しかし、近年は紫外線防止のため、ラッシュガードなる長袖を着たり、ショートパンツにレギンスを履いて、水に入るという、非常にありがたい習慣が広がってきているではないか。やっほー、上下しっかりガードすれば、人目にさらすのは、顔と手の先、足の先だけ。ぶよぶよのおなかも、たるたるの太腿も、さらさなくてもいい。なんて素晴らしい習慣なんでしょう。

「バケツリスト、叶うかなぁ」と、いうことを、レッスン後のお茶の時間に、遠い世界のように話したら、いっちゃん、おっちゃん、よっくんが、「そんなの明日にでも、行けるじゃないですかぁー」って。あのね、君たちは若いからそう簡単に言うけれどさ、私にとっては「死ぬまでにやりたいこと」のひとつなんだよ。だいたい、長島ジャンボ海水プールには、6人乗りの円形ゴムボートで滑るスライダーもあるんだよ。6人グループで来ている若者は少ないだろうから、知らない人と相乗りになる。3人位で来た若者が、長時間並んだあと、(どんな可愛い子と一緒になるのかなー)と期待している中、こんな太ったおばさんが、「よっこらしょ」と相席になったら、どんなにがっかりするだろうかと思うと、申し訳ないよ。
すると、いっちゃん、おっちゃんは、「そんなこと考える奴は、放っておけばいいですよー。無視でいいんですよ、無視で」って。励ましてくれているのか、なんだかわからないけれど、とにかく(はぁ そんなものか)と意を強くしたのでした。と言うわけで、行ってきました。長島ジャンボ海水プール!!

夏休みはとにかくイモ洗い状態らしい。新聞の記事にも、満員電車並みに、びっしりと人が隙間なく水に入っている様子が写っている。ネットや知人など、あちこち情報収集した結果、9月の平日がよいとのことで、9月19日に決行することにした。家族に頼んで、主人と娘も同伴。幸いその日はよく晴れた暑い日だった。しかし、朝から、主人と些細なことで、険悪な空気に。
私が自分の持ち物を準備し終わり、新聞を読んでいたら、「僕のバスタオルは?」と聞いてきた。「知らない。自分の分だけ持った」と答えたところ、口の中で、ぶつぶつ
「〇*□△#+△…」 
「はぁ?なんて言った?」
「バスタオルは、どーこでーすーかー!」(すごくいじわる言い方で)
なんだよ、そんな言い方しなくたっていいじゃんか。バスタオルなら、クロゼットの扉を開ければ「バスタオル」と表示した引き出しがすぐあるんだよー。なんだよー。 ちぇっ。幼稚園児じゃないんだからさぁ、バスタオル位、自分で、出せよー。
不機嫌のまま、出発した。長島スパーランドには広大な駐車場があり、入り口で、主人は「どこに停めるの?」って。(不機嫌そうに、上から目線の聞き方で)(知らないよー。私だって、知ってるわけじゃないんだよー)
お互い むくれて車を降り、プールの入り口を目指して、歩き出した。が、そこで、意を決して、一旦止まり。
「あのねぇ、今日は、私の、大切なバケツリストの日なんだから、みんなで盛り上げて、楽しくしてほしい」と宣言した。すると、主人と娘は、きをつけ姿勢で、「わかった」と。それからは、主人は急に態度を改めて、いい人になりました。めでたし、めでたし。
っておわりじゃないです。ここからがいよいよ本題です。

初めて入る長島ジャンボ海水プールは、事前にネットで研究してあったとはいえ、うろうろすること多し。しかし、無事ロッカーにも荷物を入れ、レジャーシートで、休憩所の場所をも確保して、いざ出陣。

「温水の出るシャワー」というのがあったので、まずそれを浴びることにした。すると温水と言うには、それほど暖かくもなく、おまけに朝の長島は、海の近くのため、風もあって、ブルブル寒くなってしまった。「うぅぅ、さぶいよぉ~~」
日は照っているので、主人が「濡れたラッシュガード着ているより、脱いだほうが寒くないよ」と言うのだけれど、だめです。決して脱げません。脱ぐわけにはいかないのです。「うぅぅ、うぅぅ さぶいよぉ~」と震えながら、まずは、一番の大物に向かう。「最初に大物に向かえ」と、ネットの攻略法に書いてあったのだ。

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それは、「ブーメラン・ツイスト」という6人乗りのゴムボートだった。階段を何段も何段ものぼり、高い高い10階建てのビルの上位(実際はそんなに上でもなかったのかもしれないけれど、私にはそう思えた)まで上る。なんと待ち時間ゼロ分。そこで、係員の指示で、即、知らない3人と私たち家族3人が、一つのゴムボートに乗るように言われる。因みに、娘は、極度の怖がり&高所恐怖症で、絶叫系アトラクションは無理な体質なのだった。心の準備のないまま、ゴムボートの前で、へっぴり腰で「無理、無理」と言っている。
「今日は、私の大切なバケツリストの日なんだから、お願い、乗ってー」と、乗らせてしまう「わぁー無理、無理―」と言っている間に、ボートはスタート。
なんとそれは、ほぼ垂直に、湾曲したU字型の傾斜を、ぐわんぐわん、行ったり来たり。
実際の傾斜は、68度らしいけれど、68って、もう全くの垂直に落ちていく感じ。
「ひぇ~~!! ひぇ~~!!」
 出るのはただただ絶叫のみ。数回、ぐわらん ぐわらん 行ったり来たりした後、くねくね巨大滑り台を、猛スピードで、滑っていく。(ひぇ~ ここから飛び出したら、空に飛んで行ってしまうがな~~!) 
最後は、「じゃっぼ~んっ」と、水に落ち、終結。「あははは」
怖すぎると、笑えてくる。娘は虚脱状態。おまけに片目を抑えて、目をシバシバやっている。「コンタクトがどこかへ飛んだ」 「えっ?どこどこ?ちょっと見せてごらん」
娘の瞼を引っ張って、「上、見ろ、下、見ろ」と、目玉をぎょろぎょろさせたり、白目を向かせたりしたが、結局、見つからなかった。やはり、どこかに飛ばしたらしい。2ウィークスコンタクトの、初日だったとかで、残念。しかし、なにしろ、今日は、私の大切なバケツリストの日だ。そんなことで、残念がっている場合ではない。片目だろうがなんだろうが、くさってはいけないのだ。

と言うわけで、いざ、次のアトラクションへ。今度は、眼鏡のようなリングが二つ繋がった浮き輪に、娘と私とが前後にお尻を入れて、巨大チューブを滑っていくスライダー。
もちろん、前は私。巨大チューブは、時々、隙間からわずかな光が入るところもあるが、ほとんどが暗闇で、先が見えない。どこへどういくのかわからないまま、翻弄されながら、「きゃぁーきゃぁー」 流れ落ちていき、最後は、「じゃっぼ~んっ」と、水に落ち、終結。 「あははは」

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その他、かわったところでは、腹ばいになって、お風呂のマットみたいなシートに乗って、合図と共に、10人位が並んで、一斉に滑るスライダーがあった。どのコースも、がりがり、やせたカガンボみたいな若者達。そんななか、一人ラッシュガードに黒いレギンスで、トドのような私。笛の合図で、一斉に「ゴー!」 八匹のカガンボ対トドの対決。滑るわ、滑るわ、あのぉ、体重とスピードって関係あるのかしら?猛スピードで、ガンガン滑る。三コースのカガンボなんかは、コースの途中で、マットからおちて、止まっているし。(勝ったぜ)と ガッツポーズ。

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スライダーは、どれもこれも、階段を「よっこらしょ、よっこらしょ」と上らなければならず、年寄りにはエレベーターが欲しいところだったが、頑張った。あるスライダーでは、やはりたいそう高い場所から滑る降りるのだが、高所恐怖症の娘は階段途中でまたもや四つん這いになっていた。「ちゃんと立ちなよ。ほらほらー、あっちみてごらん。海が見えるよー」なんて言っても「無理、無理」と四つん這い。親子でも、全然DNAを受け継がなかったらしい。

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順番に並んでいたら、私のすぐ後ろの男女が、さっききから、なにやら、ごにょごにょ言っている。どうやら男のほうが、ごねているらしい。
男「こんなの無理だよ」
女「大丈夫よー」
男「だいたい、こんなの、若者がのるやつで…」
気になって、ちらっとみると、ややおなかの出た男性が、ごにょごにょ言っている。
男「こんなの、42歳にもなって、乗るもんじゃないって。」

(はぁ? 42? 42がなんだー。まだ子供やんけ。ぶつくさ言わず、さっさと乗れーっ!それが嫌なら、家で、とんがりコーンでも食べてろー!)

ただ一つ、フリーフォールのようなスライダー(全くの垂直滑り台)はやめておいた。
明日の新聞に、「K市の主婦(〇歳)フリーフォールスライダーにて、心臓発作、云々…」と記事が載りそうで。年齢みて、「ばっかだなぁ」と誰にも同情されない気がしてやめた。後で、知ったのだが、指とか手とかの位置が悪くて、骨折したりする人もいるらしいとのこと。ツタンカーメンみたいに、胸の前で腕を交差させて気をつけの姿勢を崩さないようにしていないと危険らしい。

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他には、じょうごのような中を、ぐーるぐーる回りながら、真ん中の穴から、水槽の中へ、どぼんと落ちるスライダーもやった。トイレの便器の中を、グルグル水流に流されていくバイキンになったような気分だ。みんなが階段の上から見ていて、笑っている。

最後は、「超激流・流れるプール」に入った。それは「超激流」と言うだけであって、ほんとに「超激流」なのだ。全員、浮き輪に入って、凄い勢いで、きゃあきゃあ、ぐるぐる流されていくのだ。一周まわるのに、数分なのだが、時々、大量の水が放出されて、それがどどーーっと来ると、8メートルくらいの高波となって、押し寄せてくる。まぁ、面白いこと、面白いこと。ぐーるぐる ぐーるぐる、もう1周、もう1周、と言っている間に、結局、7周もしてしまった。

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施設の中には、「温泉プール」があり、水深40センチくらいで、いい湯加減のお風呂と同じ。湯船につかり、仰向けになれば、青い空に白い雲。頭の中が、からっぽになる。
「はぁ~、気持ちいい~」 さすが長島温泉。満足、満足~。

帰りにジャズドリームによって、カフェタナカで、フルーツやクリームがどっさりのったパンケーキやフレンチトースト、パフェを食べて、帰ってきた。「最高の人生の送り方」の一日だった。

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付け足し
2日後に、上腕二頭筋あたりが痛くなった。超激流流れるプールで浮き輪にしがみついていたからだ。


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