再掲 何度でも確認したい「白雪姫の毒りんご」

3年近くまえに友人にむけ書いたエッセイ(手紙)の再掲です。
とはいっても、3年前も彼女が読んでいるかは知らない。
そして今回も読むことはないかもしれない。
それでいいさ、いいじゃないのさ……


昨日、君は泣いていた。
昨夜からボクの耳には、、
君の泣く声とあの歌がずっとリフレインしている。
こんな感覚いつ以来だろう。
ずっとずっと昔にどこかに置き忘れてしまったのか…
そんなことを思いながら、また繰り返し呟くようにボクは歌っていた…

♪宝石のような涙をさげて
おまえは泣いていた…
きれいな夢を追いかけてるから
おまえはいつも傷つくのさ
それでいいのさ、いいじゃないのさ
まったく見上げたもんだよ
ああ 心ひとすじにうちこめる
そんな時代はないのです、、、
おお ぼくたちに今一番必要なものは
あつい恋や夢でなく
まぶしい空から降ってくる
白雪姫の毒リンゴ♪

(泉谷しげる「白雪姫の毒リンゴ」3節より)

素直で純粋でまっすぐな視線で
宝石のような涙をあふれさせて
「薄汚れた世界に染まった人を演じなければ
生活もままならないのですか?」
と、君はつぶやいた。
嘘を演じることができないから君は傷ついている。
涙は止まらず、また傷ついていく。
君がそんな風に傷つく人だからボクらは仲間でいられる。
話を聴くことができる。
でも、歌のように
「こんな世の中だから、
純粋なまま傷ついてもいいじゃないですか、
見上げたものだよ、、」
と、ボクは言えない。
言いたいけど言えない。
やっぱり歌のような綺麗事じゃないよね。
何人もの君のようなまっすぐな人の傷ついた先をみてきたから。
そして今まっすぐなまま傷つく君と出会ったのだから。

君は呟いた。
「悪いあの人」・・・
「かわいそうな私」・・・

それではいけないんだよね、と目で訴えながら。

それはいつかボクが君に貸した本
「幸せになる勇気」のなかのアドラーの言葉。
忘れかけていたボクは夜その本を開いた。
「かわいそうな私」の続き、、、
「これからどうするか」と書かれていた。
それは勇気をだして薄汚れた世界のなかの人を演じよう、なんて
そんな似非じゃない。
そんなことは君も解っているはず。
そんなことをしたくないし出来ない、、、
だから傷ついているんだから・・・
薄汚れた世界に居る限り君は傷つきつづける。
きっと泣き続けるさ。

これからどうするか、、、
このまま傷つき続けるか・・・、
薄汚れた世界とさよならするか・・・。
素直で純粋でまっすぐな世界を探すか・・・。
ただ、そこへ進む勇気は必要だろう。
未知の世界へ進む勇気はね。
でも薄汚れた世界に傷つく君だから、
ほんとうの幸せを得られるかもしれない。
勇気さえあれば。

薄汚れた世界、汚れた人々という毒リンゴがなければ、
もし君が中途半端に自分を誤魔化せてしまう世界なら、
それとも毒リンゴの毒に順応してしまえるなら、
毒されていることも気づけないのなら、
勇気をふりしぼらなくてもいいなら、
本当の幸せになれないのかもしれない。
君の今のようにまぶしい空から毒リンゴがふってくるからこそ、
ほんとに大切なことを識ることができるのさ。
それで純粋な人でいられるのだから。

♪おお ぼくたちに今一番必要なものは
あつい恋や夢でなく
まぶしい空から降ってくる
白雪姫の毒リンゴ♪

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